スウェーデンは日本よりもデジタル化が非常に進んでいます。最近日本でもセルフレジのスーパーも増えてきましたが、スウェーデンでは日本より4、5年ほど早くすでに多くのスーパーでセルフレジとなっていました。
セルフレジ以外にもバスや列車の切符、定期券もスマートフォン決済、有料トイレでさえスマートフォンで使用料を払わないと使用できないところさえあります。
著書『スウェーデン 福祉大国の深層』でも記しましたが、中には胸に立札をかけ、「スウィッシュ」という携帯決済アプリでお金を送ってほしいと記すホームレスもいるほどデジタル化が進んでいます。
非常に多くの人がクレジット決済やスマートフォン決済、オンラインショッピングで購入をするため、現金を使用する人が非常に減っています。
スウェーデン中央銀行によれば、2010年には39%の人が現金を使用していましたが、2020年では9%の人しか現金を使用していないとのことです。
www.riksbank.se
そうしたデジタル社会の進むスウェーデンにおいて、7月2日に米クライアント管理システムサービスのカセヤ(Kaseya)がサイバー攻撃を受け、同社のソフトを利用する企業に身代金が要求される被害が起きました。そしてその影響は米国以外の世界各地に拡大したのでした。
カセヤの顧客企業は幅広い企業のデータ管理サービスを提供していました。そのため被害が連鎖的に広がり、カセヤと直接取引のないスウェーデンのスーパーマーケット大手「コープ」にまで影響が広がり、レジが操作できずほぼ全店800店舗が一時休業に追い込まれたのでした。

2021年7月6日: サイバー攻撃を受け、コープ店舗内でセルフレジの修復作業する技術者
www.bloomberg.co.jp
7月5日の公共テレビSVTによれば、世界中の何百もの企業に影響を与えた大規模サイバー攻撃をしたとされるハッカーは、システムを再開するために約6億クローナ(約80億円)を要求しているとのことです。
www.svt.se
デジタル化社会はコンピューターやスマートフォンがあれば、現金を持ち歩かなくとも即時決済ができ非常に便利であります。しかし反面、サイバー攻撃やセキュリティの問題、個人情報の漏洩、監視社会へつながるとも言われてもいます。
今回の大手スーパーコープで起きたサイバー攻撃は、そうしたデジタル化社会の弱点をついて起きた事件でありました。
またデジタル化は新しい技術を使いこなせる若者にとっては大変便利ではありますが、高齢者には苦労を強いる社会でもあります。現在日本でもデジタル化が推進されていますが、メリット・デメリットを踏まえたうえデジタル化が進められてほしいものです。
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