スウェーデン 福祉大国の深層 続報!

『スウェーデン 福祉大国の深層』を水曜社より商業出版(政府刊行物)して頂けました。読者の方からの要望を頂きスウェーデンの時事ニュースを主な内容とし、日本にも役立ち社会貢献にもつながるようなブログを記させて頂きます。

スウェーデン「高級洋品店が約65億円以上の脱税疑惑、イタリア・テログループとの関連あり」

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多い不正疑惑事件

2021年のノーベル平和賞はロシアでプーチン政権に臆せず調査報道を続ける独立系新聞の編集長と、フィリピンのドゥテルテ政権に批判的なニュースサイトを率いる女性ジャーナリストが受賞しました。

 

多くの日本人が抱くスウェーデのイメージとしては、ノーベル賞授与する国でもあり公平でとてもクリーンなイメージが日本では広く浸透しているのではないでしょうか?

 

しかしそれとは裏腹にスウェーデンでは大きな賄賂疑惑や不正スキャンダルも多く、しばし国内ニュースで報じられています。

 

1つの例としてスウェーデン 福祉大国の深層の中では詳しく記しましたが、2017年スウェーデンの通信大手テリアは携帯通信事業の権益を手に入れるため、長年に渡り政府関係者に3億3千万ドル(約366億円)の賄賂を支払いアメリカの贈収賄防止法に違反で起訴される巨額な賄賂事件もあります。

 

またスウェーデン大手銀行スウェドバンクでは、ダンスケ銀行との間で最大2千億ユーロ(約25兆円)ものパナマ文書」関連の資金洗浄と疑われる顧客資金移動があったにもかかわらず、米ニューヨーク州金融サービス局(DFS)に虚偽の報告を行っていた疑惑が浮上し、2019年に大きな資金洗浄スキャンダルとなりました。

 

こうした賄賂疑惑などの大きな不正事件がしばしばスウェーデンでは起きています。

しかしなぜかこうしたスウェーデンの事件は日本のメディアではほとんど報道されてはいません。

 

日本でスウェーデン政府の正式発表が報道されていない理由

kon-51.hatenablog.com

 

2021年10月に国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ、本部・米首都ワシントン)は、パンドラ文書を公表し、世界中の多くの金持ちが租税回避をしていることが発覚しました。

 

10月6日のイギリス公営放送BBCによれば、パンドラ文書は、書類約640万点、画像約300万点、メール100万点以上、スプレッドシート50万点近くからなり、パナマ文書を上回る規模の租税回避関連リークのデータとなっています。

 

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www.bbc.com

 

スウェーデンも他国と同様例外ではなくパナマ文書に記されており、10月3日のスウェーデン共テレビSVTの記事によれば、パンドラ文書には200人以上スウェーデン人が租税回避している事が報じられました。

 

kon-51.hatenablog.com

 

高級洋品店が約65億円以上の脱税疑惑、イタリア・テログループとの関連あり

10月13日のスウェーデン共テレビSVTでは、スウェーデンヨーテボリ市にある高級衣料品バッグ専門店が、タックスヘイブン(租税回避地)にある架空会社の一部として存在していることが明らかになりました。

 

この会社は、表面的には高級バッグや衣類を輸出入する一般的なスウェーデンの有限会社であり、ヨーテボリ市の中心地に高級ショップ(ABCD)を出しています。

 

しかしこのグループ企業の所有者は、約5億クローナ(約65億円)以上もの脱税の疑いのある悪名高いイタリア人ビジネスマンのデルフォ・ゾルであり、さらにイタリアのテロリストグループ(オルディーン・ヌオーヴォ)と関係があると報じられています。

 

この企業グループは、イタリアで起きたいくつかの大きなの爆破事件と関係している。オルディーン・ヌオーヴォと他のネオファシストグループとの関連がある

とイタリアの歴史家で作家のベネデッタ・トバギ氏は語っています。

 

イタリア: 1969年のフォンタナ広場爆破事件

1969年、ネオファシズム団体オルディーン・ヌオーヴォがミラノのフォンタナ広場で17人が死亡し、88人もの人が負傷する大きな爆破事件がありました。

 

https://www.focus.it/images/2019/12/11/12-12-esplode-una-bomba-nella-sede-della-banca-nazionale-dell-agricoltura-in-piazza-fontana-a-milano_1020x680.jpg

 

 

イタリアの捜査当局は、ネオファシズム団体オルディーン・ヌオーヴォに加入していたデルフォ・ゾルを主犯格の容疑者にあげたのでした。

 

その後テロリストグループの何人かのメンバーが逮捕されたものの、主犯格であるデルフォ・ゾルは1974年に日本に渡ったのでした。

 

SVTの記事によれば、主犯格であるデルフォ・ゾルジは日本に長い間滞在し、日本でビジネスマンとしての基盤を築いたと記しています。

 

イタリア政府は1980年代と2000年3月30日の2度にわたり、日本政府に対し身柄引き渡しを求めました。1997年にはイタリアの捜査当局は国際刑事警察機構を通じて日本の警察庁に国際手配も要請しています。

 

その後、逮捕されたデルフォ・ゾルジは、2000年代初頭に終身刑を宣告されましたが、十分な証拠がないということで最高裁判所無罪判決を出したのでした。

 

イタリア65億円脱税疑惑のヨーテボリ市の 高級用品店あABCD

こうした1969年にイタリアで多くの死傷者を出した爆破事件のテログループ主犯格デルフォ・ゾルジ所有のグループ企業傘下に、ヨーテボリ市の高級洋品店ABCDがあったのです。

 

https://www.gp.se/image/policy:1.56960409:1634123146/LDc4FZ-3QbNqRdb50CdbM6o_vlQ.jpg?f=Regular&w=1440&$p$f$w=52d9da1

 

 

またイタリア当局は、デルフォ・ゾルジとスウェーデンの洋服品会社(高級洋品店ABCD)が、5億クローナ(約65億円)以上に相当する税務違反を行っているとし捜査がされていました。その後、なぜかデルフォ・ゾルジからイタリアの司法機関に和解として、不明な金銭が送金されてきたとSVTは報じています。

 

こうしたテロリストグループ主犯格がグループ企業の所有者であり、パンドラ文書にもタックスヘイブン(租税回避地)にある架空会社の一部として存在が記され、実際にイタリアで5億クローナ(約65億円)以上もの脱税をしてきたグループ傘下の店がヨーテボリ市にあったのです。

 

しかし会社を監督すべくスウェーデンの担当監査人は、こうした犯罪に関与している会社であるにもかかわらず、約20年間も問題がないとし承認してきたとSVTの記事は報じています。

 

www.svt.se

 

一般国民へは高額な税金を課せるスウェーデンですが、過去に多くの人々を殺害した容疑のあるテログループと関与し、巨額な脱税を行う企業に対しては、20年間も放置していたという、強者には甘いスウェーデン当局の姿みえる脱税疑惑事件です。

 

www.expressen.se