軍事輸出額は人口当たり世界で第1位(2001年、2011年)
現在、ロシアのウクライナに対する軍事侵攻が続く中、EU(ヨーロッパ連合)は兵器を供与してウクライナへの支援を強化することを決めました。
www3.nhk.or.jp
武力紛争下にある国に武器を送ることはスウェーデンの慣行と両立しないと考えられていたため、政府は当初、防衛兵器を送ることを躊躇してたスウェーデンですが、スウェーデン政府は例外的な決定として、現在戦時下にある紛争国ウクライナに軍事支援をすることを発表しました。
kon-51.hatenablog.com
www.svt.se
このスウェーデン政府の発表を聞くと、これまでスウェーデンは軍事輸出はあまりされておらず、紛争関係諸国にも軍事輸出を行っていなかったように受け取れます。
著書「スウェーデン 福祉大国の深層」では細かく記していますが、2014年のアメリカのビジネス誌ビジネス・インサイダーによると、スウェーデンは人口当たりの軍事輸出額でイスラエル、ロシアに次ぐ世界第3位の軍事輸出額であり、軍事輸出総額でも世界11位つける軍事輸出大国です。
またストックホルム国際平和研究所(SIPRI)のデータによりますと、2001年、2011年においてはロシア、イスラエル、アメリカを抜き人口当たり世界1位の軍事輸出国であります。
www.sipri.org
2020年においても、人口当たり世界で5番目の軍事輸出額です。
アフガニスタン、シリア紛争、イエメン内戦の紛争関係国にも軍事輸出
2001年はアフガニスタン紛争が開始された年でした。
ストックホルム国際平和研究所(SIPRI) のデータによると、
この年、スウェーデンはアフガニスタン紛争に携わる、
パキスタン
アラブ首長国連邦
サウジアラビア
フランス
アメリカ
にも軍事輸出を行っていました。
(ストックホルム国際平和研究所(SIPRI) データより)
2011年はシリア紛争が開始された年でしたが、この年スウェーデンはシリア紛争に携わる、
アラブ首長国連邦
イギリス
パキスタン
サウジアラビア
フランス
にも軍事輸出を行っていました。
(ストックホルム国際平和研究所(SIPRI) データより)
また2015年はイエメン内戦が開始されましたが、この年スウェーデンはイエメン内戦に携わる、
アラブ首長国連邦
アメリカ
パキスタン
にも軍事輸出を行っていました。
(ストックホルム国際平和研究所(SIPRI) データより)
スウェーデン平和・仲裁協会 によると、2019年にスウェーデンの軍事装備品輸出のうち29%が非民主主義国に輸出されており、戦争や紛争の国への軍事装備品の輸出を禁止するガイドラインにもかかわらず、スウェーデンはアメリカ、インド、パキスタンなどの戦争国やアラブ首長国連邦やサウジアラビアなどの戦争独裁政権にも武器を販売しています。そして2000年には武器の総輸出額の4%が、武力紛争に参加している国に向けられていたと記されています。
www.svenskafreds.se
(サーブ社製 戦闘機グリペン)
スウェーデン:1960年から61年間、人口当たりの軍事輸出額は上位20位以内
ノーベル賞もあり平和のイメージの強いスウェーデンではありますが、人口当たりでの軍事輸出額は世界でも上位国、1960年から現在(2020年)までの61年間、常に上位20以内であります。
(ストックホルム国際平和研究所(SIPRI) データより)
2001年、2011年においてはロシア、イスラエル、アメリカを抜き世界1位であり、近年再び軍事輸出額は増加し、2020年においては世界第5位となっています。
中立国スイスはロシア、イスラエルにつぎ最多の軍事輸出国1位の回数
過去61年間どの国が、世界における人口当たりの軍事輸出額で最多で第1位であった回数を記すと次のようになります。
1番目の回数が最多であるのは、現在の
ウクライナ戦争で当事国である
ロシア
3番目に中立国として世界でよく知られるスイスです。
5番目にスイスと同様中立国と呼ばれる
スウェーデンとなっています。
中立国や平和のイメージが強いスイスやスウェーデンが人口当たりの軍事輸出額の1位の回数が多く、トップ5に入っていることがわかります。
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