スウェーデン 福祉大国の深層 続報!

『スウェーデン 福祉大国の深層』を水曜社より商業出版(政府刊行物)して頂けました。読者の方からの要望を頂きスウェーデンの時事ニュースを主な内容とし、日本にも役立ち社会貢献にもつながるようなブログを記させて頂きます。

スウェーデン「パンドラ文書:200以上のスウェーデン人の租税回避が発覚」

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パンドラ文書:パナマ文書を上回る租税回避の文書が公表

2016年、多くの金持ちが租税回避している事を暴露したパナマ文書は世界に衝撃を与えました

 

その後さらに国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ、本部・米首都ワシントン)は世界の140以上のメディアと協力し、過去最大の世界的調査報道を進め、2021年10月にパナマ文書を上回る規模となるパンドラ文書を公表したのでした。

 

www.icij.org

 

10月6日のアメリカの大手総合情報サービス会社ブルームバーグによると、この資料は法務・金融サービスを手掛ける14社からICIJが入手したもので、合計1190万点、ファイルサイズは2.94テラバイトに上り、規模は2016年のパナマ文書を上回ります。

 

民主主義大国を含む世界の隅々でオフショアのマネーマシンが稼働し」、知名度の高い世界有数の銀行法律事務所が複数関与していることが明らかになったとICIJは指摘しています。

 

www.bloomberg.co.jp

www.bbc.com

 

パンドラ文書:200以上のスウェーデン人が租税回避が発覚

パンドラ文書により租税回避が明らかになった人々や企業として、スウェーデンも例外ではありません。

 

10月3日のスウェーデン共テレビSVTによれば、パンドラ文書200人以上スウェーデン人の租税回避が明らかになりました。

 

このパンドラ文書には、スウェーデン証券取引所のCEO、スウェーデン国内で最も裕福な1つの一族、エコ犯罪の疑いのある右翼過激派や、バイクギャンググループ・ヘルズエンジェルスのメンバーも含まれています。

 

こうしたスウェーデン人は何百もの異なる企業と結びつきがあり、既知のタックスヘイブン(租税回避地)に所在があります。そうした多くの企業は英領バージン諸島に登録され、次に東アフリカのセイシェル中央アメリカのベリーズで登録されています。

 

租税回避が明るみになったスウェーデン人の多くは、あまり有名でない人々が多いのですが、中にはよく知られた人もいます。

 

  • スウェーデン証券取引所のCEOは、2016年以降英領バージン諸島の企業の代表です。このCEOの上場企業は外国で1億7000万クローナ(約22億円)相当の投資に関連する租税回避をしています。またこの英領バージン諸島の会社は、スウェーデンの上場会社や他の幾人かの人や会社により所有されています。

 

  • 数十億の共同財産を持つスウェーデンで最も裕福な1つの一族は、ドバイにおいて租税回避をしているとしパンドラ文書に記されています。一族が所有するスウェーデン企業は、ドバイで法律事務所SFMを雇い、香港で会社を設立しました。

 

  • 広範囲に及ぶいくつもの会計違反の疑いのかかるスウェーデンのビジネスマンは、英領バージン諸島にある会社のパートナーでありました。同社はアフリカでの投資プロジェクトに携わる予定でしたが現在は倒産しています。国を去ったビジネスマンは、数億の借金で昨年破産したスウェーデンの企業グループの背後にいました。 

 

  • 右翼と強いつながりを持つ2人のスウェーデン人男性は、ベリーズにある会社の所有者です。同社は2016年に設立され、衣料品のメディア制作と販売に携わっていると言われています。2人は雑誌やポッドキャストラジオなどを運営しているナショナリスト協会(DetfriaSverige)で活躍しています。 2014年の議会選挙では、男性の1人が、現在は存在しませんがネオナチ党の国家社会主義戦線にルーツを持つスウェーデン党で立候補しました。

 

  • バイクギャンググループのヘルズエンジェルスのメンバーである50歳のスウェーデン人男性は、英領バージン諸島で会社を設立するために法律事務所SFMを雇っています。男性は以前、スウェーデンでの2年間の懲役と5年間の事業禁止に対して、会計違反と重大な税務違反を助長し、幇助した罪で有罪判決を受けました。 

 

www.svt.se

 

こうして今回のパンドラ文書から200以上のスウェーデン人による租税回避が発覚したのでした。

 

ただスウェーデン人や企業による租税回避はパンドラ文書だけではありません

 

スウェーデン 福祉大国の深層の中で詳しく記しましたが、スウェーデン大手銀行スウェドバンクでは、ダンスケ銀行との間で最大2千億ユーロ(約25兆円)もの「パナマ文書」関連の資金洗浄と疑われる顧客資金移動があったにもかかわらず、米ニューヨーク州金融サービス局(DFS)に虚偽の報告を行っていた疑惑が浮上し、2019年に大きな資金洗浄スキャンダルともなっています。

 

日本では公平でクリーンなイメージが強いスウェーデンでありますが、今回のパンドラ文書では実に200以上ものスウェーデン人が租税回避している事が発覚したのでした。