スウェーデン 福祉大国の深層 続報!

『スウェーデン 福祉大国の深層』を水曜社より商業出版(政府刊行物)して頂けました。読者の方からの要望を頂きスウェーデンの時事ニュースを主な内容とし、日本にも役立ち社会貢献にもつながるようなブログを記させて頂きます。

EU「原子力発電も「持続可能な経済活動」として投資を促す方針」

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原子力発電も「持続可能な経済活動」として投資を促す方針

地球温暖化が世界で大きな問題となっています。

 

EUは2030年の温室効果ガス削減目標として1990年比で少なくとも55%削減を掲げています。スウェーデンEU目標と同様、1990年比で少なくとも55%削減としています。

 

しかし自然エネルギーだけを使ってこの目標を達成するのは、容易なことではありません。そうした中EU原子力発電についても「持続可能な経済活動」として、投資を促す方針を明らかにしました。

 

1月3日のNHKの記事によりますと、

脱炭素社会の実現を目標に掲げるEUヨーロッパ連合は、原子力発電についても「持続可能な経済活動」として、投資を促す方針を明らかにしました

EUは2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標の実現に向け「環境面で持続可能な経済活動」として投資を促す分野の選定を進めてきました。

EUの執行機関にあたるヨーロッパ委員会は1日、一定の条件のもとで天然ガスに加え、原子力発電についても「持続可能な経済活動」に含める方針を明らかにしました。

この中では「再生可能エネルギーをベースにした未来への移行を進める手段として、天然ガス原子力には役割があると考える」と説明しています。

ヨーロッパ委員会は今月中に今回の方針を正式に取りまとめ、加盟国やヨーロッパ議会に示す予定で、今後、議論が活発になりそうです。

 

www3.nhk.or.jp

 

ただこのEUによる原子力発電も「持続可能な経済活動」に含める方針が明らかになる以前から、スウェーデンでは原子力発電の増設がすでに議題に上がっていました。

 

12月27日のスウェーデン共テレビによれば、エネルギー大臣クハシャヤ・ファマンバー氏新しい原子力発電所を建設することは適切かもしれないとの発言が報じられています。

 

エネルギー大臣クハシャヤ・ファマンバー氏は、

現在、誰か新しい原子力発電に投資したいのであれば、すでに3つの場所が用意されている。

とインタビューで述べています。

 

エネルギー大臣クハシャヤ・ファマンバー氏によると原子力発電はスウェーデンにおいて長い間重要な役割を果たしてきており、時期尚早に段階的にでも廃止されることを望んでいないと述べています。

 

また現在使用されている原子炉は60年近く経ち古くなり始めてるため新しい原子炉を建設する可能性があるとも話しています。そして新しい原子力発電に投資したい人のために、新しい建設のために準備されている場所がすでに3つあるとのことです。

 

www.svt.se

 

また新首相であるマグダレナ・アンダーソン首相も12月初旬の議会の公聴会スウェーデンでは自由に原子力発電を建設ができるとも述べています

 

しかしマグダレナ・アンダーソン首相のこの発言は、穏健党(M)党首ウルフ・クリステルソン氏からの圧力によるものであるとSVTは報じています。

 

現在の穏健党(M)自由主義へ方針転換をしています。そのため経済重視政策の傾向在り、この新たな原子力発電建設も経済投資活動の意味合いも含んでいると考えられます。

 

そしてエネルギー大臣クハシャヤ・ファマンバー氏は、誰か新しい原子力発電に投資するのであればすでに3つの場所が用意されていると発言しています。

 

以前にも記しましたが、スウェーデン最大財閥のヤコブ・ワレンバーグ氏は12月1日にのSVTのインタビューで、原子力発電の必要性を認識しており、政策が同じ方向に進んだ場合、将来的に新しい原子炉の資金調達に関与すると述べています。

 

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そのためエネルギー大臣クハシャヤ・ファマンバー氏のいう「誰か」というのは、スウェーデン最大財閥のヤコブ・ワレンバーグ氏を意味していると考えられます。

 

またスウェーデンでは現在、核廃棄物の最終処分についての決定の発表が1月27日にされる予定です。もし核廃棄物の最終処分施設がエストハンマル市フォースマーク地区に決定がされれば、スウェーデンでは今後新たな原子力発電所が建設されることが念頭にあると考えられます。

 

そしてスウェーデンEUの方針に賛同し原子力発電が「持続可能な経済活動」に含める方針となる可能性が大きくあります。

 

ただこの忘れてはならないのが、このスウェーデンにおける新たな原子力発電所の建設への提案は、経済界で大きな影響力をもつスウェーデン最大財閥による新しい原子力発電所への資金提供の打診もあるのです。

 

スウェーデンは環境国家として世界でもよく知られた国であります。そうしたスウェーデン原子力発電に関する方針決定は、EUおよび世界の国々へ大きな影響力を与えます。このEUの決定は今後の日本のエネルギー政策にも大きく影響があることが予想されます。

 

ヤコブ・ワレンバーグ氏は12月1日に新しい原子力発電所への資金提供の打診を述べ、12月27日にエネルギー大臣クハシャヤ・ファマンバー氏新しい原子力発電所を建設することは適切かもしれないとの発言しています。

 

そして1月3日にEUは、原子力発電についても「持続可能な経済活動」として、投資を促す方針を明らかにしました。(草案は昨年12月31日にEU各国に送付)

原子力発電建設に関してなぜか小国スウェーデンEU各国より先んじているように感じます。

 

もし今月中のEUの正式な方針でも原子力発電が「持続可能な経済活動」となり、スウェーデン政府も新しい原子力発電所建設を進め、核廃棄物の最終処分施設の決定がなされれば、世界の多くの国々は環境国家スウェーデンを参考にし、恐らく日本もこれに追随するためスウェーデン大財閥が及ぼす世界への影響力の大きさを感じれるのではないでしょうか?

 

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ちなみにスウェーデン1980年に世界に先駆け「2010年までに全原発を廃止する」国民投票で決定した国した。

 

しかしその後脱原発による電気料金上昇と二酸化炭素排出量の増加の問題を考慮するべきと専門家による指摘をうけ、1998年に政府は方針を転換し、2010年以降も原発利用続行を決定しました。

 

ただ政府は2040年までに水力を含めた再生可能エネルギーからの電力供給を100%にする目標を立て、徐々に原子力を廃止する予定とします。

 

しかしもし今回新たな原子力発電所の建設を認めることとなれば、またまた原発方針が変わることとなります。

 

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またもしスウェーデンの財閥構造や世界の構造をお知りになりたい方は、スウェーデン 福祉大国の深層に細かく記しておりますのでお読みください。