スウェーデン 福祉大国の深層 続報!

『スウェーデン 福祉大国の深層』を水曜社より商業出版(政府刊行物)して頂けました。読者の方からの要望を頂きスウェーデンの時事ニュースを主な内容とし、日本にも役立ち社会貢献にもつながるようなブログを記させて頂きます。

スウェーデン「核ごみの国内最終処分場を承認」

https://images.unsplash.com/photo-1630142896875-d71a6ee6db03?ixlib=rb-1.2.1&ixid=MnwxMjA3fDB8MHxwaG90by1wYWdlfHx8fGVufDB8fHx8&auto=format&fit=crop&w=1169&q=80

核ごみの国内最終処分場を承認

1月28日のイギリスのロイター通信によると、政府が核ごみの国内最終処分場を承認したと報じています。

ストックホルム 27日 ロイター] - スウェーデン政府は27日、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)最終処分場を南部エストハンマルのフォルスマルクに建設する計画を承認したと発表した。

 

計画では地下500メートルに埋めて保管する。スウェーデンには原発が導入された1970年代からの核のごみが約8000トンある。

 

ストランドヘル環境相は記者会見で「(放射能の影響がなくなるまでの)約10万年間、安全に保管するための過去40年の研究の成果だ」と語った。化石燃料を使用しない先進国となる取り組みの一環だと強調した。

 

世界で50─60年代に原発導入が始まって以来、各国は核のごみの処理という難問に直面している。国際原子力機関IAEA)の推計では一時貯蔵される核のごみは世界で約37万トンに上る。

 

jp.reuters.com

 

1月27日のスウェーデン共テレビによれば、木曜日の朝の政府会議で気候環境大臣のアンニカ・ストランドヘル氏は、

本日の決定でフィンランドとともに、私たちはこの分野の世界的リーダーとなるでしょう。

このアプリケーションは、40年以上にわたる研究開発の結果であり、最大10万年間安全である

スウェーデンの電力供給を確保し、スウェーデン経済とスウェーデン雇用を確保することは長期的には重要なステップです。

この決定が既存の原子力発電の使用を確保し、スウェーデンが世界初の化石のない福祉国家への移行の管理に貢献することだと述べています。

 

しかしこれに対し緑の党は最終処分場の構築に批判的でありました。

 

緑の党スポークスマンペール・ボールンド氏は、この決定は無責任であると呼び、方法については依然として大きな不確実性があると述べています。

一流の研究者は、カプセルは100年も持続しないと指摘しています。この核廃棄物は、今後数十万年にわたって隔離されなければならないことを知っています。

と述べています。

 

www.svt.se

 

ただ「スウェーデン 福祉大国の深層」でも記しましたが、スウェーデンは1979年に起きたアメリカのスリーマイル島原子力発電所事故を受け、1980年に世界に先駆け2010年までに全原発を廃止する」と国民投票で決定した国 でした。

 

しかし多くの専門家から、脱原発による電気料金上昇と二酸化炭素排出量の増加の問題を考慮するべきと指摘をうけ、1998年に政府は方針を転換し、2010年以降も原発利用続行を決定し現在に至っているのです。

 

イギリスでは、2016年6月23日に欧州連合EU)を離脱すべきかどうかを決める国民投票が行われ、2020年1月31日に実際にEUから離脱しました。

 

しかし今回のスウェーデンの国内最終処分場を承認は明らかに、1980年に世界に先駆け「2010年までに全原発を廃止する」と国民投票に反した決定となっています。

 

民主主義で最重要である国民投票結果と全く反対の決定をスウェーデン政府は実施しても良いものでしょうか?

 

世界の長者の原発先行投資

2021年6月3日のロイター通信によれば、

[ワシントン 2日 ロイター] - 米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が会長を務める原子力ベンチャーテラパワーと電力会社パシフィコープは、米ワイオミング州にナトリウム冷却型の次世代原子炉第1号を建設する。同州のマーク・ゴードン知事が2日、明らかにした。

 

ゲイツ氏は約15年前テラパワーを立ち上げ、「ナトリウム」と呼ばれる次世代原子炉の開発を支援してきた。パシフィコ―プは著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイの傘下企業。今回建設されるナトリウム原子炉実証プラントの詳しい建設地は年末までに発表するとした。

と報じられています。

 

https://www.euractiv.com/wp-content/uploads/sites/2/2020/08/Bill-Gates-scaled.jpg

jp.reuters.com

た12月1日のスウェーデン共テレビSVTの中で、多くのスウェーデン企業を保有するトップビジネスマンであるヤコブ・ヴァレンベリ氏が、

経済界と政治が長期契約に合意できれば、資金調達の条件も見つかると確信しています。

原子力発電の建設の必要性をで強く語っています。

 

kon-51.hatenablog.com

www.svt.se

 

1月3日のNHKの記事によりますと、

脱炭素社会の実現を目標に掲げるEUヨーロッパ連合は、原子力発電についても「持続可能な経済活動」として、投資を促す方針を明らかにしました

とあります。

 

しかしなぜかEUスウェーデン政府の核のゴミの最終処分場決定以前に、億万長者であるアメリカのビル・ゲイツ氏や、スウェーデンの大富豪ヤコブ・ヴァレンベリ氏は政府決定以前にすでに先行投資に動いていたのです。

 

環境問題は人類の存亡にも関わる非常に大きな問題です。

 

ただ現在の資本主義化の経済制度の下において、将来的に生命が生き残る地球環境を保全できるかは、今後さらに大きな課題に上がるのではないでしょうか?