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スウェーデン『子供の貧困』南部パーストルプ市5人に1人親が借金、食べ物も購入できず

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子供の貧困:南部パーストルプ市5人に1人親が借金、食べ物も購入できず

1月12日のスウェーデン共テレビによると、スウェーデン南部にあるパーストルプ市ではこれは、約5人に1人の子供の親が借金を抱えており、国内で最も子どもの貧困が多い場所であると報じられています。

 

記事によるとパーストルプ市では、社会福祉サービスが比較的高く、173人の子供の親が所得補助を受けています。そして約5人に1人の子供の親が借金を抱えているのです。

 

子どもの権利の保護を目標として活動するイギリスで設立された非政府組織セーブ・ザ・チルドレンによる最新の子どもの貧困調査によれば、パーストルプ市は最悪の影響を受けた自治体の1つになりました。

これは大変な失敗です。我々はこの問題に取り組んでいる自治体の1つです。

とパーストルプ市の社会管理責任者アネリ氏は述べています。

 

そしてこうした自治体からの支援を求めるの親の多くは借金があるとのことです。

毎日多くの債務者と会う債務カウンセラーのジェシカ・バーティルソン氏は、

子供の両親は、暖かな洋服食べ物など、日常生活で必要なものを子供たちに与えることができないことを心配しています。

と話しています。

 

ジェシカ氏によると、こうした支援を求める多くの人は、支援を得ることを恥ずかしいと感じ、自治体の社会福祉事務所に行かない人が多いとも話しています。


ほぼ5人に1人の子供がお世話になっている親を持っています。

 

現在スウェーデンでは177,000人のうち1人の子供の親が政府の債務支援機関(Kronofogden)からの借金を負っています。しかしパーストルプ市5人に1人の親が債務支援である政府機関(Kronofogden)からの借金を負っています。

 

kronofogden.se

 

そのためパーストルプ市での学校や幼稚園は、十分に暖かい服を着れない子供もおり、幼稚園の校長であるアンジェネッテ・トランベリ‐ハンセン氏は、

(子供を)いつも外で遊ばせますが、(暖かい服を着れていない)子供たちが寒そうになり早く室内に戻らなければならないときもあります。

と話しています。

 

またSVTの記事によればパーストルプ市の多くの親は果物を買う余裕さえもないと報じています。

 

www.svt.se

 

同日のSVTの別の記事では、パーストルプ市に住むケネス氏は多額の借金を抱えており、娘にまともな暮らしをさせるのに苦労していると記されています。

 

ケネス氏は政府の債務支援機関(Kronofogden)から65万クローナ(約830万円)の借金を負っており、娘に新しい眼鏡を購入するため銀行口座が空になったとのことです。

 

また娘に食べ物を与えるために、自身は時々食事をしないこともあるとのことです。

何も食べない日が数日続くこともあります。

とケネス氏は語っています。

 

www.svt.se

新自由主義下での福祉サービスの低下と貧富の格差拡大

1980年以降、世界では新自由主義が台頭し始めました。そしてこの新自由主義は国家の緊縮財政をうみ、多くの公共サービスが低下しました。

 

1990年ころよりスウェーデンも競争原理が取り入れられ、公共サービスの低下や貧富の格差が広がりました。

 

(この新自由主義によるスウェーデンにおける福祉低下の実態は、スウェーデン 福祉大国の深層で具体例を含め記しています。詳しく知りたい方は本書をお読みください。)

 

また現在のスウェーデンを歩くと、必ずというほどスーパーの入り口や道路の脇にはホームレスがおり物乞いをしています。

 

日本でも経済不況によりホームレスが増加し、近年は女性のホームレスも増加し「女性の貧困」として社会問題ともなっています。

 

toyokeizai.net

 

しかし12月1日のSVTのニュースによれば、スウェーデンには少なくとも3万3,000人ものホームレスがおり、スウェーデンホームレス数は人口当たりでは日本の約104倍も高いのです。

 

kon-51.hatenablog.com

 

こうした新自由主義・市場競争原理導入の影響が、パーストルプ市においては食べるのに苦労するほどの「子供の貧困」をも生んでいるのです。

 

これまで高福祉国家と呼ばれてきたスウェーデンでもこうした状況とです。

 

現在私たちの社会の中で当たり前のように根付いている新自由主義・市場競争ですが、ここまで格差が広がる社会になった時代において、その根本的なシステムを見直す時期にきているのではないでしょうか。