スウェーデン 福祉大国の深層 続報!

『スウェーデン 福祉大国の深層』を水曜社より商業出版(政府刊行物)して頂けました。読者の方からの要望を頂きスウェーデンの時事ニュースを主な内容とし、日本にも役立ち社会貢献にもつながるようなブログを記させて頂きます。

スウェーデン「深刻な教師不足に陥る北部キルナ市、小学校教員資格者は57%」

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深刻な教師不足に陥る北部キルナ市、小学校教員資格者は57%

9月2日のスウェーデン共テレビSVTによると、キルナ市のスバッパバーラ地区にある小学校では教師不足により、5,6年生の生徒が別地区の学校に通学を余儀なくされていると報じています。

記事によれば、スバッパバーラ地区にある小学校では教師が離職し街を去り、今春から求人を出すも今だ教師が見つかっていません。

 

キルナ市の演劇学校の校長コニー・パーソン氏は、

今春の初めから求人を出していますが、何の返事もありません

と語っています。

 

そのため5,6年生10人が、2.8km離れたビッタンギ地区の学校へ通うこととなりました。しかし生徒の親であるテレサ・サボネンさんによると、

学校が始まる1週間前に(子供を別の学校に通わせる事)を伝えられました。私たちがこの状況(子供を別の学校に通わせる事)に陥るということは学校にとって大した問題ではなかったかもしれません。

と語っています。

 

また生徒の両親は今後も別の地区の学校に通学することを心配していますが、コスミンポップさんによると、

通常、一度別の学校に通い始めた生徒は元の学校に戻ってきません。また教師が見つかる可能性も非常に低い

と述べています。

 

現在、スウェーデン北部にあるキルナ市では切実な教師不足に陥り求人がされていますが、なかなか教師がみつかりません。

 

そのため教員資格を持たない教師も多く、記事によれば昨年キルナ市の小学校においては教員資格をもつ教師の割合は57%しかおらず、国内で最低水準であったと報じています。

 

www.svt.se

低い教員資格保持者率(3人に1人の教師が義務教員資格なし)

しかし小学校において、教員資格保持している教師が少ないのは、キルナ市に限ったことではありません

 

スウェーデン 福祉大国の深層の中で記していますが、スウェーデン教育庁によれば2019年では義務教育において70.5%しか教員資格をもっていません。さらに2020年には70,1%とさらに減少し、3人に1人の教師が教員資格を保持していないとのことです。

 

また高等学校でも2020年で81.6%しか教員資格を保持しておらず教師不足であるとスウェーデン教育庁は報告しています。

 

日本の教育基本法には教育について次のように記されています。

(教育の目的)

第一条 教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。

(幼児期の教育)

第十一条 幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることにかんがみ、国及び地方公共団体は、幼児の健やかな成長に資する良好な環境の整備その他適当な方法によって、その振興に努めなければならない。

 

このことからも教育が国家の礎として大変に重要な要素であることがわかります。そして子供たちに高度な教育を提供するためには教員資格をもつ教師が必要となります。

 

しかし現在のスウェーデンでは教師不足に悩まされ、義務教育においては3分の1しか教員資格を保持していない状況に陥ってしまっています

 

スウェーデンでの具体的な教育問題はスウェーデン 福祉大国の深層で記しています)

 

www.skolverket.se