スウェーデン 福祉大国の深層 続報!

『スウェーデン 福祉大国の深層』を水曜社より商業出版(政府刊行物)して頂けました。読者の方からの要望を頂きスウェーデンの時事ニュースを主な内容とし、日本にも役立ち社会貢献にもつながるようなブログを記させて頂きます。

スウェーデン「惨劇な列車と公共バス衝突事故の原因」

7月10日のヨーテボリ新聞に今年3月に起きた列車と公共バス衝突事故に関する警察による調査結果が掲載されています。

 

この衝突事故は3月8日にヨーテボリ市で公共バスが踏切内で突如停車してしまい発進できなくなり、やってきた列車と衝突し炎上するという大事故でした。この事故はスウェーデンにとどまらずヨーロッパ内のメディアでもとりあげるものでした。 

 

(下記のリンクで事故発生時撮影動画がみれます)youtu.bewww.aftonbladet.se

事故の発生した3月時点では衝突原因が不明とのことでしたが、7月9日のヨーテボリ新聞の記事では、警察による事故調査結果が報じられました。それによると主に3つの原因があるとのことです。 

 

1つ目の主な事故の原因理由として、公共バスのエンジン故障があります。エンジン故障により、バスは線路内で立ち往生して発進できなくなったとのことです。

 

ただスウェーデンでは公共バスのエンジンが止まり発進できなる事は日常的によくあります。自身の経験からも先日も路線バスが高速道路を走行の際、何かエンジントラブルがあり、突如高速道路の路肩に停車することになり、高速道路管理車両がやってくるまで待つ事態となりました。

 

ヨーテボリ警察は2017年に公共バスの安全性をチェックしたところバスの4分の3で故障がみられたと報告しています。特にエンジン故障は大きな事故につながるため危険であると報告していました

 

しかしそうした警察による報告がされた後でさえ、3月8日には公共バスでエンジン故障が発生し、線路内で立ち往生し列車と衝突する大事故が起きたのです。

 

2つ目の理由としては、踏切の前に大きな道路が横切っており、踏切の目の前にある道路で車が来ていたため、公共バスは前進できない状況であったとのことです。

 

大きな道路が設けられてるような場所に踏切が設置されていれば、線路から出られず立ち往生してしまう車両もでて、列車と衝突するような事故が起きる事は容易に想像できるはずです。しかしそれがこれまで指摘されなかったため、3月8日それが現実となり公共バスと列車が衝突す大事故が起きたのです。

 

3つ目の理由としては、踏切が車線入り口の片側にしか設置されておらず、公共バスが線路の中で立ち往生していたものの、入り口側の踏切が閉まった為、緊急時の警報装置が作動せず衝突してしまったとのことです。

 

日本の踏切では車両の両車線とも踏切が閉まるのが通常です。しかし3月8日のヨーテボリ市で起きた列車と衝突した踏切では、進行車線の踏切しかなく、対向車線側の踏切はありませんでした。そのため公共バスが線路内で立ち往生していても、進行車線側の踏切は問題なく閉まったため、列車の警報装置が作動せず衝突してしまったとのことです。

 

ただ3つの衝突原因の理由とも、事前にしっかりと安全性確認をしていれば未然に防げた原因理由だと考えられます。しかしスウェーデンではこの列車事故のみならず、未然に防げたであろう人的ミスによる事故が多く発生し、その後も同様の事故が発生していることが多いのです。 

 

www.gp.se 

著書『スウェーデン 福祉大国の深層』の中でも記していますが、2019年3月市内を走る公共バスが、ルートから外れて高さ制限のあるトンネルをムリに通過しようとした際、バスの屋に設置されたガスタンクがトンネルに接触し、大爆発を起こす事故が起きました

 

実はこの事故も2013年5月にも同様な事故が起きていたのです。しかしその後対策がうまく施されなかったためか、2019年のバス大爆発が起きたのでした。

 

youtu.be

さらにヨーテボリ市の2021年2月、3月の約1ヶ月だけでも3件も、公共バスが炎上する事故が起きています。しかしやはり事故後にあまり対策がなされなかったためか、その後同様な事故が起きいるのです。

 

最近の事故としては7月8日に、ストックホルムから西に200キロ離れたオレブロ市で、飛行機墜落が墜落して乗員9名全員が死亡する事故も発生しました。

  

kon-51.hatenablog.com 

共テレビSVTの記事によれば、2年前に全く同じような事故ウメオ市で起きており、このときも乗員9人が死亡したと報じています。 

 

www.svt.se

このようにスウェーデンでは日本と比べ未然に防げたであろう人的ミスによる事故発生が多く、事故後もあまり対策が講じられないためか同じような事故が起きる事が多々あります。

 

幸い2021年3月8日のヨーテボリ市の列車と公共バス衝突事故では死者はでませんでしたが。しかし人命に関わる大事故につながる可能性もあるため、今後同様な事故が起きぬよう、早急な改善および対策が設けられてほしいものです。