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スウェーデン「コロナ:ワクチン集団免疫理論は正しくなかったと保険局長(ヨーテボリ新聞より)」

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9月3日時点で、スウェーデンの成人人口(18歳以上)の82.3%が1回のコロナワクチンを接種し、71.5%が2回目のワクチンを接種しています。

 

2003年から2005年に生まれた人々のうち、198,222人が少なくとも1回のワクチン接種を受け、56.4%に相当します。 そのうち25,119人(7.1%)が2回の接種をしています。

 

しかし最近1日の感染者が増加し続けており、9月3日の公共テレビSVTによると1日で1,394人の感染者と報じられています。

 

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ワールドメータス統計「スウェーデン1日の感染者数」2021年9月7日時点

 

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9月5日のヨーテボリ新聞に、「ワクチン集団免疫理論は正しくなかった」というタイトルの記事が掲載されています。

 

記事によると、スウェーデン西部ヴェストラ・イェタランド地域保険局長であるヤン・キルハムン氏は、今年5月にワクチン普及により集団免疫獲得が数瞬間後にあると予想していました。しかし現在ヴェストラ・イェタランド地域ではコロナ感染が増加しているとのことです。

 

ヴェストラ・イェタランド地域の病院では不満が高まっており、この地域の保健局長のヤン・キルハムン氏は、当初に意図したとおりにはならなかったと述べています。

 

5月初旬ヨーテボリ新聞でのインタビューでヤン・キルハムン氏は

ワクチン接種率約60%に達すると、ワクチンを接種していない人でも非常に良い効果が得られます。それが我々が目指している集団免疫です

とコロナワクチン接種により、集団免疫がすぐ数週間先になると語っていました。


夏までは感染者数は少し下がっていましたが、現在は多くのコロナ患者が再び病院で治療を受けており約15人が集中治療室にいます。大多数はワクチン接種していないとのことです。

ヨーテボリ新聞が「5月の見解は誤算でしたか?」という質問に対しヤン・キルハムン氏は、

はい、私たち幾人かの声明を修正しなければなりません豚インフルエンザやその他の空気感染の経験に基づいて、私たちの大半はそれで十分だと考えていました

申し訳ありませんが、今起きていることはデルタ株が到着してからであり、(予想より)はるかに伝染性が高いということです。広範囲にわたるワクチン有効範囲を予測するのに必要なものに感染性も関係しています。 当時私たちが考えていたのはアルファ株でした。現在、デルタ株60〜70%伝染性高いと推定されており、どのワクチンでどれほどの範囲に到達するかもわかります。

と答えています。

 

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「ゲーム計画を変えたのはデルタ株ですか?」という質問に対し、

次のように言えます。我々はウイルスに対抗しており、社会的行動とワクチン接種に対するウイルスの感染力とがバランスをとっています。私たちが現在よりも高い(ワクチン接種)に到達することが明らかに重要です。 これまでのところ順調に進んでいると思いますがさらに先に進む必要があり、決して終わったわけではありません 

とヤン・キルハムン氏は答えています。

 

前任のアン・ソーダストローム氏が今春に辞任し、ヤン・キルハムン氏がヴェストラ・イェタランド郡の医療責任者として引き継ぎました。パンデミックの状況は明らかに変化しており、コロナ感染で重篤になる完全ワクチン接種患者の数はわずかです。

しかし、この地域で定期的な治療再開できたとしても大きな懸念が残っています。それは、感染が拡大しているにもかかわらず、西部地域の数十万人いまだワクチン接種しておらず感染するリスクがあるということです。

 

6月から7月にかけてこの地域の病院のコロナ患者のうち73%(2度目接種から2週間未満の者)はワクチンを接種していませんでした。集中治療室(IVA)でのワクチン未接種者の割合は、それよりもさらに高くなっています。


またヴェストラ・イェタランド地域では、大都市においてワクチン接種率が特に低い地域があります。特にヨーテボリ市のアンゲレッド地区です。他の地区で接種率が80%以上にも関わらず、アンゲレッド地区では全成人の約50%しかワクチン接種を受けていません。

(アンゲレッド地区は移民・難民の多い地区で、スウェーデン語ができない人、異なる文化をもつ人が多くいます)

予防接種対象が上がるにつれて、予防接種は厳しくなっていきます。私たちが今行っている対策は、言語、文化、当局への不信という課題を我々の経験を通し橋渡しすることです。それはまた、ワクチン接種の問題からイデオロギー的問題になる簡単に達成することはさらに難しくなっていきます。

とヤン・キルハムン氏は答えています。

 

ヤン・キルハムン氏は、今春想定していた集団免疫理論が正しくはないとし、ワクチン接種の必要性について話すとき、ワクチンにより社会が魔法のような免疫獲得できるとことに焦点を当てていないとし、

(公衆衛生庁の疫学者)アンダース・テグネル氏もそれを表現したように、私たちはコロナと一緒に暮らさなければなりません。残念ながら重度の肺炎を引き起こす可能性のある呼吸器感染症の1つとしてこれがあります。私たちはそれを完全に取り除くことはできませんが、(ワクチンは)重篤死亡リスク確実に減らすことができます。 

と語っています。

 

ワクチンは確実に重篤者や死亡リスクを減らすものの万能薬ではないため、今後もコロナと共に生活をしていく必要がありそうです。

 

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