
校内暴力:2人に1人の教師が生徒による暴力経験
10月19日のスウェーデン公共テレビSVTによれば、教師となり6年までに2人に1人の教師が、生徒による身体的暴力を受けたとのことです。
記事によれば、
スウェーデン教師協会の調査に回答した1,000人以上の教師のうちほぼ半数が生徒による身体的な暴力を受け、10人中7人の教師は生徒に攻撃的または脅迫行為を受ける状況に陥っています。
教師の組合の職場と安全担当者は同じ結論に達した。
これは間違いなく大変に長い間、政治家が学校問題を貯め(無視)続けてきた事実の結果です
と組合会長のヨハンナ・ジャアラ・オーストランド氏は語っています。
www.svt.se
10月19日の新聞アフトンブラデットによれば下記のように記されています。
調査によれば、5人に1人の教師が状況のために職業を辞めることを検討しています。身体的な怪我に加えて、教師は睡眠の困難、心配、不安についても話しています。
信じられないほど悲しい証言する教師がたくさんおり、暴力があることへ腹を立てています。しかしこうした感情をもちこの年齢の子供たちを見るのは(物理的な)打撃と同じくらい痛ましいことです。
現在、教師組合は、政治家が状況を真剣に受け止めることを要求しています。-それは長期的にはより多くの予算の割り当てに関してです。
(教師組合の)要件の中には、学校は必要があるすべての生徒に対し特別なサポートを提供できるようにし、クラスの大きさ(生徒数)を少人数にする必要があります。
これらの取り組みにはリソース(予算など)が必要です。しかし問題に取り組む政治家はいるものの、問題にアクセスできリソース(予算など)の増加を決定するような事は今のところ見られていません。
とスウェーデンの教師協会議長であるヨハンナ・ジャアラ・オーストランド氏は語っています
スウェーデンの生徒と教師への裏切りだと私たちは考えています。
新聞アフトンブラデットの記事では、スウェーデンの学校には校内暴力が長い間問題となっているものの、政治家が学校問題解決にリソース(予算など)を捻出しないことが問題であると記しています。
www.aftonbladet.se
ただ現在のスウェーデンではコロナ拡大で明白となった高齢者施設の脆弱性問題や、ロベーン首相を辞任まで追いやったアパート賃貸問題も大きな問題であり、議論は長くされるもの一向にの改善されない点で、今回の校内暴力問題と通ずるものがあります。
スウェーデンと日本の問題解決方法の違い
またスウェーデンの問題解決方法は日本の問題解決方法に対する考え方と違う点もしばしあります。
一般的に日本では具体的な解決策を検討し、その解決策を実行するのに対してどのように予算を割り当てるか検討されるはずです。
日本の問題解決方法:
解決策の検討=>予算(リソース)の割り当て
しかしスウェーデンの問題解決方法の特徴として、まず予算の割り当てが議論となり、その予算割り当て後に関係組織が自身で対策を練る傾向があります。
スウェーデンの問題解決方法:
予算(リソース)の割り当て=>解決策の検討
こうした仕事に対する考え方の違いをスウェーデン 福祉大国の深層の中で紹介しましたが、一般的に日本と欧米諸国では基本的な効率の考え方が異なっています。
日本では一般的にお客目線からの視点の効率である、「フロー・エフィシェンシー」が重要視され、欧米ではコスト視点の効率、「リソース・エフィシェンシー」が重要視されています。
そうした効率の考え方からも日本とスウェーデンでは問題解決方法も違っていると考えられるのです。
その為、現在問題である校内暴力への解決に対しても、予算(コスト)先行の考えであるため、政治家により予算が捻出されない中では、中々よい解決案も出ず校内暴力も増加し、教師が辞めていくという悪循環を生む1つの要因ともなっているのかもしれません。
(日本と欧米との効率に対する考え方の違いは、スウェーデン 福祉大国の深層で詳しく記していますので、ご興味のある方はお読みください)
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