スウェーデン 福祉大国の深層 続報!

『スウェーデン 福祉大国の深層』を水曜社より商業出版(政府刊行物)して頂けました。読者の方からの要望を頂きスウェーデンの時事ニュースを主な内容とし、日本にも役立ち社会貢献にもつながるようなブログを記させて頂きます。

スウェーデン「人体実験的手術し続け8名を死亡させたパオロ医師、2年6ヶ月の懲役刑」

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スウェーデン「人体実験的手術し続け8名を死亡させたパオロ医師、2年6ヶ月の懲役刑」

2016年にスエーデン公共テレビSVTで「人体実験(ザ・エクスペリメンツ)」というタイトルで、多くの患者が実験的外科手術で死亡しているという、衝撃的な医療スキャンダル番組が報道されました。

 

このスキャンダルは2017年に日本のNHK BSでも、「カリスマ医師の隠された真実 」として放映されるほど、スウェーデンの医療の問題を浮き彫りにするものでした。

 

このカロリンスカ研究所で起きた人体実験的手術については、著書「スウェーデン 福祉大国の深層」で細かく記していますが、実験的手術を行っていたのは、イタリアの胸部外科医で、元再生医療療研究者であるパオロ・マッキャリーニ医師でした。

 

2010年から毎年ノーベル医学賞の受賞者を決定するスウェーデンカロリンスカ研究所で、非常勤客員研究員として働いていました。

 

パオロ医師は患者の骨髄から採取した幹細胞を培養し、プラスチック製の気管に付着させ、患者に移植する手法を開発し「医学会に革命をもたらす」と賞賛されスター医師となりました。しかし実際には、患者が手術後に次々と死亡していたことが判明するのです。


 2016年の英国テレビ局BBC によると、2011年6月から2014年6月までにこの移植手術を受けた9人のうち7人が死亡、2017年にさらに1人の患者が死亡します 。その犠牲者の中には若干2歳の女の子もいたのでした。

唯一の生存者はプラスチック製気管を取り外した患者でした。

 

詳細は著書「スウェーデン 福祉大国の深層」で記していますので割愛しますが、2018年12月時点ではパオロ医師は逮捕もされず、トルコのブルサの大学病院で医師として働いていたのでした

 

しかし、2023年6月21日のスウェーデン共テレビによれば、パオロ医師は重傷事件3件で2年6ヶ月の懲役刑を受けたと記されています。 

本日、外科医のパオロ・マッキャリーニに対する控訴院の判決が下されました。彼は重傷を負わせる罪で2年6ヶ月の懲役刑に処されました。マッキャリーニの弁護士は、判決を上訴すると述べています。

 

この事件は、2011年と2012年にカロリンスカ大学病院で人工気管を移植された3人の患者、2人の男性と1人の女性に関するものです。全員が重度の合併症を起こし、死亡しました

 

検察官は、外科医に対して重傷を負わせる罪で起訴するよう要求しましたが、弁護側は完全な無罪を主張しました。

 

マッキャリーニは1年前にソルナ地方裁判所で重傷を負わせる罪で起訴されました。その時は、1件の身体損害に対する過失の有罪判決を受けましたが、他の2つの告訴事項については無罪となりました。判決は弁護側と検察官の両方によって控訴され、控訴院は今回、3件の重傷を負わせる罪で2年6ヶ月の懲役刑に変更しました。

 

ただ現在もパオロ医師は罪を否定し、この求刑に不服でありほぼ確実に上訴するであろうとSVTは報じています。

 

実験的手術により8名もの命が奪われた人体実験的手術による医療事件は、今もまだその決着がついていません。

 

www.svt.se