スウェーデン「汚職献金発覚: 法律を回避し政党へ匿名で金銭寄付の実態発覚」
8月18日のTV4のニュースでは、スウェーデンにある8つの政党のうち5つの政党において、法律を回避して選挙資金を匿名で寄付する実態が明るみになりました。
スウェーデンでは腐敗防止のために法律では、24,150クローナ (約31万円)以上を寄付する場合、寄付者の身元を公に開示する必要があります。
しかし反対にこれ以下の寄付の場合は匿名で政党へ寄付することが可能となります。
そのためこの法律の穴をつき、同じ寄付者が24,150クローナ以下の寄付を何度もすることで、多額の寄付金を匿名で政党が受け取る実態がTV4により明らかとなりました。
TV4はこの汚職疑惑の実態を明らかにするため、2人の金持ちの協力をえて、スウェーデンにある全ての政党8党へ連絡し、今年の選挙運動のために少なくとも 50 万クローナ(約644万円)を匿名で献金したいと尋ねました。
すると24,150クローナ (約31万円)以上の個人献金は法律で認められていないにも関わらず、8党中の5党が、匿名で献金が可能だと返答し、個人献金を隠蔽する会話が録音され汚職献金の実態が発覚しました。
TV4の検証によれば、法律を回避して50万
クローナを受け取れることを示した政党は下記となります。
www.tv4.se
腐敗度ランキング上位、不正疑惑事件の多いスウェーデン
著書 スウェーデン 福祉大国の深層 では細かく記していますが、スウェーデンでは日本と比較しても非常に巨額の汚職事件が多く起きています。
ただ一般的に日本ではスウェーデンが不正の少ない国であるとしてよく知られておりイメージとは違うはずです。
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その理由の1つに、腐敗や汚職に対して取り組む国際非政府組織トランスペアレンシー・インターナショナルの「腐敗度ランキング」があります。その「腐敗度ランキング」で毎年スウェーデンは不正が少ない国として上位にランキングされるためです。
2020年における「腐敗度ランキング」では、日本が19位であるものの、スウェーデンは3位にランクインしています。
しかし実はスウェーデンでは非常に不正疑惑事件が多いのです。
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大規模の不正事件が多いスウェーデンが、腐敗度ランキングで上位にランキングされるのでしょう?
それには腐敗度ランキングの統計方法と関連しています。
アメリカの新聞「ワシントン・ポスト」によると、腐敗度ランキングを決める腐敗認識指数(CPI)は「公共部門」のみを対象にしています。そのため民間での不正事件は対象には含まれません。
また汚職の事実ではなく、人々の「認識」をもとに指数を測定しています。そのため人々が不正事実を認識していないと腐敗認識指数(CPI)がよくなるのです。
そのためスウェーデンは毎年のようにトランスペアレンシー・インターナショナルで「腐敗度ランキング」で上位にランキングして、世界に不正や腐敗が少ない国としてよく知られているのです。
しかし今回の法律を回避し政党へ匿名で金銭的寄付の実態が明らかになったため、これまで知られてはいませんでしたが、公共部門でも汚職が起きていたことが発覚したのでした。
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