
近年LGBTという言葉をよく聞くようになりました。
法務省人権擁護局によれば、LGBTとは次の言葉の頭文字をとって組み合わせた言葉であり、性的少数者 (セクシャルマイノリティ) を表す言葉の一つとして使われることもあります。
Lesbian レズビアン
女性の同性愛者
Gay ゲイ
男性の同性愛者
Bisexual バイセクシャル
両性愛者
Transgender トランスジェンダー
「身体の性」は男性でも「心の性」は女性というように、「身体の性」と「心の性が」が一致しないため「身体の性」に違和感も持つ人
www.moj.go.jp
また日本でLGBT向け求人サイトとイベント運営を行っているJob Rainbow Magazineによれば、トランスベスタイト(クロスドレッサー)と呼ばれる、女装、男装の異性装をする人をさす言葉もあるとあります。
トランスベスタイトとは、一般的に女装/男装など、異性装をする方を表します。性自認(こころの性)と身体的性(からだの)が一致しているため、トランスジェンダーとは分けて考えられます。
最近では、この「トランスベスタイト」に「服装倒錯」というネガティブなイメージがあることから、単純に”異性装”の意味になる「クロスドレッサー」という言葉が使われることが増えてきました。
「トランスベスタイト(クロスドレッサー)」という言葉は知らなかったとしても、「女装家」という言葉はマツコ・デラックスさんなどの有名人が肩書としてテレビで使用しているので、知っている方も多いのではないかと思います。冒頭の通り、「女装家」と「トランスベスタイト」は深く結びついた言葉です。
トランスベスタイトとは?
トランスベスタイト(クロスドレッサー)とは、一般的に性自認(こころの性)と身体的性(からだの)が一致しているが、女装/男装など、異性装をする方を表します。
少し難しく言うと、振る舞い(服装、メイクの有無や髪型、口調)に関して社会から求められる「女らしさ」や「男らしさ」への抵抗感を覚えるセクシュアリティです。
「男なのに髪が長いなんて女の人みたい。女の人が髪を短くするとボーイッシュだね。」
「男がメイクをしたりスカートを履いたりするのはおかしい。女ならメイクをするのが身だしなみ。」
「女は女らしい格好をして男は男らしい恰好をするべき。」
こういった言葉を聞いた方や、場合によっては発した方も多いのではないでしょうか。
身体的(生物学的)には女性または男性であるがゆえに、女性または男性だとみなされ、それに見合った格好をするように社会から要求されることにトランスベスタイトの人々は違和感を覚えます。
jobrainbow.jp
女装家(クロスドレッサー)カミングアウトに40年以上の2児の父親
女装(クロスドレッサー)である人たちはもちろん日本だけではありません。
9月3日のヨーテボリ新聞には、2児の父親であるミカエル氏は女装を好むクロスドレッサーであることを打ち明けるのに40年以上かかったと報じています。
記事によれば、現在47歳になるミカエル・カールソン氏は子供の頃、母親のひらめくスカートが最も好きでした。
卒業式やパーティーの時、女の子のような格好をすることを夢見ていましたが、受け入れられないことを理解していたそうです。
カールソン氏は、
女の子たちがカラフルな服や美しい靴を履くようになりました。私も夢見ていましたが、私は別の理由でも悩んでおり、私が彼女らのような服を着始めればさらに悪化することは理解していました
と語っています。

ミカエル氏は10代の頃、女装への魅了を隠すためありとあらゆることをしました。大げさにマッチョな態度をとったり、不安や自身への恥を緩和するためアルコールを飲み、沢山のパーティーにも行きました。
ミカエル氏が覚えている限りではLGBTQの問題についての話をしたことは一度もなかったそうです。ただ周囲の人は同性愛を感じていましたが、ミカエル氏は女性が好きであったとのことです。
