スウェーデン 福祉大国の深層 続報!

『スウェーデン 福祉大国の深層』を水曜社より商業出版(政府刊行物)して頂けました。読者の方からの要望を頂きスウェーデンの時事ニュースを主な内容とし、日本にも役立ち社会貢献にもつながるようなブログを記させて頂きます。

衝撃の事実!高齢者・重篤患者は集中治療室に搬送しないガイドライン

本日のスウェーデン感染者状況

本日におけるスウェーデンの感染者総数は17,567人、死亡者2,152人、100万人あたりで感染者は1,739人、死亡者は213人になっています。 

日本の感染者数が12,368人、死亡者328人、100万人あたりで感染者は94人、死亡者は3人です。 

スウェーデンにおける人口あたりの死亡数は71倍も日本より高いことになります。 

政府の高齢者保護発言と高齢者コロナ感染拡大

3週間ほど毎日のようによい天気が続き、特にコロナ規制のないスウェーデンでは毎日のように多くの人が外出をしています。また最近多くの高齢者が散歩をしている姿もみかます。しかし現時点ではコロナ感染終結事例における回復者数・死亡者数による割合での死亡率が78.61%になるスウェーデンでは、不安を抱えている高齢者も多いのではないかと感じます。 

 

3月15日の新聞アフトンブロデットで、ローベン首相が国境を閉鎖しない代わりに、高齢者の事を考えるべきだと発言し、政府は高齢者保護が第一である事を語っていました。 

www.aftonbladet.se 

しかし4月8日の公共テレビSVTによれば、高齢者施設では介護士がマスクをつけずコロナ感染が広がっていると、高齢者施設に住む高齢者がSVTのインタビューで語っています。 政府の発言と現実とには違いがあるようです。

www.svt.se 

高齢者・重篤患者は集中治療室に搬送しないガイドライン

4月17日の公共ラジオSRによれば、レナ・ハレングレン社会相はスウェーデンで現在528人がコロナ感染患者のために集中治療室が使用されている。そしてここ数日の集中治療室使用数は変わっておらず、国内の集中治療室がまだ空いていると語っています。  

sverigesradio.se  

しかし4月23日の公共テレビSVTの記事で、「毎日の記者会見では、政府は集中治療室にまだ空きがあると強調している。しかし集中治療室利用の優先順位があり、多くの患者が集中治療室への搬送を拒否されている」と報道されたのでした。

 

この記事によるとストックホルムの病院では、慢性閉塞性肺疾患やBMIが40以上の人、中毒患者、ペースメーカー利用者など、1つまたは複数の深刻な全身性疾患のある患者には、集中治療室での治療を施すべきではないというガイドラインがあると記されています。またガイドラインでは80歳以上の老人も集中治療室には送らないと記されてもいるのです。また記事である医師が「集中治療室を必要な患者がいるにもかかわらず、実際には患者が集中治療室に搬送されていない」とも語っています。別の医師も「集中治療室に空きがあるにもかかわらず、病院はガイドラインに従い患者を選別しすぎている」と語っているのです。

 

それを裏付ける事実として、スウェーデン国内における70歳以上の患者への集中治療室での治療数が、3月に28%であったが4月には19%に減少しています。またストックホルム地域では、その違いはさらに明確で70歳以上の患者への集中治療室での治療数は、3月に26%であったものが、4月には11%まで減少していると記事に記されています。 

www.svt.se 

これまでレナ・ハレングレン社会相は、スウェーデンの集中治療室にはいまだ空きがあると毎日の会見で発言していました。しかし毎日100人以上の多くの死亡者をだし高い死亡率であるにもかかわらず、集中治療室にいまだ空きがある理由には、高齢者や疾患のある人はどんなに重篤患者であっても集中治療室へ送らない、ガイドラインの存在が公共テレビSVTの報道で明らかになったのでした。