スウェーデン 福祉大国の深層 続報!

『スウェーデン 福祉大国の深層』を水曜社より商業出版(政府刊行物)して頂けました。読者の方からの要望を頂きスウェーデンの時事ニュースを主な内容とし、日本にも役立ち社会貢献にもつながるようなブログを記させて頂きます。

スウェーデン「事故多発!無規制で無秩序な電動キックボード」

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無規制で無秩序な電動キックボード

近年、アメリカのロサンゼルスが発祥の地である電動キックボードが世界中で流行となっています。

 

日本でも2021年5月20日より、電動キックボードシェアアプリの提供を大阪キタ(梅田)・ミナミ(難波、天王寺)の2エリアで実証実験として開始することを発表しました。

 

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スウェーデンでは2018年頃から多くの電動キックボードが街中を走るようになりました。スウェーデンではこの電動キックボードが街中のどこにでも置いてあり、携帯電話を使い簡単に路上でレンタルすることができます。


ただ現在その台数は非常に増えており、歩道で歩行者の脇を高速ですり抜けて行く電動キックボード利用者が多いです。


日本では既に電度キックボードを取り締まる法律があり、スクーターと同じようにナンバープレートをつけて公道を走る必要があります。


しかし2019年11月の新聞アフトンブラデットによると、スウェーデンでは電度キックボードは自転車と同じ扱いであるため、特に取り締まる規制がなく自治体も対処ができないと報じられています。

 

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そのため多くの電度キックボードを利用者は自転車道だけではなく、歩道を走行したり、車道を走行したり無秩序に走り回っています。中にはショッピングモール内で電度キックボードを走らせているり人もいます。


またスウェーデンでは電度キックボードを利用後どこにでも放置することができるため、歩道上に無造作に転がっていることが頻繁にあります。なぜか自転車置き場のトタン屋根の上に投げられ放置されている電度キックボードを目撃したこともあります。

 

こうした歩道上に無造作に置かれている電度キックボードは、足が不自由な高齢者視覚障害、また小さな子供が電度キックボードを避けて車道を歩く必要があるため、非常に危険であります。

 

スウェーデンでは2018年ころから電度キックボードは迷惑であるとニュースにはなっているものの、現在も特に取り締まる規制がない状況です。

  

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ストックホルムでの電動キックバイクの大群

首都ストックホルムでは電動キックバイクが非常に多く、電動キックバイクの大群が車道、歩道などをかまわず走り抜けていることもあります。

 

下記の動画でストックホルムの電動キックバイクの大群を閲覧できます。

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電動キックボードの事故増加と死亡事故

スウェーデンでは無規制状態の電動キックボードであるため事故が毎年増加しています。

 

7月23日の新聞アフトンブラデットによれば、2019年には708件の事故が発生しました。2020年には798件にまで増えています。

 

ストックホルムに住む26歳の女性キミアさんは、家に帰る途中電動キックバイクを使用し交差点で転倒し、地面に顔をぶつけあご頬骨を骨折し、歯を5本折る重症を負いました。

 

この事故から2年近く経ちましたが、キミアさんはまだ完全には回復していないとのことです。

 

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電動キックボードで顔に重傷を負った26歳のキミアさん(閲覧注意)

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また怪我だけではなく死亡事故も発生しています。

 

7月23日の新聞アフトンブラデットによると、ヘルシンボリに住む26歳のヨナタンさんは、友人と電動キックボードに試し乗りをしていました。そして交差点で車と衝突し死亡する事故が発生しました。

 

現在、非常に多くの電動キックボードによる事故が発生していることがわかります。

 

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電動キックボードへの制限

7月27日の新聞アフトンブラデットによると、多発する事故を受け電動キックボード会社のボルトは夜間使用制限を設けはじめました。

 

現在ストックホルムヨーテボリ、マルメ、ルンドでは金曜日と土曜日の夜の00:00から05:00の間は、同社の電動スクーターを借りることはできないとのことです。

 

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2020年1月の新聞アフトンブラデットによれば、マルメ市のすべての学校で電気キックが禁止されています。

 

