
1日に1件以上の拳銃事件発生数
現在、スウェーデンでは多くの銃撃事件が発生しています。そのため毎日のように新聞やテレビのニュースで新たに起きた拳銃事件が報道されています。
7月には1か月間だけで34件もの銃撃事件が発生しました。これは1日に1件以上の銃撃事件が発生したことを意味しています。
スウェーデンにおける拳銃事件の数は、2017年では306件にもおよび、43人もの人が拳銃事件だけで死亡しています。
日本の拳銃事件の数は年間22件で、比較するとスウェーデンのが約13.9倍も拳銃事件が多く、人口比で考えれば約176倍も多い計算となります。
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8歳の子供まで利用するギャング組織
こうした多くの銃撃事件にはギャングメンバーが関連していることが多くあります。
一般的な日本人が抱くスウェーデンのイメージでは、スウェーデンとギャングとは結びつかないかもしれません。
しかし現在のスウェーデンではギャングによる事件が多発して、またそのギャングにより地方自治体が強い影響を受けるまでに至っています。
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2020年9月16日の公共テレビSVTによると、ギャングの専門家であるマリア・ウォリン氏は、ギャング組織は8歳の子供を利用しヨーテボリ市内の住宅地で警察官や役人を見かけた場合に報告させている。しかしこの状況を知りつつもヨーテボリ市当局は沈黙していると語っています。
地域にとって良いイメージを作る仕事をしている人もいます。そうした人たちにとってこうした問題を話すことは大きな問題になるからです。
この問題は社会が急速に変化しシステムが追いついていない事実の結果です。私たちは暴力的な過激主義に対する取り組みで行われたように国家的な行動計画が必要です。
とウォリン氏は語っています。
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ギャングにより強い影響を受ける自治体と「沈黙の文化」
8月10日の公共テレビSVTによれば、スウェーデンの第2の都市ヨーテボリ市ではギャングが市役所の職員を脅しているため、職員は何も言えない状況だと報じています。
1つの理由としてギャング組織に脅されてる事を市役所職員が上司に報告しても、上司は何事も成功しているようにみせるため上層幹部に報告しないとのことです。
この事実はヨーテボリ市役所職員50人にインタビューから示されてます。
そのためヨーテボリ市の職員も麻薬が公然と販売され、武器や麻薬が市内に保管されていることを知りつつも秘密にし、問題を上司に報告しないでいるとあります。
ギャングの専門家であるマリア・ウォリン氏によると、ヨーテボリ市がギャングと協力関係をとっているのは、ヨーテボリ市役所に『沈黙の文化 (tystnadskultur)』があるためだと述べています。
また違法な影響力や労働環境、暴力的過激主義、安全保障に取り組むアンナ・ヘディン・エクストロム氏によれば、インタビューを受けた人々が最も恐れていることはギャングが自宅住所や、学校に通う子供のことを知っている事だと述べています。
またギャングはIS(イスラム国)とのつながりもあると話しています。
さらに上司に報告しても上司は全てが上手く廻っているように見せかけるため、上層幹部や政治家に良い情報だけを報告していると語っています。
この問題がほとんどメディアでも議論されていないと述べています。
アンナ氏はこれらの「沈黙の文化」についてまとめた報告書を市役所のアクセル・ジョセフソン会長に提出しています。しかしジョセフソン会長は報告書を読む時間がなく、説明されている「沈黙の文化」は受け入れらないと語っています。
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著書『 スウェーデン 福祉大国の深層』ではイメージとは違い建前が多く、良い事ばかりを話すことが多いスウェーデン人の国民性を記しました。
これはギャングの専門家であるマリア・ウォリン氏やアンナ・ヘディン・エクストロム氏が示す「沈黙の文化」と同じものであり、悪い事はあまり表ざたにはせず、良い事だけを示すスウェーデンの国民性や文化を表しています。
こうしたスウェーデン人の専門家が語る「沈黙の文化」が、以前に記した学校でおきるいじめ問題でも、人種差別でいじめを受けた4分の1の生徒が、教師に話しても「教師は何もしてくれない」という返答になっていると考えられます。
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ヨーテボリ市役所におけるギャング問題でも、「沈黙の文化」により職員がギャングによる脅迫を上司に報告しても上司は何も対処しないという状況を生み、さらにギャングに都合の良い状況を生んでいます。
地方自治体がギャングによる強い影響を受け何もできなくなっている状況は、民主主義国家として危険な状況であります。ギャング専門家であるウォリン氏が語るように早急に国家として対処方法を考えてく必要があるはずです。
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