スウェーデン 福祉大国の深層 続報!

『スウェーデン 福祉大国の深層』を水曜社より商業出版(政府刊行物)して頂けました。読者の方からの要望を頂きスウェーデンの時事ニュースを主な内容とし、日本にも役立ち社会貢献にもつながるようなブログを記させて頂きます。

スウェーデン石油企業、石油利権のためスーダンで戦闘助長、国際法違反で起訴

 

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アフリカの角」と呼ばれる不安定なスーダン情勢

アフリカの北部、エジプトの下にスーダン共和国があり、の下には南スーダンがあります。もともとこの国は1つの国でしたが、2011年7月9日に南スーダンが独立し、スーダン共和国南スーダンに分裂しました。

 

しかし南スーダンには石油など豊富な地下資源が眠っており、その境界の資源の帰属を巡ってスーダン政権との間に衝突が起き、 2012年には国境の油田を巡って武力衝突が発生しています。

 

2021年10月25日には、暫定政権のハムドク首相が軍に拘束され、統治評議会のブルハン議長が同評議会と暫定政権の解散を宣言し、全土への非常事態発令を表明することになりました。

 

しかし11月22日のイギリス公共放送のBBCによれば、21日に軍によるクーデターで政権の座を追われたアブダラ・ハムドク首相が復権したと報じています。

 

スーダンで、先月起きた軍によるクーデターで政権の座を追われたアブダラ・ハムドク首相が21日、復権した

ハムドク首相はクーデター後、自宅軟禁に置かれていた。国内では軍に対する大規模な抗議デモが続いていた。

ハムドク首相は21日、クーデターを率いたアブドゥル・ファッターハ・ブルハーン将軍との間で、新たな権限分担の合意書に署名を交わした。その模様はテレビで放送された。

 

首都ハルツームでは、大統領府に向けて行進していた抗議デモの参加者らに、治安部隊が催涙ガスを発射した。デモ参加者らは、軍に対して政治への関与をやめるよう求めていた。

先月25日に軍が緊急事態を宣言し、文民による政権を解散させて以降、大規模な抗議デモが続いている。これまでに少なくとも40人がデモで死亡している。

ハムドク首相は、暴力を止めるために今回の合意に応じたと述べた。

ブルハーン将軍は内戦を防ぐために行動したとしている。政治団体が民間人と治安部隊の対立をあおっているため、内戦の恐れがあったとしている。

スーダンでは2年前、長期にわたって政権を握ってきたオマル・バシル大統領が失脚。以来、民主化指導者らと軍指導者らが合意に基づき共同統治してきた。

その合意では、ブルハーン将軍が国家元首を辞任し、今月、文民に地位を譲ることになっていた。

BBCのメアリー・ハーパー・アフリカ編集長は、今回の合意を軍が誠実に履行するか疑問だとした。

スーダンで不安定な状況が続くことで、アフリカの角と呼ばれる地域の情勢が一段と悪化することが懸念されている。

 

スーダンでは南北分裂以前、以後も軍の影響力の強い影響力があり、その裏には石油の利権も絡んでいるようです。そして現在もスーダンでは軍の影響が強く情勢はとても不安定であるようです。

 

www.bbc.com

 

スウェーデン石油企業、石油利権のためスーダンで戦闘助長、国際法違反で起訴

そうした軍の強い影響力や石油利権の絡むスーダンでありますが、11月11日のスウェーデン共テレビSVTによると、スウェーデンの石油企業であるルンディン石油イアン・ルンディン会長と元CEOのアレックス・シュナイタが、1999年5月から2003年3月にかけてスーダンにおいて国際法に違反した犯罪支援や幇助したとし起訴されたと報じられています。

 

検察庁のプレスリリースによれば、ルンディン石油スーダン南部での石油事業を確保するために、当時のスーダン政権戦時下において国際法違反をし幇助していた疑いがあります。

 

SVTの記事ではスウェーデンの石油会社ルンディン石油はスーダンで内戦が始まった1991年より、南スーダンで採掘活動を始めました。そして石油事業を確保するために、民間人に影響を与える地域で戦闘や攻撃をもたらしたとあります。

