2020年9月25日に河野行政改革担当大臣がハンコ廃止案を出し、日本でハンコを廃止し、デジタル化を進めていくのかが話題となりました。
デジタル化を推進する一環として、河野行政改革担当大臣は、閣議のあとの記者会見で、すべての府省庁に対し、行政手続きでの押印の必要性を検討し、可能なかぎり不要とするよう求めたことを明らかにしました。
この中で、河野行政改革担当大臣は、「正当な理由がない行政手続きについては、『はんこをやめろ』ということを押し通そうと思う。押印の欄があっても、押さなくてもいいという扱いにして、平井デジタル改革担当大臣にオンライン化の手続きを考えてもらう」と述べました。
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今後日本ではデジタル化が加速していきそうです。
ただ多くの日本人はハンコが日本の独特の文化であり、こうした伝統が日本の仕事効率を下げていると考えている人もいるかもしれません。しかしあまり知られてはいませんが、ヨーロッパにも公的機関では最近まで印鑑は使われていました。
しかし2020年10月頃にEU規制によりヨーロッパでは電子署名に変更になりました。この電子印鑑への変更は2014年7月にeIDAS(イーアイダス)規則がEUで採択されたことによります。
それまでEU加盟各国は1999年の電子署名指令をベースに独自の電子署名法を定めていましたが、eIDAS規則の施行をもって、今は全てのEU加盟国に直接適用されています。
もちろんスウェーデンも電子署名となりました。例えば2020年10月頃に国境で食品検査を行うスウェーデン食品局(Swedish Food Agency)でも電子ハンコに変更になっています。
2020年10月7日のNHKによれば、河野大臣がハンコ廃止を検討し始めたのは5年前くらいと報じられています。これはちょうどEUでeIDAS採択した時期の少し後に当たります。
著書『スウェーデン 福祉大国の深層』では詳しく記しましたが、マイナス金利やワンタイムパスワード、キャッシュレス化など、多くの金融政策においてなぜかスウェーデンなどヨーロッパが日本の先を進んでいます。
そのため今回、日本でハンコ廃止案だされデジタル化の促進されているのも、もしかすると日本独自の案ではなく、このEUのeIDAS(イーアイダス)規則に準じたものなのかもしれません。
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EU『Trust Services and Electronic identification (eID)』
https://ec.europa.eu/digital-single-market/en/policies/trust-services-and-eidentification
Official jounal of the European『REGULATION (EU) No910/2014 OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCILof 23 July 2014』8.8.2014
https://ec.europa.eu/futurium/en/system/files/ged/eidas_regulation.pdf
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「eシール」は、欧州連合(EU)が法的効力のある電子認証サービスの1つとして認めているもの。eシールが付与された企業の電子文書は、作成後に改ざんが行われていないことや発行元を確認できる他、機械的に大量の電子文書へ付与できるといったデジタルならではの利便性を備えているという。
Livsmedelsverket(Sweden Food Agency)
https://www.livsmedelsverket.se/en/production-control-and-trade/import-and-export/importing-animal-products-from-non-eu-countries1/granskontrollstationer---animaliska-produkter?AspxAutoDetectCookieSupport=1
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