スウェーデン 福祉大国の深層 続報!

『スウェーデン 福祉大国の深層』を水曜社より商業出版(政府刊行物)して頂けました。読者の方からの要望を頂きスウェーデンの時事ニュースを主な内容とし、日本にも役立ち社会貢献にもつながるようなブログを記させて頂きます。

スウェーデン「性教育カリキュラムの変更:名称も『性・同意・変更』へ」

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性教育カリキュラムの変更:名称も『性・同意・変更』へ

1月7日のスウェーデン共テレビSVTによれば、学校での性的知識へのカリキュラムが変更され、新しい科目もできると報じられています。

 

記事によれば、2022年の秋よりスウェーデンの学校では権力構造、ポルノ、名誉文化についてこれまでより議論される問題の一部となります。そしてこれまでのカリキュラムが変更され、性教育の名前も「性、同意、関係」に変更されるとのことです。

 

2022年の秋学期に発効する新しいカリキュラムでは、特に学校で生徒に同意の重要性を伝えなければならず、ポルノへの危険なアプローチに関して教えなくてはならないと記されています。

 

私たちの社会は変化しており、教育が学生が直面する現実に適応するようにカリキュラムも維持していく必要があります。

と国立教育庁の教育顧問であるイングリッド・エッセガード氏は述べています。


難しい教え方

このカリキュラムの変更は政府からの指示によるもので、2017年のMetooの秋とその後の性的虐待に関する議論の後、学校での性教育を見直すことが決められました。

 

現在、性、同意、人間関係についてすべての小学校で教育されており、すべての教師がこの性教育を実施する必要があるとされています。

私たち(教師)が気付いたのは、教師はこうした問題に多くの時間を費やして教えたいと考えていますがそれはとても難しく、そうする能力がないと感じています。

ストックホルム大学の教育学准教授であるカリン・グンナーソン氏は語っています。

 

カリン・グンナーソン氏は、学校における性的知識に関する研究を行い、性問題を教えるのが難しいと感じる多くの教師にインタビューを行いました。その研究によると、教師自身が難しいと感じるのは、最近まで教師教育の中に性的知識が含まれていなかったためとのことです。


カリキュラム変更へは前向き

ストックホルム郊外にあるトゥリンゲ地区の学校の教師フォルカン・デレン氏は、性的知識の教育を受けたことがない多くの教師の中の1人です。

もちろん、それ(新たな性的教育カリキュラム)は少し不安感です。

とフォルカン・デレン氏は語っています。

 

しかし、カリキュラムが変更されていることは、フォルカン・デレン氏やその他の教師もこの性的知識への教育が促進されるのを望んでいるため、フォルカン・デレン氏は依然として前向きであります。

 

このカリキュラムの変更が性的問題の見方の変化につながることを願っています。

とフォルカン・デレン氏は述べています。

 

教師は多くの場合、高い作業負荷を抱えていますが、時間を割く必要のある概念をカリキュラムに追加するのは正しいですか?

これは高い負荷ではありますが、この性的教育が子供たちへ浸透するように働きかけ、それが実際に行われる助けとなるならば、私たちは皆がその教育から利益を得られると考えています。

とフォルカン・デレン氏は語っています。

 

www.svt.se

 

日本と比べて性問題への取り組みが進んでいるようなスウェーデンですが、こうした性教育がすすんできたのは最近の事でもあります。

 

そのためこうした性的教育が子供たちに良いと思いつつも、多くの教師自身が性的教育を受けていないいため、子供たちに性的知識を教えるのに戸惑いをもつ教師も多くいるようです。

 

しかし1950年代から1980年代にかけポルノ映画先進国であったスウェーデンとは方針が大きく変わり、現在はポルノへの危険性を教える教育を進めています。

 

そして新たな性教育カリキュラムで教えられる性行為への「同意」への教育は、現在レイプ犯罪が多発するスウェーデンにおいては重要な教育なのかもしれません。

 

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