スウェーデン 福祉大国の深層 続報!

『スウェーデン 福祉大国の深層』を水曜社より商業出版(政府刊行物)して頂けました。読者の方からの要望を頂きスウェーデンの時事ニュースを主な内容とし、日本にも役立ち社会貢献にもつながるようなブログを記させて頂きます。

スウェーデン「社会経済的脆弱地域: 失業大でドラッグ販売で生活支える移民系住民」

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スウェーデンにおける脆弱地域

現在、スウェーデンでは拳銃事件やギャングによる凶悪犯罪が非常に増加しています。

防犯協議会(Brå)からの最新調査によれば、外国生まれとその子供たちは、スウェーデン生まれの両親を持つスウェーデン生まれの子供よりも、犯罪の疑いがある可能性が2.5〜3倍高くなっていると報告されました。

 

スウェーデンでは外国生まれの人たちが多く集まる地域が存在しています。そしてこうした地域では実際に犯罪も多く引き起こされています。

 

警察は地域警察95全てで脆弱地域に関する情報収集を毎年行い、犯罪が社会的経済的にも低い地域と結びついている事を示す脆弱地域リストを2015年より2年ごとに作成しています。

 

スウェーデンにおける脆弱地域の状況地図 2021

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polisen.se

警察が作成する脆弱地域リストは3つのエリアに分けています。

危うい地域

犯罪者が地域社会に影響を与える低い社会経済的地位を特徴とする地理的に区切られた地域。その影響は、犯罪者が権力を握って地域社会を支配しようとするというよりも、地域の社会的状況に関連しています。

影響力は、たとえば脅迫や恐喝による直接的な圧力、または次のような間接的な圧力で構成されます。

    第三者に危害を加える危険性のある公共の暴力行為
    麻薬密売がされる
    社会に対する率直な不満

その結果、その地域の住民は不安を抱き、犯罪報告や法的手続きをする傾向が低下します。状況は深刻であると考えられています。

リスク地域

脆弱領域のすべての基準を満たしているが、特に脆弱な地域を特徴付ける基準を満たしていない地域。しかし、状況は非常に憂慮すべきものであり、差し迫ったリスクがあり、適切な対策が講じられていない場合、その地域は特に脆弱となるリスクがあります。

極度に危うい地域

法的手続きへの参加を一般的に躊躇することを特徴とする地理的に区切られた地域。また、その地域での目撃者、原告、および申立人に対して組織的な脅迫や暴力行為が存在する可能性がありますこの地域の状況は、警察が任務を遂行することが困難またはほとんど不可能であることを意味し、作業方法または設備の定期的な適応が必要です。多くの場合、正常化が行われ、警察も住民も地域の逸脱した状況を反映することはありませんでした。

特に脆弱な地域には、ある程度次のものも含まれます。

    平行した社会構造
    信教の自由や強いものの体系的な違反などの過激主義
    人権と自由を制限する原理主義の影響
    紛争地域での戦闘に参加しにいく人
    犯罪者の集中度が高い

追加の悪化するタスクは、特に露出した地域のすぐ近くに他の露出した地域があるかどうかです。その場合、エリア内の犯罪者またはネットワーク間のコラボレーションのリスクがあります。状況は緊急であると考えられています。 

 

polisen.se

社会経済脆弱地域: 失業大でドラッグ販売で生活支える移民系住民

そうした脆弱地域の1つでリスク地域に指定されるボルレンゲ市シャナ・エンガー地域に関する記事がスウェーデン共テレビSVTで報じられています。

 

記事によれば、ボルレンゲ市シャナ・エンガー地域で安全ベストを着て生活のために麻薬を売っている20代のソマリア人男性グループはSVTのインタビューに答え、脆弱地域であるシャナ・エンガー地域での生活について語っています。

 

若者男性グループによると、失業により不安が生み出されており、権力やお金を持っている人たちがこうした問題を解決すべきだと話しています。

 

またSVTは若者グループに次のような質問をしています。

SVT:あなた自身の責任はありますか?

私の責任? はい、より良い地域づくりのために私は何もできない。 できれば、やったでしょう。

 

SVT:なぜアドバイスを受けなかったのですか?

ええ、わかりました。ただこの地域は影響を受けています。 学歴がなく社会制度についてあまり知らない親がいる場合、親はあまり役に立ちません 

 

ボルレンゲ市シャナ・エンガー地域は、警察が2015年に脆弱地域リストを作成して以来、リスク地域に分類されています。警察はこの地域の「極度の」失業が犯罪の増加につながる可能性があると報告しています。

 

もちろんこうした脆弱地域がスウェーデン全体であるわけではありません。

しかし近年スウェーデンではこうした脆弱地域が広がる状況となっています。

 

ハンガリー動乱、旧ユーゴスラビア紛争やアフガン・イラン戦争などのたび難民を積極的に受け入れ「人道大国」と呼ばれ、2017年に人口は1012万人まで増えました。

 

しかしこのうち外国生まれは188万人、移民二世は56万人であり、外国背景を持つ人口割合が24.1%にまで達しています。

 

そして難民としてやってきた人たちはその後、言語問題、教育問題によりスウェーデン社会に馴染めず仕事も見つからず、社会的経済的に低い立場に追いやられています。

 

そうした社会的経済的に低い立場の人たちが多く集まる脆弱地域では、生活のためにドラッグを売る若者も出てきています。

 

今回SVTのインタビューを受けた生活のためにドラッグを売るソマリアの若者の1人は、

私たちはスウェーデンに住んでいます。しかし同時にスウェーデンに住んでいないのです。

と答えています。

 

www.svt.se

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Polisen「Kartgränser utsatta områden i region Bergslagen 2021」

https://polisen.se/siteassets/dokument/ovriga_rapporter/region-bergslagen-kartgranser-utsatta-omraden-2021.pdf/download?v=1ff51fc1dc08672766d18a1bb209e31b