学校から電動キックボードが危険という通告により、学校区域および幼稚園内で電動スクーター利用の停止を決定しました。

 

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電動キックバイクの問題はスウェーデンだけではなく他国でも問題となっています。

 

2019年10月新聞アフトンブラデットによれば、 フランスは電動キックボードの規則を厳しくし歩道での走行は禁止交通に逆らうことも禁止されています。

 

2020年7月には、電動スクーターの最高速度も時速25kmに制限されます。

 

またパリでは歩道へ駐車した場合35ユーロ(約4,500円)の罰金となり、運転速度違反では最高15,000クローナ(約19万円)の罰金が科せられると報じています。

 

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2020年10月の新聞アフトンブラデットによれば、デンマークでは 2019年に電動キックボードが街路に広がって以来議論がされ、レンタル会社は独自の制限を導入することで対応しています。

 

しかしそれだけでは十分ではないと首都コペンハーゲンの市長は語り、コペンハーゲンの大部分の道路や歩道での電動キックボードのレンタルが停止されています。

 

ただ店舗ではレンタルは可能ですが、電動キックボードはレンタルした場所に返却する必要があります。

 

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環境へも悪影響の電動キックボード

2020年10月の新聞アフトンブラデットによれば、電動キックボードは車の旅やその他の輸送手段に大きく取って代わるものではなく、散歩に取って代わるもだと報じています。

 

この記事の中では数人の意見が記されています。意見を述べているアンダース氏は、電動スクーターは車の旅やその他の輸送手段に大きく取って代わるものではなく、散歩に取って代わるものであり、 「そうした観点から、電動キックボードは環境にとっても私たちの健康にとっても最悪のものかもしれない」と語っています。

 

またジュリア氏は、スウェーデンでは電動キックボードが他の国のように特定の駐車エリアに駐車させないのは冗談のようだと述べ、

「電動キックボードは特定の駐車エリアに駐車させれば解決できる問題のはずだ。小さな赤ん坊がいる私にとっては、電動キックボードがあふれているためベビーカーで市内へ行くのに非常に苦労している。」と語っています。

 

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2019年9月の新聞アフトンブラデットによれば、ストックホルムの左派党の気候政策スポークスマンであるリカード・ワレニウス氏が討論記事で記した中に、電動キックボードの平均寿命は現在6週間しかなく、歩行者自転車に取って代わった場合には気候に悪影響を与えると指摘しています。

 

またニューヨークの調査によると、電動キックボード利用者の49%歩行者自転車とって代わられたと記されています。

 

新聞アフトンブラデットは全国視覚障害者協会からの電動キックボードに対する批判を受けており、電動キックボード会社ヴォイ(Voi)のCEOとも話し合いをしているとあります。

 

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7月28日の新聞アフトンブラデットによれば、ファッション科学者のフィリップ・ワルカンダー氏が、電動キックボード利用者の心理を研究しました。

 

記事では金持ちがテスラを持つのと同じように、電動キックバイクは労働者階級のステータスだと報じています。

 

ワルカンダー氏は、電動キックバイクを走行する際に自分が街の物語の主人公と見なし、他の人をエキストラと見なし、裕福でない人々全く必要でない費用を支払っていると述べています。

 

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現在非常に多くの電動キックボードが街中を高速で走っており、高齢者小さな子供が歩く際は気を付けて歩く必要があります。また歩道に無秩序に放置された電動キックボードは歩行者にも非常に迷惑です。

 

新聞アフトンブラデットの記事からも、非常に多くの事故が発生しており、環境にも悪影響であるとも報じられています。

 

スウェーデンはお年寄りや子供に優しい国、環境国家として世界へ発信しています。そうであれば高齢者や子供が安心して街中を歩け、かつ身近なところから環境に配慮した政策を他のヨーロッパ諸国と同様早急に制定してもらいたいものです。

 

また現在日本でも電動キックボードレンタルの導入を検討しています。

その為スウェーデンのように問題が起きてから対処を考えないよう、導入前に電動キックボード導入の目的やリスクを十分検討し、導入の可否を決定したほうがよいのではないでしょうか。