
世界最大級の帆走木造船ヨーテボリ号が第2の都市ヨーテボリ港から出発したのち、8月26日に首都ストックホルムへ着港しました。
ヨーテボリ号が出航するのは6年ぶりであり、ストックホルムで停泊したのちに、2022年4月にアジアの主要な都市へ航海にでます。

この帆走木造船は18世紀にアジアに航海したスウェーデン東インド会社の帆走木造船レプリカです。
これまで船はストックホルムを3回訪れ、最後にストックホルムに訪れたのは王室の結婚式があった2010年でした。
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東インド会社というと学校の歴史の時間に習った、植民地時代のイギリスやオランダの東インド会社を思い浮かべる人も多いはずです。
東インド会社とは17〜19世紀にヨーロッパ諸国がインド・東南アジアの物産の直接輸入と植民活動に従事させた特許会社の総称であります。国家的な独占企業体でイギリスやオランダ、フランスの3会社が有力でありました。
なかでもイギリス東インド会社とオランダ東インド会社が重要でありよく知られています。
イギリス東インド会社は1600年エリザベス1世により,インド,東南アジアとの貿易を目的に創設されました。貿易独占権と強大な武力によりプラッシーの戦などを経て、土着権力から領土権を奪いました。そして18世紀末にはインド総督の下にカルカッタ、ボンベイ、マドラスを根拠地として全インドにわたる植民地支配の主体となるまでに発展したのでした。
こうした植民地支配に大きな影響を及ぼした東インド会社はイギリスやオランダ、フランスの3カ国だでではなく、ヨーロッパにはいくつか存在していました。
その1つにスウェーデン東インド会社もあったのです。
スウェーデン東インド会社は同時代の各国の東インド会社の組織と比べるべくもないほど小規模でありましたが、スウェーデンに最大の利益をもたらしました。
特にイギリス・フランス間との戦争では中立国として恩恵をもたらし、スウェーデンに経済発展を促したのでした。この本社がヨーテボリ市にあったのです。

そしてスウェーデン 福祉大国の深層でも記したように、東インド会社のおかげで東インド会社本社のあったヨーテボリ市は人口が1万人を超え、当時としては巨大な都市に成長し大きな利益を上げたのでした。
現在もこのスウェーデン東インド会社の建物はヨーテボリ市博物館として残ってています。また帆走木造船ヨーテボリ号も航海へ出ていないときであれば、ヨーテボリ港でみることができます。
旅行でスウェーデンへ来られた際に、立ち寄られヨーロッパの歴史に触れられるのもよいかもしれません。
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