スウェーデン「風邪でも医師に診てもらえない医療 – 患者リスクとコスト増への懸念」
11月3日のスウェーデン公共テレビSVT によれば、スウェーデンの医療サービス「Doktor24」は、オンライン診療での看護師対応をすべてデジタル診断ツールに置き換えると発表しました。
これに対し、医療関係者からは、患者が必要なサポートを受けられなくなるリスクや、税金負担が増えるといった懸念の声が上がっています。
この新しいデジタル診断ツールは患者が入力する情報をもとに診断しますが、「患者が質問を誤解したり、大事な情報を伝えないリスクがある」と看護師たちは指摘しています。
また、簡単な症状でも医師に診てもらうケースが増え、医療コストがかさむ可能性も問題視されています。
www.svt.se
風邪でも医師に診てもらえない医療
ただこの話を聞いて、一般の日本人はこの意味がぱっと理解できないかもしれません。
というのはスウェーデン医療は日本の医療と大きく違い、風邪や軽い病状では、まず看護師による診断がなされ、看護師が医師による診断が必要と見なさない限り、医師に会うこともできないのです。
医師による診断を減らすことで、医療費の節約をするためです。
さらに日本とは違うホームドクター制を取っているため専門医にも直接診てもらえません。さらにホームドクターに診てもらうにも早くて数日待たなくてはなりません。
このスウェーデン医療の状況については、ロンブー田村敦さんMCのアベマプライムに私が出演させていただいた時に少しお話をさせていただきました。
そうした問題を減らすためデジタル診断Dokto24ができました。
しかし、このDokto24でも初期診断は看護師によるものであり、医師による医療費の削減を行っています。
これにより、この記事によれば、670万クローナ(約1億円)の利益をあげています。
にもかかわらず、医療費の税金増は予測される反面、民間企業Doktor24はさらに経費を削減し利益増を図るため、看護師を解雇しデジタル診断に置き換えようとしています。
現在のスウェーデンでは、医療の質より医療費削減が優先されている状況となっています。
スウェーデンの医療については、著書『スウェーデン、福祉大国の深層』で細かく説明していますので、宜しければお読みください。
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