スウェーデン 福祉大国の深層 続報!

『スウェーデン 福祉大国の深層』を水曜社より商業出版(政府刊行物)して頂けました。読者の方からの要望を頂きスウェーデンの時事ニュースを主な内容とし、日本にも役立ち社会貢献にもつながるようなブログを記させて頂きます。

スウェーデン「深刻な住宅不足とオークション制度による高額入札価格とビジネス」

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深刻な住宅不足とオークション制度による高額入札価格とビジネス

スウェーデンアパート賃貸住宅事情は深刻です。

 

日本ではアパート(マンション)の賃貸をしたい場合、不動産屋に訪れその日のうちにアパートの見学し、早ければその日のうちに賃貸契約を結ぶことも可能です。

 

しかしスウェーデンの賃貸住宅事情は日本とはだいぶ異なっています

 

スウェーデン 福祉大国の深層では詳細を記しましたが、首都ストックホルムでは賃貸契約(ファーストハンド)では約10年、第2の都市ヨーテボリでは約6,7年ほど待たないとアパート契約をすることができません

 

あまりにも長期間のアパート賃貸待期期間であるため、多くの日本人にはなかなか想像できないほどの住宅不足に見舞われています。

 

こうした住宅問題により、6月中旬にスウェーデン民主党が不信任案を求め、議会は21日ロベーン首相の不信任案を賛成多数で可決し、同月28日ロベーン首相が首相を辞任するまでになるほど大きな問題なのです。

 

そうした日本とは大きく違うスウェーデンの住宅事情ではありますが、スウェーデン共テレビSVTでは北部シェルレフテオー市における深刻な住宅事情を報じています。

 

シェルレフテオー市は人口は71,862人、市域は7,217平方キロメートルしかないスウェーデンの北部にある地方都市です。そうした小さな都市でも深刻な住宅事情に見舞われ、価格が高騰していると11月15日のSVTでは報じています。

 

SVTの記事によると、シェルレフテオー市の住宅不足は悪化しており、最大で月々に7万クローナ(約91万円)の賃貸料で一軒家が貸し出されているとのことです。

 

その理由として、電気自動車用バッテリー会社ノースボルトの工場がシェルレフテオー市に設立されて以降、シェルレフテオー市の住宅需要が急激に増加しました。また多くに人々が夏に別荘やアパートを借りにやってきます。

 

SVTのインタビューに答えた夫婦のサンドラ・リンドグレンさんとモハネッド・ジョーダさんによると、2人はシェルレフテオー市で不動産を購入しそれをビジネスとして賃貸するとのことです。

 

シェルレフテオー市救世軍の古い不動産は300万クローナ(3900万円)で売却されました。入札100万クローナ(約1300万円)から始まり、250万クローナ(約3257万円)で落札されました。

とモハネッド・ジョーダさんは話しています。

 

そして賃貸料金は2万クローナ(約26万円)から7万クローナ(約91万円)で、1つのベッド賃貸のみだと月4,000クローナ(約5万2000円)で貸し出すとのことです。

 

シェルレフテオー市の漁村

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/da/Kagnasudden.jpg/1024px-Kagnasudden.jpg

 

 

モハネッド・ジョーダさんは

それでも多くに人が毎日電話をかけてきています

と話しています。

 

この記事でもわかりますが、スウェーデンの不動産購入にはオークション制度が導入されています。オークションにより最高額を提示した人が落札できるシステムとなっているのです。

 

そのためモハネッド・ジョーダさんの言うように入札が100万(約1300万円)であった物件でも、シェルレフテオー市にバッテリー会社ノースボルトの工場ができたことで需要が増え、最終入札が、入札価格より150万クローナ(約1954万円)も高い250万クローナ(約3257万円)で購入されることになりました。

 

こうした不動産のオークション制度シェルレフテオー市だけではなく、新築以外の中古物件の購入時にはスウェーデンの全国で採用されています。

 

そのためアパートの賃貸ができず非常に困っている人がいる半面、資金を持つ人は不動産を購入しさらに、それを貸し出すことで大きな利益を得ることもできる人も出てきています。

 

こうした住宅問題で6月28日ロベーン首相が首相を辞職させられる状況にまで陥り、現在もスウェーデンにおける深刻な問題となっています。