1994年に起きた20世紀最悪の海難事故
レオナルド・ディカプリオ主演の映画「タイタニック」は誰もが知る有名な映画です。
この映画タイタニックは1912年4月14日深夜、北大西洋上で氷山に接触、翌日未明にかけて沈没した実際の沈没事故をもとに作成されました。このタイタニックによる犠牲者数は乗員乗客合わせて1,513人であります。大変に悲劇的な100年以上前に起きた痛ましい沈没事故です。
しかしこのタイタニック規模の沈没事故が、近代においても起きていたことはあまり、日本であまり知られていないのでないでしょうか?
今から約27年前の1994年9月28日、エストニアからスウェーデンに航海中の客船エストニアは突如バルト海で沈没しました。その沈没事故による犠牲者は852人もおよび20世紀最悪の海難事故の一つとして知られています。
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しかしこの20世紀最悪とも呼ばれる27年前に沈没事故ですが、スウェーデン、エストニア政府とも調査に非常に消極的であり未だに原因不明の未解決事件なのです。またスウェーデン、エストニア、フィンランド政府はフェリーが沈んだ場所は、亡くなった方々の墓であるとし、沈没したフェリー付近での海中調査をこれまで禁止していました。
しかし27年間も調査が進展せず未解決であったこの沈没事故ですが、スウェーデンのドキュメンタリー番組Discovery+のシリーズ「エストニア」の中で、これまでの事故公式見解を覆すほどの穴が船体から発見され、新たな証拠が示されました。
この番組はスウェーデンで大きく報じられ、とうとうエストニア、スウェーデン、フィンランドの外相が「新たな情報の調査をする」と共同声明を出したのです。
Discovery+『Estonia』
https://www.discoveryplus.com/ie/show/estonia
事故から27年後に再開された客船エストニア号調査の進展
これまで沈没海域は墓であるとし調査ダイビングも禁止とされていましたが、このドキュメンタリー番組により7月1日よりフェリー付近海域でのダイビングが可能となり27年たった現在やっと3カ国による合同調査が始まりました。
7月13日の新聞アフトンブラデットの記事によると、エストニアの事故調査委員会は船体にこれまで知られていなかった2つの亀裂が発見されたと報じています。
スウェーデン事故調査委員会委員長であるヨナス・ベックストランド氏によれば、現在「メソテック」と呼ばれるスイープソナー調査が実施され、船体にひびが入っている可能性があるというデータがあるとのことです。しかしまだ断言するには早くデータを詳しく調べる必要があると述べています。
また最終的にすべての調査報告書は公開されますが、データを編集するのに数か月かかると、事故調査委員会は発表しています。
www.aftonbladet.se
www.svt.se
なぜこれほどまで大きな海難事故でありながら、
沈没海域は墓であるとし各国政府は調査ダイビングも禁止し、27年間も調査がされてこなかったのでしょう?
この事は多くの人々に疑念をもたせ、現在も様々な噂が飛び変わっています。
イギリスの新聞ガーディアンによると、関係国は事故の原因再調査に消極的であり、多くの事故発生説が上がりましたがどれも証明されてていません。その説の中には軍艦または潜水艦との衝突、組織犯罪集団の関与、または船で爆発が起こった説もあると報じています。
www.theguardian.com
またドキュメンタリー番組「エストニア」の中でも、スウェーデンのジャーナリストであるラーシュ・ボーグナス氏は、スウェーデンの諜報部(KSI)が関与しており、客船エストニアにはロシアからスウェーデンへの武器密輸があったのではと語っています。
2004年に公共テレビSVTは当時バルト海のスウェーデン軍武官ソーレン・リンドマン氏にインタビューをしています。インタビューの中でリンドマン氏は物資がロシアからエストニアへ国境を越えて流れており、恐らくスウェーデンへもスウェーデン当局の知らないところで流れていたと語っています。
しかしスウェーデン軍がスウェーデンの諜報部(KSI)の物資輸出に協力していたかというSVTの質問に対し
「私はこの質問に答えられない」と述べ、スウェーデン軍が武器密輸に関与していたことを匂わせる返答をしているのです。
852人もの犠牲者を出した20世紀最悪とも呼ばれる海難事故ですが、27年たった今も調査が進められず原因不明である背景には、スウェーデン軍による武器密輸が関係している可能性もあるのです。2021年7月1日より3カ国合同での事故原因調査が再開されました。早急に調査が進み真実が明るみになってもらいたいものです。