原子力発電の必要性を語る:トップ経営者ヤコブ・ヴァレンベリ氏(公共テレビSVTより
現在地球温暖化が世界で大きな問題となっています。
そのため10月31日に始まった国連気候変動枠組条約第26回締約国会議 (COP26) では、温室効果ガスである二酸化炭素排出を減らすため気温上昇を産業革命以前と比べて1.5度に抑制するとの目標を確認し、2030年までに世界の温室効果ガスの排出量を2010年対比で45%削減し、今世紀半ばにはネット・ゼロにする目標が再認識されました。
EUは2030年の温室効果ガス削減目標として1990年比で少なくとも55%削減を掲げています。スウェーデンもEU目標と同様、1990年比で少なくとも55%削減としています。
そのためスウェーデンでも自然エネルギー発電が進められていますが、電力の供給が不安定であるため原子力発電をさらに進めようという話もでてくるようになっています。
そうした中、12月1日のスウェーデン公共テレビSVTによれば、スウェーデンにおいて多くのスウェーデン企業を保有するトップビジネスマンであるヤコブ・ヴァレンベリ氏が原子力発電の建設の必要性をSVTの中で強く語っています。
スウェーデンは電力供給に対処するために新しい原子力発電所を建設する必要があります。これは企業の経営者であるヤコブ・ワレンバーグが述べていることです。彼はまた、政治情勢が適切であれば、新しい原子力発電への投資にも門戸を開いています。
私は間違いなくそれを見据えている。
と彼はSVTの30分で語っています。
近年、スウェーデンの産業にとって、電力や容量の不足がますます問題となっています。
発電の大部分は北部地域で行われていますが、必要性は南部地域で最も大きくなっています。今日の送電線はスウェーデン南部で必要なすべての電力を輸送することができないため、原子力発電の有無が再び過熱した政治問題として浮上しています。
新しいものを作る必要があるかもしれません
長年にわたり、企業リーダーであるヤコブ・ヴァレンベリ氏は、スウェーデンのビジネスコミュニティの中において絶対的なトップレベルの一人であり、エリクソン、ABB、SEB、インベスターなどの取締役会の任務を彼のメリットリストに挙げています。
彼は、スウェーデンの原子力発電が、将来的にも、全国の電力供給を保証できるようにする必要があると考えている人の1人です。
現在、スウェーデン南部に工場建設考える場合には、可用性を保証するのに十分な電力がないので建設しないでください。
現在、これらのより予測可能なエネルギー源と並行して、太陽光や風力などの化石を含まない代替エネルギーが拡大しているという事実にもかかわらず、彼は次のように語っています。
風が強く晴れていなくても電力を保証するには、水力発電と原子力発電が必要です。
グリーンエネルギーへの移行に関しては、将来、新しい原子力発電を建設する必要があると思いますか?
検討しなければならない機会だと思います。政治レベルで我々がその機会を完全に放棄したことは残念だと思います、
とヤコブ・ヴァレンベリ氏は述べています。
投資のために開いています
彼はまた、政策が同じ方向に進めば、将来的にスウェーデンの新しい原子力発電所への資金提供に関与することを望んでいます。
政治では、経済界は原子力への投資を望んでいないとよく言われます。問題は、30年、40年、50年先に機能するものに投資する場合、長期契約があることを知る必要があるということです。しかし、長い契約は今日存在していません、
と彼は言い続けます:
経済界と政治が長期契約に合意できれば、資金調達の条件も見つかると確信しています。
そしてあなたは興味がありますか?
私は間違いなくそうした状況をみるだろう。
と彼は語っています。
www.svt.se
日本ではあまり知られてはいませんが、スウェーデンでは一部の大財閥が非常に多くのスウェーデン企業を保有しています。
著書『スウェーデン 福祉大国の深層』では詳細を記していますが、2013年の新聞アファースバーデンの記事によると、ストックホルム証券取引所の時価総額70%が15つの一族(財閥)だけで占められています。
kon-51.hatenablog.com
その15の大財閥の中でも飛びぬけて大きな大財閥のメンバーであるヤコブ・ヴァレンベリ氏による新たな原子力発電建設に対する発言は、スウェーデンにおいて非常に大きな影響力をもってきます。
そうしたヤコブ・ヴァレンベリ氏の新たな原子力発電建設に対する発言は、将来のスウェーデンのエネルギー政策に大きく影響を及ぼすのかもしれません。
ヤコブ・ヴァレンベリ氏の新しい原子力発電建設に関するインタビューが公共テレビSVTで報じられ、下記の動画で視聴できます。
またスウェーデンの財閥について詳しく知りたい方は、『スウェーデン 福祉大国の深層』をお読みください。
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