
スウェーデン「環境問題:プラスチックのゴミの国内での再処理は0%、2万トンが海外輸送、残りの3分の2のゴミは焼却処分」
日本などのメディアは、スウェーデンでは環境問題に配慮した国であるとよくとりあげられます。一部のメディアでは「スウェーデンのゴミのリサイクル率は99%」と報じリサイクル率が非常に高いと報じたりされています。
スウェーデンでのペットボトルやアルミ缶を回収するためのパントシステムや、多くのスーパーなどに設置されている回収機が紹介されているとし、日本でスウェーデンの高いリサイクル率が取り上げられる報道が多くあります。
しかし2月6日の公共テレビSVTの記事によると、スウェーデンのプラスチックゴミのうち2万トン以上はドイツやオランダの海外へ出荷され、リサイクルを実現していると報じています。
またスウェーデンのプラスチックのゴミの国内リサイクル処理率は実質0%であることを記しています。

プラスチックのゴミの海外搬送:プラごみの3分の1(2万トン)はドイツ、オランダへ搬送し海外で処理(SVTより)
スウェーデンにおける多くのプラスチックゴミは、まずスウェーデン内陸部モタラ市にある国内最大リサイクル施設"Svensk plaståtervinning"に運ばれゴミの分別が行われます。
記事によれば、そのプラスチックゴミのうち実際にリサイクルに回されるのは全体の3分の1とのことです。
そして残りの3分の2のプラスチックゴミは焼却処分になっているとのことです。
スウェーデン最大リサイクル施設を運営する企業"Svensk plaståtervinning"のCEOであるマティアス・フィリップソン氏によると、
技術的な限界があります。 特定の種類のプラスチックは、当社の装置で正確に検出して識別するのが非常に難しい
と述べています。
最終的にリサイクルできるものは分別されトラックに積み込まれオランダやドイツに運送ばれて、洗浄・粉砕された後、ペレットに溶かされて新しいプラスチック製品となります。
ただマティアス・フィリップソン氏によると、2 年以内に、モタラ市の施設でもプラスチックを洗浄・細断し新しく再生プラスチック原料にするできるようにしたいと述べています。
www.svt.se
ただ"Svensk plaståtervinning"のホームページでは、あたかもプラスチックごみ2万トンが自社の施設でリサイクルされているように記述されています。
同社の最近の持続可能性レポートによると、Swedish Plastic Recycling の家庭からのプラスチック包装のリサイクルは、2020 年から 2021 年の間に 17% 増加しました。 これは、20,000 トン以上のプラスチック包装が循環的にリサイクルされたことを意味し、前年からほぼ 3,000 トン増加しています。 リサイクルの増加は気候への影響の軽減につながり、同社の生産者顧客が気候目標を達成するのにさらに役立ちます。
プラスチック再利用率:18.1%
国内最大リサイクル施設"Svensk plaståtervinning"のホームページによると、2021年の実際の家庭から収集されたプラスチックのゴミの量と、再利用率は次のように記されています。
家庭から回収されたプラスチック包装 (トン): 59,213トン (2020: 51,452)
家庭からのリサイクル プラスチック パッケージ (トン): 20,097トン (2020: 17,437)
家庭用包装材のリサイクル率: 18.1%(2020年:15.4)
www.svenskplastatervinning.se
日本の一部のメディアではスウェーデンのゴミのリサイクル率が99%であるとしばし報じられますが、
プラスチックのゴミにおいては、リサイクル率は18.1%で、国内においてのリサイクル処理は0%であり、リサイクル用のプラスチックごみが年間2万トンが海外輸送され、残りの3分の2のゴミは焼却処分とされる状況となっています。
プラスチックゴミのリサイクル率が18.1%しかないにも関わらず、ゴミ全体のリサイクル率が99%という数字はどのような定義で算出されているのか疑問ではあります。
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