
知られざる強制結婚
スウェーデンというと金髪で青い目の人が多い白人の国をイメージする人が多いかもしれません。
しかし現在のスウェーデンは移民や難民の多い移民国家となっています。
そのためこれまでのスウェーデン社会にはなかった問題も多く発生しています。
その1つに強制結婚があります。
強制結婚は中東やアジアなどの国にあり、幼いうちに両親などに強いられる結婚です。
2015年のハフポストによれば、レバノンのシリア人難民少女の24%は、18歳までに強制結婚させられるとあります。
www.huffingtonpost.jp
バングラデシュでも児童婚が根強い問題であり、政府は児童婚の廃絶を宣言し法律でも女性の婚姻最低年齢を18歳以上と定めているが状況は改善していないと記されています。
「国連児童基金」(ユニセフ)の報告書によると、20~49歳のバングラデシュ女性のうち、3分の1近くが15歳になる前に結婚している。また、15歳未満の少女の児童婚率が世界でもっとも高い国であり、少女の29%が15歳になる前に結婚するという。11歳になる前に結婚する少女も2%いる。
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2019年に170人の子供が連れ出され国外で強制結婚
移民の多いスウェーデンでも結婚を強制させられる子供が多いことが明らかになってきました。
そのため2020年7月1日よりスウェーデンでは、子供がスウェーデンから連れ出されての強制結婚や性器切除を行うことを禁止する法律が導入されました。
しかし 8月25日の公共テレビSVTによると、この法律はうまく稼働していないと名誉に基づく暴力や抑圧に反対する非営利団体(GAPF)でサポートコーディネーターとして働くサビーナ・ランドステッド氏は述べています。
ランドステッド氏は、
非常に驚くべきことに、ここ数週間、連れ去られた少女についての電話がほぼ毎日届いています
残念ながら、当局の情報からこうした少女たちがコンベヤーベルトで国外に連れ出されたと私たちは考えています。
と新しい法律が目的を達成しておらず、連れ出された少女をとても心配していると述べています。
SVTの記事によると、スウェーデンにいる何千人もの子供たちは、将来のパートナーを選べず常に恐れをもち暮らしているとあります。
www.svt.se
エステルイェータランド郡行政委員会の国家能力チームは、名誉に基づく暴力と抑圧に対抗する政府の任務を負っています。特にこうした子供たちが国から何人連れ出され結婚させられているかを調査しています。
名誉に基づく暴力と抑圧に対する能力チームの専門家であるサラ・ベックストロム氏は
私たちが知っていることは、2019年だけで少なくとも170人の子供が国外に連れ出されたということです。その把握している人数は、そうした(強制結婚の)知識を持つと答えた自治体のみです。そのため実際にはもっと悪い数字となります。
と述べています。
昨年7月1日に法律が導入されて以来、28人の少女が渡航禁止令に抵触しました。
サラ・ベックストロム氏によると、1年間の28人の渡航禁止令は失敗のように聞こえるかもしれませんが、
渡航禁止令に抵触した28人の女の子がおり、前年と同様0人ではありませんので、そういう意味では成功です。
と答えています。
またサラ・ベックストロム氏は法律への知識が専門家や一般の人々に広まるにつれて、渡航禁止令が将来大幅に適用されると考えており、
渡航禁止令に抵触する可能性があることを知る人が増えれば、子供が(強制結婚)させられることに警告を鳴らすこともできます。
と答えています。
移民が少ない日本では強制結婚が大きな問題ではありませんが、中東やアフリカからの移民や難民が多いスウェーデンでは、これまでになかった少女の強制結婚も深刻な問題の1つとなってきています。
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