
日本では1993年(平成5年)8月11日に東京都昭島市役所に「悪魔」と命名された男児の出生届が提出され、悪魔ちゃん命名騒動として大きなニュースとなりました。
市役所は当初「悪」も「魔」も常用漢字の範囲であることから受理しましたが、受理後に戸籍課職員の間で疑問が出たため、法務省に本件の受理の可否に付き照会を行いました。
法務省から「問題ない」との回答があったため受理手続きに入ったものの後日、「子の名を『悪魔』とするのは妥当でなく、届出人に新たな子の名を追完させ、追完に応じるまでは名未定の出生届として取り扱う」旨の指示が出されたことから、受理手続きを完成させず、戸籍に記載された名欄の「悪魔」の文字を誤記扱いとして抹消し、夫婦に対して別の名前に改めるよう指導したのでした。
この騒動は「親の命名権」に関する1つの基準、問題提起としてほとんど最初の重要な審判例とされており、児童虐待が社会問題となった際には親権の在り方や親子と国家との関係性を考える上での検討材料の1つとされたのでした。
日本では漢字の組み合わせを変えたり、当て字を使えるため非常に多くの名前を選択することができます。
しかしスウェーデンでは一般的に選択できる名前は日本ほどは多くありません。一般的にはこれまでよく使われている名前を再たび使ったり、祖父母の名前を使うことも多く、同じ名前の子供を見かけます。
スウェーデン統計局SCBの調査によると2020年で多かった名前はトップ10は次のようになっています。
男の子
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Noah(ノア)
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William(ウィリアム)
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Hugo(ヒューゴ)
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Lucas(ルーカス)
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Liam(リアム)
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Oscar(オスカー)
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Oliver(オリバー)
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Matteo(マテオ)
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Elias(エリアス)
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Adam(アダム)
女の子
- Alice(アリス)
- Maja(マヤ)
- Elsa(エルサ)
- Astrid(アストリッド)
- Wilma(ウィリアム)
- Freja(フレヤ)
- Olivia(オリビア)
- Selma(セルマ)
- Alma(アルマ)
- Ella(エラ)
スウェーデン統計局SCB『Sök på namn – Hur många heter ...? 』
https://www.scb.se/hitta-statistik/sverige-i-siffror/namnsok/
赤ちゃんの命名に 焼きたてパン「カカン」はダメ
スウェーデンでも親が好きな名前を付けることも可能です。ただスウェーデンでは法律がありどんな名前でもつけられるわけではありません。
10月12日のスウェーデン公共テレビSVTによると、スウェーデン北部ボーデン市の両親が女の子の名前として、焼きたてのパンを意味する「カカン」と名付けたところ、スウェーデン税務署に却下されたと報じています。
(スウェーデンでは市役所ではなく税務署に出生届を出します)
スウェーデン税務庁によると、命名する名前が子供に不快感を与えてはならないという個人名法に基づいたものであるとのことです。
スウェーデンでは「心臓」、「老婆」、「老人」、「小さな男の子」、「男」というような命名は認められてはいません。
また今回ボーデン市の両親が命名した焼きたてのパンを意味する「カカン」もこの個人名法に違反するため却下されたとのことです。
しかし母親であるヨハンナ・エリクソンさんは自宅では女の子を「カカン」とニックネームとして呼び続けると話しています。
どこの国でも子供にユニークな名前を付けたい両親はいるようです。
www.svt.se
