スウェーデン 福祉大国の深層 続報!

『スウェーデン 福祉大国の深層』を水曜社より商業出版(政府刊行物)して頂けました。読者の方からの要望を頂きスウェーデンの時事ニュースを主な内容とし、日本にも役立ち社会貢献にもつながるようなブログを記させて頂きます。

スウェーデン「セルフレジ増加と盗難増加:5人に1人は商品スキャン誤魔化し」

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ルフレジ増加と盗難増加:5人に1人は商品スキャン誤魔化し

スウェーデンの大型食品スーパーではほほ全てといってよいほど、現在セルフレジが導入されています。日本では近年セルフレジを導入するスーパーも多くなってきましたが、スウェーデンでは導入も日本よりいち早くセルフレジを導入しました。

 

現在では食品スーパーだけでなく、イケア、H&M、洋服店ザラ(Zara)、公的酒販売所(Systembolaget)でもセルフレジが導入されてきています。

 

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しかしセルフレジでは購入時に店員に購入商品を提示する必要がないため、商品スキャンを回避して、支払いをせず持ち帰る盗難被害も増えています。

 

実際に12月30日の公共テレビSVTによると、現代においては商品購入時に顧客が行う作業が増え、それにともない商品スキャンを回避する人もおり、多くの店で盗難被害が出していると報じています。

 

リンゴ購入を例にとると、リンゴといっても多くの種類のリンゴがあります。そして値段もそのリンゴの種類により変わります。しかしリンゴにバーコードは付いていないため、セルフレジでのリンゴの種類の申請は顧客に委ねられているのです。そのため安いリンゴをセルフレジで購入することができたり、個数を誤魔化すこともできるのです。

 

業界団体スウェーデン貿易のセキュリティ責任者であるパー・ゲイジャー氏は、

ルフレジに問題があることを私たちは知っています。現在セルフレジは大変に高評価とされていますが、不正や間違いが起きる可能性があります。

と述べています。

 

しかし大型スーパーコープで働いているマリー・アールストランド氏は、

今ではほとんどの人がどう使えばよいのか知っており、セルフレジのことが分かってきたので、今ではそれほど問題は頻繁には起こりません

とセルフレジを導入した当初は今よりも不正やスキャン間違いが多かったと話しています。

 

5人に1人が誤魔化し

ただイギリスでクーポン販売するウェブサイトが2017年に、2,634人の顧客に対し購入行動調査が行われました。結果ではセルフレジの使い方を知ったうえで、5人に1人(20%)の人たちセルフレジを使い、商品購入の誤魔化しをしていたことがわかりました。

 

また盗んだ人の半数の人は、何度も盗んだことがあると答えました。そしてセルフレジを通し支払わず商品を盗むのが簡単であると知り、2度目はさらに簡単に不正行為を繰り返したとのことです。

 

業界団体スウェーデン貿易のセキュリティ責任者であるパー・ゲイジャー氏は、

大抵の人は、ジャケットの中にチョコレートを入れて持ち帰ること大変に難しいと感じていますが、ルフレジでスキャンをし忘れたほうが簡単(に盗みができるの)です。

と述べています。

 

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ルフレジでは購買意欲が増す

ルフレジによる盗難が多くある事実に対しても、企業がセルフレジを進める背景には利益が見込めることがあります。

 

一般的にセルフレジの導入によりレジ定員を雇う必要がないため、人件費を抑えることができます。

 

しかし12月30日のSVTの記事によれば、視線追跡メガネを使用して顧客の行動を調査したバース大学の貿易研究者カール・フィリップ・アルボム氏によると、人件費削減だけでなく、顧客がこれまでより多く商品購入する傾向があり、売り上げが大幅に伸びるとのことです。これが最大の理由であると述べています。

 

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現在日本でもセルフレジがだいぶ普及してきています。企業経営者にとっては人件費削減、売り上げ増加となり良い事づくめです。

 

しかしこれまでレジで働いてきた人はどうなるのでしょう?

 

現代のすすんだ資本主義と市場競争により、当たり前のように人員削減が行われるようになり、資本家はさらなに利益を得られるようになり、効率的といえば何事も許されるような時代になってきました。

 

しかし反面実際に働く私たちは失業問題や低賃金労働などそのしわ寄せを受けています。

 

ITによる効率化は良い事はありますが、こうした格差をうむ生産効率化は本当の意味での効率なのかは疑問があります。