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スウェーデン「住宅問題:130の自治体が住宅支援を拒否」

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住宅問題:130の自治体が住宅支援を拒否

日本ではマンションやアパートの賃貸契約をするのに1週間もあれば物件の見学から賃貸契約まで済ませることができます。早いときには見学してその日のうちに賃貸契約も可能です。

 

しかしスウェーデンにおける住宅事情はかなり日本とは違っています。

 

スウェーデン 福祉大国の深層では記しましたが、ストックホルムでは平均9年待ち、第2の都市ヨーテボリでは6.4年待つ必要があります。

 

こうした住宅事情にも関わらず、自分の所有するアパートでさえ他者に貸し出す契約(又貸し契約)に法律で規制がかけられており、最長2年までしかできません。

 

ただそうした状況であるため、多くの人が住む家がない切迫した住宅難となっており、人々は隠れて不正の又貸し契約をしている実情があります。

 

2月14日の公共テレビSVTでは、この住宅状況下で130の自治体が住宅困窮者に対する支援を拒否していると報道しています。

 

記事によれば、社会福祉法では生活が困難な場合に市町村から支援を受ける権利を定めています。

 

しかし国内の130の自治体は、明確な法的根拠がないにもかかわらず、違法に又貸し契約をする貧しい人たちに対する支援を拒否しているとSVTの調査で明らかになったと報じています。

 

行政法のオルレ・ルンディン教授は、

完全に違法です。これは非常に深海の中にある。

と語っています。


2019年11月以降、ウプサラ市は不正な家賃に対抗するために、違法な又貸し契約を結んでいる人々への財政援助の支払いを停止しました。


しかし専門家はこのウプサラ市の措置には法的根拠がないとして批判をしています。

 

ウプサラ大学の行政法オレ・ルンディン教授は、

社会福祉法では、(国民が生活)困難な場合に自治体から支援を受ける権利を定めています。 違法に生活しているかどうか、どう感じるかは問題ではありません。社会福祉法に明白に記されていないからと言って、こうした窮地に立っている人々を見捨てるべきではありません。

と述べています。


こうした違法な又貸し契約を結んでいる人々への財政援助の支払いを停止したのは、ウプサラ市だけではありません。

 

SVT の調査によると、国内の130の自治体が同じことを行っていると報じています。

 

弁護士マーティン・ハンソン氏は、

こうした措置は非常に大きな打撃となり残念に感じます。長期的にも問題を解決することはできません。この措置は住民に非常に大きな打撃を与えます。(支援を受けられない)人はホームレスになります。しかし不正契約をする人は、人からアパートを借りるしか方法がないのです。

と述べています。


さらにSVTの調査によれば、この自治体の措置は脆弱な家庭へ与えるリスクがあり、そのいくつかのケースでは子供をもつ家庭であり、SVTの調査を受けた家庭によれば自治体の支援拒否後に状況がさらに困難になったと証言しました。



しかしウプサラ市市議会モハマド・ハッサン議員は、市議会議員が正しい選択をしたと信じています。

シングルマザーの事例を持ち上がられると大変に悲しくなりますが、私たちはもっと大きな問題を考えるべきです。つまり不正契約であることを忘れてはなりません

述べています。

 

またテナント協会はこの議論は成り立たないと考えており、全国住宅建設計画委員会の専門家ミカエル・ニルソン氏は、

不正契約に対処したい場合は、法律を変更する必要があります。 (現在の)社会福祉においてアパートの違法契約を支援することは実際には完全に不合理であります。

と述べています。

 

www.svt.se

 

現在、社会福祉法で明記されていない不正契約のアパート賃貸に対して、自治体が支援を行うべきかどうか大きな議論が繰り広げられてています。

 

しかしこのアパート問題は今に始まった問題ではなくもう10年以上も続いています。

 

実際に2021年6月には住宅問題でロベーン前首相が辞任する自体にまで発展しました。

 

kon-51.hatenablog.com

 

住宅問題についてはこれまで多くの議論がされて入るものの、10年経った現在も深刻な住宅不足問題は続いており一向に解決していません。

 

今回の不正アパート賃貸契約へ自治体支援をするかを含め議論をする前に、これほど深刻な住宅問題を抱えているにも関わらず一向にアパート建設は進まず、未だ又貸し契約が禁止されているのか、その本当の理由を探ることが先決であるはずです。

 

しかしスウェーデンではその議論はなぜかあまりされることはないのです。

 

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