2020年の温室効果ガス排出量:記録的な削減
現在地球温暖化が世界で大きな問題となっています。
そのため10月31日に始まった国連気候変動枠組条約第26回締約国会議 (COP26) では、温室効果ガスである二酸化炭素排出を減らすため気温上昇を産業革命以前と比べて1.5度に抑制するとの目標を確認し、2030年までに世界の温室効果ガスの排出量を2010年対比で45%削減し、今世紀半ばにはネット・ゼロにする目標が再認識されました。
日本は2030年目標として2013年度と比べ46%削減とし、アメリカは2005年比で50 ~ 52%減、中国は二酸化炭素排出量のピークを2030年より前にすることを目指し、GDP当たり二酸化炭素排出量を2005年比で65%削減としました。
EUは2030年の温室効果ガス削減目標として1990年比で少なくとも55%削減を掲げています。スウェーデンもEU目標と同様、1990年比で少なくとも55%削減としています。
そうした温室効果ガスの排出量が注目される中、12月17日のスウェーデン公共テレビSVTによれば、2020年においては前年と比較して温室効果ガスが約9%減少し記録的な減少だと報じられています。
www.svt.se
ただ記事によれば、温室効果ガスの記録的な減少は、主にパンデミックによるものですが、今後も続く可能性もあるとのことです。
スウェーデン環境保護庁のアナ・カーリン・ニーストローム氏によると、
現在、産業、エネルギー部門、運輸部門で多くのことが起こっています。
と語っています。
今年の夏、スウェーデン環境保護庁は、2020年におけるスウェーデン国内で発生するの温室効果ガス排出量は6.8%減少するという予測値をだしましたが、現在、温室効果ガスが8.9%減少したと上方修正しました。
この現象は統計が開始された1990年以から最大減少でした。
ただスウェーデン環境保護庁のアナ・カーリン・ニーストローム氏は、
(減少した理由の)大半はパンデミックの影響によるものです
とも語っています。
2020年のスウェーデン国内の総排出量は、二酸化炭素換算で4,630万トンでした。
最大の排出削減は、主に鉄鋼業界でされています。ただ運輸業界や電気および地域暖房の分野でも急激に排出量が減少しています。
産業界において生産量が減り、その結果排出量が少なくなっています。また道路での車の移動がはるかに少ないこともわかります。
とアナ・カーリン・ニーストローム氏は語っています。
ただスウェーデン環境保護庁によれば、2020年の減少は主に一時的なものであり、今後数年間で排出量が増加すると予想されていると述べています。しかし特に運輸業界ではさらに持続的な減少が見られとのことです。
自動車性能が向上し電気自動車が増え排出量が削減されています。またガソリンやディーゼルの代わりにこれまでより多くのバイオ燃料が使用されています。
スウェーデンの電気自動車普及は、スウェーデン環境保護庁がこれまで予想していたよりも速かったです。
とニーストローム氏は説明します。
またニーストローム氏は化石燃料使用を含まない生産方法への鉄鋼業界投資や、エネルギー部門での石炭の段階的廃止されることで、将来的も継続的に排出削減がされると予測しています。
2020年の気候目標の達成
スウェーデンの長期的な気候目標は、2045年までに温室効果ガスの排出を実質的になくすことです。
現在スウェーデン環境保護庁は、2020年における目標に到達していると述べています。
2020年のEUの排出量取引に含まれない排出量の一部の排出量は、1990年の排出量よりも40%少なくなりました。
そしてスウェーデン環境保護庁はスウェーデンは、コロナパンデミックの影響に関係なく、温室効果ガス削減の目標を達成したと述べています。
スウェーデンにおける2020年の温室効果ガスの排出量は記録的に減りましたが、パンデミックの影響だけでなくても削減目標に到達しており、これまでのところ2045年の温室効果ガス排出実質0に向けての取り組みが上手く機能しているようです。