今も世界中でコロナウィルスによる感染は大きな問題です。スウェーデンでは2020年5月頃には世界でも9番目に死亡率が高く、人口当たりでは日本の約69倍もの死者を出していました。
しかし現在ワクチンが普及しているため1日の感染者数が1,000人を超える程度となり、人口当たりでは日本の1.17倍程度の感染にまで下がっています。
(8月10日: スウェーデン1,205人、日本12,355人 World Meters 統計)
そのため政府はコロナ規制を段階的に緩めており、街ではマスクをしている人もほとんどいなくなり、ほぼ普段の生活に近い状態に戻ってきています。
www.worldometers.info
2020年と比べると非常に感染者数や死亡率が減っていますが、現在も海外へ行く際にはPCR検査証明書を提示する必要がある国があります。
一般的に公共機関でのPCR検査は無料ではありますが、結果が出るまでに1日以上かかり、携帯電話での検査結果通知であるため正式なコロナ検査証明書がでません。
そのため海外旅行に行く際には、迅速に検査証明を発行する民間医療クリニックでPCR検査を受けることとなります。民間医療クリニックでのPCR検査料金は高額であり、最も高価なものは2690 クローナ(約3万6千円)もかかる場合もあります。
高額ではあるもののビジネス等で海外出張する場合にはやむを得ず、民間医療クリニックでのPCR検査証明書が必要となります。
そうした今のコロナ危機における人々の弱みを狙った偽のコロナPCR検査証明書偽装事件が今年の1月ヨーテボリ市内の民間クリニックで発覚してもいます。
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7月28日の公共テレビSVTによると、2020年12月から2021年1月にかけてヨーテボリ市にある民間クリニックで偽のコロナPCR検査を発行していた医師が起訴され、7月28日に判決を受けました。しかし医師は不正行為を否定し上訴していると報じています。
記事によると偽装を行った医師は7件の詐欺、7件の重大な不実表示、2件の偽造の罪で起訴されました。7月28日にすべての罪状で有罪判決を受け懲役1年の刑を言い渡されたと報じています。
「それ以上の問題ではないにしても、医師としての立場を利用しパンデミックを自分の利益のために利用したという事は、重い詐欺罪である」とヨーテボリ地方裁判所は判決で記しています。
この医師は2020年4月にPCR検査に迅速に対応するクリニックを設立しました。
しかし検察官ジェームズ・フォン・レイス氏によると、クリニックは合計120回のPCR検査のうち7回は検査されなかったとのことです。
そして検察官のジェームズ・フォン・レイス氏は裁判の最終弁論の中で、
我々は白衣の医師に尊敬の念を持っています。しかしこの医師はそれを乱用した。発行されたどの証明書も実際に検査した証拠があるわけではない。この医師は旅行者が感染しているかどうかは知りもせず検査証明書を発行した。これは進行中のパンデミックの際に感染の拡大を拡大することを目的とした行為である
と述べています。
しかし医師は不正行為を否定しており、PCR検査は正しく分析されていると信じ虚偽の文書を作成していないと主張しています。
男性は現在医師免許を持っていますが、スウェーデン健康管理検査官が調査する可能性があると記事にはあります。
www.svt.se
www.dn.se
裁判官が述べるように個人利益のために、現在のコロナ危機を利用する犯罪は重い罪であります。 人々を助ける医師という立場であればなおさらのことです。
実際に知人でもこの民間クリニックでコロナPCR検査を受け、ノルウェーへ出張へいった人もいます。これはスウェーデンだけの問題ではなく他国へも大きな被害を与える重い犯罪です。
SVTの記事によるとこの事件が初めてではなく、2020年10月にもサンプルが検査施設で分析される前に、ヨーテボリ市の民間クリニックが偽りの証明書を発行したとあり、1つの民間医療機関だけが行った詐欺事件ではないことがわかります。
こうした現在のコロナ危機を利用し、個人利益のため人の弱みをつく犯罪が少しでもなくなってほしいものです。
www.svt.se
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