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スウェーデン「租税回避:ボルボ・カーズ所有者はタックスヘブンに3社所有」

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租税回避:ボルボ・カーズ所有者はタックスヘブンに3社所有

スウェーデンの車というと高級車であるボルボを思い浮かべる人は多いはずです。

 

しかしスウェーデン 福祉大国の深層でも記しましたが、1999年にボルボの乗用車部門がフォードに譲渡され、さらに2010年8月、フォードは、中華の吉利汽車ジーリー・オートモービル)の親会社の浙江吉利控股集団ジーリー・ホールディング・グループ)に、ボルボ・カーズのすべての株主の権利を18億ドル(約237億円)で売却したのでした。

 

そのため今でもスウェーデンの自動車企業のイメージであるボルボ・カーズですが、本社はスウェーデンヨーテボリ市にあるものの、その所有は中国のジーリー・ホールディング・グループにあり中国資本企業となっているのです。

 

そうした中国資本企業であるボルボ・カーズの親会社ジーリー・ホールディング・グループ傘下の3つの企業が、タックスヘイブンケイマン諸島と英領バージン諸島を経由して所有されていると報じれられています。

 

10月27日のスウェーデン共テレビSVTによれば、

以前、タックスヘイブン問題に関わった国会議員オラ・メラーは、

スウェーデン企業の所有者がタックスヘイブンへ投資選択していることは非常に問題であると思います。

と語っています。

 

SVTは、ボルボ・カーズの所有会社であるジーリー・ホールディング・グループの背後にある所有権や会社構造を調査しました。ジーリー・ホールディング・グループボルボの主要所有者である李書福が所有する3社は、現在物議(パンドラ文書)を醸しているタックスヘイブンに登されています。

 

ボルボジーリー・ホールディング・グループの姉妹会社であるジーリー・オートモービルは香港証券取引所に上場していますが、同社はタックスヘイブンケイマン諸島に登録されています。このイギリスの領土(ケイマン諸島)は、世界で最も問題のあるタックスヘイブンとしてランク付けされています。

 

ボルボジーリー・オートモービルは、いくつかの分野で協力しています。彼らは電気自動車用の共通のドライブラインを開発しており、自動車会社リンク・アンド・コーを共同所有し、特に自動運転車を開発しています。

 

しかし李書福が投資に選んだタックスヘイブンケイマン諸島だけではありません。

 

www.svt.se

 

タックスヘブン

李書福は大株主であるプロパー・グローリ・ホールディングを通じてジーリー・オートモービルを管理しています。

 

ジーリー・オートモービルへの年次報告書の脚注には、プロパー・グローリ・ホールディングが英領バージン諸島に登録されていることが記載されています。

 

プロパー・グローリ・ホールディングは、ボルボの中国にある親会社ジーリー・ホールディング・グループ(李書福が最大の所有者)と、同じく英領バージン諸島で登録されているジーリー・グループ・リミテッドの2社が所有しています。その会社は李書福の兄であり、グループのCEOの1人でもある李書福が所有しています。

 

ボルボ・カーズは、今年上半期に約130億クローナ(約1,715億円)の営業利益を上げました。同時に、自動車会社ボルボ・カーズは、パンデミックの間、スウェーデン政府からのレイオフ支援で合計約5億クローナ(約65億円)を受け取りました

 

国会議員オラ・メラーは、税金に関して所有権の構造が不明確であるためさらに問題があると考えています。

 

(ボルボ・カーズスウェーデン政府から)公的支援を受ける場合、ずっと以前から常に透明性が高いことが重要であるはずです。私たちがボルボに支払った税金は、中国政府の元へ行く可能性があります。私たちはそれについて何も知りません、

ボルボへの投資を留まらせたい国会議員オラ・メラー氏は語っています。

 

ボルボのようなスウェーデンの高級産業会社に投資する人が間違っていると言うつもりはありません。

 

しかし国会議員オラ・メラー氏rは、スウェーデン企業の所有者がタックスヘイブンに投資することは非常に問題があると考えています。

 

最終的に所有するのか疑いのある中国企業であることも問題です

以前タックスヘイブン問題に関わっていたスウェーデン社会民主労働党のメンバーは述べています。

 

ただしジーリー・スウェーデンの広報関係者はメールで

ジーリーは)世界の多くの国々で事業展開する多国籍企業グループとして、各市場に適用される法律と規制を常に遵守しています。

そして規制当局の発表、総会、および各企業の財務報告を通じて従う明確で透明性のあるプロセスがあります。

またすべての市場およびグループ内のすべての企業における、当社の事業や金融取引に関して、金融・税務当局や国際機関から完全な承認も得ています

と記しているます。

 

2021年10月にパナマ文書を上回る規模となるタックスヘブンの実態を暴き出したパンドラ文書ですが、スウェーデンの有名企業も関連しており、非常に根の深い問題であることがこのSVTの記事からも窺い知れます。

 

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