また20歳のときに最初に「トランスジェンダー」という言葉に出会いましたが、自身に適した言葉ではないと感じていたそうです。
その後ミカエル氏はこの事を秘密とし、大人となってからうつ病や失業を繰り返し苦しんでいました。また彼は2人の娘の父親になりましたが、周囲は彼が典型的な男性の父親になるという期待もあり、性別により役割がさらに狭まると感じたそうです。
ミカエル氏は、
通販で素敵な服を買いましたが良い夫と父親になろうと思い捨ててしまいました。何年も何度もドア(女装)を閉めると思いましたが、毎回ドアを開けました。男らしく、父親らしく、息子として、他の男の友人のように服を着るのはうまくいかないと思いました。
と語っています。
kon-51.hatenablog.com
何が怖かったですか?という質問に、
私の最大の心配は、人々が笑って私をピエロのように見るということでした。人を笑わせるための確実な方法は、男性が女性のドレスを着ることです。私がハンドバッグを持っていると女友達が笑っていました。そのためうまくいかないと感じました。
ミカエル氏は長年の恥と自己嫌悪により重いうつ病となり、41歳の時、自殺しようと真剣に考えたそうです。最終的に彼を食い止めたのは、娘が親を失うことでした。
その後彼は生き続け母親に正直な気持ちを伝えました。 2015年の秋、彼は人生で最も重要な携帯メッセージを母親に送り、母親はすぐに彼をまだ愛しており、一緒に何でもできると答えたそうです。
すべてを変えたのは最後の必死な行動でした。母が私を受け入れてくれることを知ったとき、他の人にも同じことができると思いました。そのドアを開けた後、私は男らしく(男の)服を着続けることができませんでした。そして私はトランスベスタイト(服装倒錯者)としてカミングアウトしました。それは私が知っていたからです。私はかつら、ゆるい胸元、そして数時間メイクなど全てしました。
と語っています。
しかしミカエル氏が本当にリラックスして安全だと感じるのは、子供たちと一緒にアパートにいるときだけだそうです。彼はサッカーの試合やパブに行くのをやめました。彼が最も蔑称的なコメントを得るのはそのような場所であるため、男性の多い場所を避けているとのことです。
ミカエル氏は、自分自身をノンバイナリー、つまり自らを男性・女性のどちらでもないと説明しています。この定義は彼がどこの場所にも収まらないと感じつつも、彼にとって最も心地よい分類だそうです。
一般の男性の社会ではミカエル氏はナイロン靴下やハイヒールを履き目立っており、LGBTQのグループ内でも、ひげ、長ズボン、スニーカーを保持しているため、トランスジェンダーの人ではないとみなす人もるそうです。
ミカエル氏は周りの人々の偏見に本当にうんざりしており、自分の娘のように誰もがオープンマインド(偏見のない心)であることを願っています。
娘は当時わずか3歳であり、変な目で私を見たことがありません。数週間後、彼女は私がマニキュアをしなかったとき、その理由を尋ねたことさえあります。幼い子供たちは偏見をもつ前はとてもオープンマインドです。
と語っています。
www.gp.se
日本よりジェンダーに関し進んでいるようなスウェーデンですが、そのイメージとは裏腹に現実としてはまだまだ偏見もあり、40年以上もカミングアウトができず自殺まで考えるような人も存在しているのです。
言葉の意味
ノンバイナリー:性同一性が女性でも男性でもない人。女の子と男の子の両方のように感じる人もいれば、性別ではない、または2つのカテゴリの間にある人もいます。ノンバイナリーは、バイセクシュアルの規範に従わないさまざまな性同一性の総称として使用されることがあります。
トランスジェンダー:トランスジェンダーの人々に共通しているのは、彼らの性同一性や性表現は、生まれたときに決められた法律の性別と一致しないことです。この言葉はラテン語から来ており、「超えて」のようなものを意味します。トランスはセクシュアリティとは何の関係もありません。
kon-51.hatenablog.com
リンク