 

検察庁によると、ルンディン石油は軍や民兵により管理されていない地域においてスーダン政府のために道路建設着手していました。しかしルンディン石油はこうした地域での石油採掘計画をしていることを政府に通知し、政府はこの地域で軍と民兵を送り戦闘をすることで地域を支配をするにいたりました。そのためこうした軍や民兵による一般市民を対して行った戦闘は犯罪行為であると検察庁は述べているのです。

 

そして検察官カロリナ・ヴィースランダー氏によれば、ルンディン石油代表であるイアン・ランディン会長と元CEOのアレックス・シュナイターは、1999年5月から「2003年3月まで石油(採掘)作戦を可能にするため軍や同盟民兵による犯罪行為を助長し続けていた」とのことです。

 

この起訴によりルンディン・エネルギーABは13億91,79万1千クローナ(約177億6千万円)が没収されることになりました。検察官によればこの没収額は、2003年にランディン・エネルギーABが事業を売却し得た利益の価値に当たるとのことです。

 

しかしイアン・ランディンの弁護士トルニー・ウェッターバーグ氏は、

この起訴は著しく間違っています。検察官の示す有罪判決を受ける入れることはできません。この起訴状を覆します。

と述べており、犯罪の事実を否定しています。

 

www.svt.se

スウェーデンと他国軍事関係

平和国家のイメージの強いスウェーデンであるため以外のように感じるかもしれませんが、国際ニュースを読んでいると、しばしスウェーデンと紛争国における軍隊や武器の関連記事を目にすることがあります。

 

2015年のワシントンポストによると、フェミニスト」の外交政策を公約していた当時の外務大臣マルゴット・ヴァルストロームが、ツイッターサウジアラビア独裁政権と呼び非難しました。

 

www.washingtonpost.com

 

ただこのサウジアラビアへの批判は、スウェーデンサウジアラビアの関係に亀裂が生じビジネス関係が悪化するのではと危惧されました。

それというのもサウジアラビアスウェーデンにとって大きなビジネスパートナ国だからです。

 

2015年のスウェーデン公共ラジオSRによれば、2014年におけるスウェーデンからサウジアラビアへの輸出額は13億ドル(約1495億円)におよび、そのうち武器輸出額は3900万ドル(約44億8500万円)にも及んだとあります。

 

sverigesradio.se

 

この外務大臣マルゴット・ヴァルストロームサウジアラビア批判で、スウェーデンのビジネスマンへのビザ停止の事態にまで至りました。しかしその後ビジネス関係は回復し、スウェーデン企業が再びサウジアラビアに代表団を派遣していると報じています。

 

sverigesradio.se

 

また最近のスウェーデンと他国の軍関連事件としては、チリからの国際養子縁組問題も挙げられます。

 

2018年にスウェーデン共テレビSVTによれば、チリで70年代から80年代母親の同意なしに子供が養子縁組されていた可能性があることが明らかになりました。そして2018年以降において630件以上スウェーデン人の元への養子縁組事犯罪が明らかになり捜査が進んでいます。

 

スウェーデンの新聞ダーゲンズ・ニーヘタによると、チリの軍事政権フンタスウェーデンとの関係を改善を目的に政治的擁護キャンペーンとしてスウェーデンへの養子縁組を利用したと報じています。

 

さらに7月3日の スウェーデンのオンライン雑誌ニュース・ヴォイスによればスウェーデン政府とスウェーデンの大企業はチリの軍事であるピニェラ政権と武器取引を結んでいると報じています。

スウェーデン政府が人身売買の疑いがあると警告を受けていたのは1997年ですが、1995年にはスウェーデンの戦闘機サーブグリペン39を販売していのでした。

 

また2019年にスウェーデンの武器工場がチリ南部で操業開始され、チリ政府は(軍事政権の)抗議者を攻撃するのに使用されるスウェーデン製の小型武器を購入したと記るされてています。

 

スウェーデンにおける国際養子縁組問題も他国の軍事政権と関連のあるような問題でもあるようです。

 

kon-51.hatenablog.com