スウェーデン 福祉大国の深層 続報!「北欧、幸福の安全保障」

『スウェーデン 福祉大国の深層』を水曜社より商業出版(政府刊行物)して頂けました。読者の方からの要望を頂きスウェーデンの時事ニュースを主な内容とし、日本にも役立ち社会貢献にもつながるようなブログを記させて頂きます。

スウェーデン「海外の刑務所の賃貸の検討中:政府の刑務所不足への解消策へ批難」

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スウェーデン「海外の刑務所の賃貸の検討中:政府の刑務所不足への解消策へ批難」

スウェーデンでは毎日のように拳銃事件や爆弾事件などが発生しています。

数週間前は、刑務所からの脱走者も現れる事態も起きました。

そのため、刑務所へ送還される犯罪者も多く、現在刑務所不足となっています。

 

こうした刑務所不足対して、政府および極右党のスウェーデン民主党は、海外の刑務所を借りる提案を出しています。

しかし、その提案に対して批難が起きていると、8月6日のスウェーデン共テレビSVTで報じられています。

 

また世界でも人道的な刑務所として知られているノルウェーでは2015年から2018年にかけてオランダの刑務所から650の収容スペースを借りていたと記されています。

 

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さらに、来年にデンマークは300人の囚人を1998年のコソボ紛争でも知られるコソボに送る予定とのことです。

多くの北欧の国でも、刑務所が足らず他国に囚人を送っていることがSVTの記事で記されています。

 

ちなみに、著書「スウェーデン 福祉大国の深層」でも記しましたが、数年前にスウェーデン警察官不足に対して、ノルウェーから警察官を借りる提案もありました。

 

下記に8月6日のSVT の記事を抜粋します。

「政府は囚人を海外に送りたい」と考えていますが、「長期的には問題を解決しない」という意見もあります。

スウェーデンの刑務所には収容できるスペースが足りず、将来の刑罰強化に備えて、少なくとも次の数年間で刑務所の数を倍増する必要があると刑務所管理局は見積もっています。

政府の提案は、欧州他国で既に試されたことがあります。ノルウェー2015年から2018年にかけてオランダの刑務所から650の収容スペースを借りましたベルギーも同様に刑務所のスペースを借りました。そして、来年はデンマーク300人の囚人をコソボに送る予定です。

しかし、スウェーデンの研究者であるリンダ・キャーア・ミンケ氏によれば、刑務所の収容スペースを海外で借りることは長期的な解決策にはなりません。「それは少し自分におしっこをかけるようなものです。今は暖かく感じられるかもしれませんが、すぐに冷たく堅くなります」と彼女は述べています。

彼女はベルギーの刑務所の過密問題が一時的に解決されたが、その後再び増加した例を挙げています。一方、ノルウェーでは刑務所への収容待ち時間が短縮されることに成功したとのことです。

また、ノルウェーのシステムは高額であり、家族の訪問を難しくし、人権に違反しているとして強い批判も受けました。「受刑者が拷問や侮辱的な扱いを受けないようにすることはできなかった」とリンダ・キャーア・ミンケ氏は述べています。

最後に、刑務所がある国の法律が適用されることになります。ノルウェーの市民監察委員会は2017年に、このシステムが人権に違反していると結論付け、必要な場合に警察の捜査を開始する権限が当局になかったと指摘しています。

スウェーデンのリクスダーグ議員であるフレドリック・ケアルホルム氏は、欧州連合EU)内の他の国から刑務所のスペースを借りることについて言及しています。

EUには共通の規則があり、法的な条件と実際的な条件を慎重に検討しています。完全に簡単な問題ではありませんが、私たちの近隣諸国は良い結果を示しています」と述べています。」