スウェーデンではサスペンスや刑事事件や小説やドラマが人気です。
その中でも2人の作家スティーグ・ラーソンとダヴィド・ラーゲルクランツにより書かれた、『ミレニアム』は世界でも有名な推理小説です。そして2011年に『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』を原作とした映画『ドラゴン・タトゥーの女』がハリウッドで映画化されました。
あらすじは、社会派ジャーナリストの主人公と小柄な天才ハッカーのヒロインが手を組み、孤島に暮らす財閥一族の血塗られた謎に迫っていくさまをスリリングに描き出したものです。
社会派月刊誌『ミレニアム』を発行するジャーナリストのミカエルは、大物実業家ヴェンネルストレムの武器密売をスクープするも名誉毀損で訴えられ、敗訴し全財産を失ってしまいます。
そんな彼のもとに、大財閥ヴァンゲル・グループの前会長ヘンリックからある調査依頼が舞い込みます。それは、ヴァンゲル一族が暮らすスウェーデンの孤島で40年前に起こった未解決の少女失踪事件を再調査してほしいというものでした。
依頼を引き受けたミカエルは、猟奇連続殺人に関わる一族の秘密を知ることになります。そしてミカエルは、彼に興味を持ったドラゴンの刺青をしたフリーの天才女ハッカーであるリスベットとともに捜査を進め、すべての謎と事件を解決していくというストーリーです。
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映画『ドラゴン・タトゥーの女』の中では、ヴァンゲル家というスウェーデンにおける大財閥で起きた失踪事件が舞台となり、スウェーデン財閥の力の大きさを示しています。
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フィクション映画より巨大な現実のスウェーデン大財閥
しかし実は現実のスウェーデンにおける財閥は、このフィクションの映画より大きな力を持っています。そしてこのことは映画の中でも語られています。
映画の中では、ヴァンゲル家の兄マルティンがヴァンゲル財閥について話すシーンがありますが、その中でマルティンは「エリクソンやノルデアほどではないが、うち(ヴァンゲル家)は同族経営としては国内大手だ。最盛期は従業員4万人いた、今は約その半分だ」と語っています。
また日本ではあまり知られてはいませんが、スウェーデンでは一部の財閥(家族)所有する富の割合は、世界のほかの富裕国と比べて非常に高いのです。
著書『スウェーデン 福祉大国の深層』では詳細を記していますが、2013年の新聞アファースバーデンの記事によると、ストックホルム証券取引所の時価総額70%が15つの一族(財閥)だけで占められています。
その中でもスウェーデンのある最大一族(財閥)は、2番目に大きな財閥である、イケアを創設したカンプラット家の3倍以上の富を保有しており、ストックホルム証券取引所の時価総額40%を保有していると報じています。
また2019年の新聞アファースバーデンの記事でも、スウェーデンにおける最大一族(財閥)は、世界でも名の知れたスウェーデンのアパレルメーカーH&M創始者エーリング・パーソンが所有するパーソン一族(財閥)の2.5倍以上の富を保有していると記されています。
2番手のパーソン一族(財閥)を大きく引き離し、2019年においても巨額な富を保持していることがわかります。またこの最大一族(財閥)はドラゴンタトゥーの女と同様に武器輸出も行っています。
ドラゴンタトゥーの女はフィクション映画であります。また通常、映画や小説は現実より誇張されて記されることが多いです。
しかしスウェーデンにおける財閥の富保有に関しては、イギリスの詩人バイロンが「事実は小説よりも奇なり」と言葉を残したように、現実のほうがフィクション映画を超えるものとなっているのです。
Netflexでハリウッド版『ドラゴン・タトゥーの女』が配信されています。スウェーデンの推理小説にご興味のある方はご覧ください。
またスウェーデンの大財閥について詳しく知りたい方は『スウェーデン 福祉大国の深層』をお読みください。
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