スウェーデン 福祉大国の深層 続報!

『スウェーデン 福祉大国の深層』を水曜社より商業出版(政府刊行物)して頂けました。読者の方からの要望を頂きスウェーデンの時事ニュースを主な内容とし、日本にも役立ち社会貢献にもつながるようなブログを記させて頂きます。

スウェーデン「公共テレビSVTの構造から考える偏向的報道」

man in gray shirt leaning on table with headphones facing another man leaning on table with headboard

スウェーデン2019年の世界報道自由度ランキングで世界3位にランクインしています。その為スウェーデンの報道の信憑性は高く、偏向的な報道もないと考える方は多いかもしれません。

 

著書であるスウェーデン 福祉大国の深層』でも記しましたが、日刊新聞SvD によると共テレビSVTの理事会には3、4人の社民党がいて、SVTを所有するスウェーデン・ラジオ経営基金の理事も5人の社民党がいると報じられています。

 

そのためSVTは与党の社民党に政治的に偏っていることがわかります。そのためSVTの報道では政府を非難するニュースが報道されにくいと考えられます。 

 

www.svd.se 

アメリカの調査機関ピュー・リサーチセンターの調査によると、スウェーデンでは64%の人がメディアを信頼しており、その情報源に最多数である39%の人が公共テレビSVTや公共ラジオをあげています。

 

またSVTを信頼すると答えた人は75%にもおよびます。そのため多くのスウェーデン人が信頼をしている共テレビSVTの報道で政府擁護の報道がされれば、比較的簡単にメディアによりより大衆操作も可能となります。

 

2019年のニュースサイト「ニーへタ・イドッグ」の記事によれば、国境なき記者団 もSVTと公共ラジオSRは政府のプロパガンダ機関になるかもしれないと警告していると記されています。 

 

nyheteridag.se

絶妙な報道のバランスがうむ報道への信頼性

日本において公共テレビであるNHKで偏った報道がされている場合、他のメディアが非難を行うため、多くの日本人はNHKは公正に報道していないと批判が持ち上がるはずではないでしょうか。

 

実際に2013年に「NHK受信料不払い党」に発足し、2016年東京都知事選挙政見放送では立花候補「NHKをぶっ壊す!」と発言するほどです。

 

その為スウェーデン偏向報道がされていれば国民が気が付くだろうと考えがちです。

 

ただスウェーデンのメディアでは絶妙なバランスで政府擁護・政府批難の報道がされており、政府擁護だけでなく、ときおり政府批難の報道を絶妙なバランスで混ぜています

 

その為、国民もメディアが偏向的報道だと感じず、スウェーデンメディアは公正であると判断してしまいます。これがメディア・コントロールされているとよく言われる中国や北朝鮮、ロシア、イランなどとの違いです。

 

さらに世界報道自由度ランキングで上位というお墨付きにより、公共テレビSVTの政治的に偏った構造が見落とされがちになり、公共テレビSVTへの信頼度も高くなります。

 

その為、国民は無意識のうちに政府側の考え方になりやすい傾向となると考えられるのです。