スウェーデン 福祉大国の深層 続報!

『スウェーデン 福祉大国の深層』を水曜社より商業出版(政府刊行物)して頂けました。読者の方からの要望を頂きスウェーデンの時事ニュースを主な内容とし、日本にも役立ち社会貢献にもつながるようなブログを記させて頂きます。

スウェーデン「ヨーロッパ諸国から非難、スウェーデンのコロナ対策!」

現在のコロナ規制状況

今週末日本では、東京都と神奈川、埼玉県、千葉県などが共同して、東京への外出自粛を強く住民に要請しています。本日の日本のコロナ感染者数は1,693人、100万人あたりにすると、13人となります。そのためイギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペインなど多くのヨーロッパ諸国では、都市の閉鎖など多くの規制を行いコロナ拡大防止の規制を行っています。

 

スウェーデンの隣国であるフィンランドは、スウェーデンに比べコロナ感染が拡大していません(感染者数1,239人)。しかしフィンランドは3月16日に非常事態を宣言して、10人超の集会の禁止、公営博物館・劇場・文化施設・図書館やスポーツ施設の閉鎖など。学校や大学は閉鎖。保育所と小学校は業務上就業が必須とされる親の子ども以外は学校を休校としています。 

www.jetro.go.jp

しかしスウェーデンでは、本日のコロナ患者数は3,700人にも及んでいます。そのコロナ感染数は人口100万人あたりにすると366人ともなり、日本の28倍以上コロナ感染がひどい状況となっていますが、いまだほとんど具体的なコロナ拡大防止の対策がとられていいません。 

www.worldometers.info

現在、スウェーデン政府が実施している規制は下記の4つだけとなります。 

  1. 3月17日に大学、高校、職業学校の閉鎖決定。しかし小中学校、保育所は通常どうり運行。政府は3月12日に学校を閉鎖しないとした発表を急遽変更しました。
  2. 3月17日に国境の閉鎖決定。政府は3月15日に国境を閉鎖しないとした発表を急遽変更しました。
  3. 3月25日からレストラン、カフェ、バーでは立っての食事禁止。しかし座って食べれば問題はないとのことです
  4. 3日29日から50人を超える公共イベントの禁止。しかし民間イベントは禁止していません。

現在、スウェーデンのコロナ感染は日本の28倍以上でありますが、今も街では多くの人たちがマスクせずに外出し、ショッピングやレストランで食事をしている多くの人達をみかけられます。

ヨーロッパ諸国から非難、スウェーデンのコロナ対策!

こうしたスウェーデン政府のコロナ拡大防止対策に、ヨーロッパのメディアからも非難の声が上がっています。3月28日の新聞「アフトンブロデット」では「スウェーデンを除くすべての国で厳しい規制をしているが、何も規制を行わないスウェーデンに対して外国のメディアが非難している。スウェーデンは他国が知らない情報を握っているのか、それとも無知なだけなのか」と報じています。

www.aftonbladet.se

3月25日のイギリスのオンラインメディア「ブリティッシュメール」も、
「世界は止まっているが、スウェーデンはそうではない」
スウェーデンはリベラルなコースをどれくらいの期間開催できるのか」と報じています。  

www.dailymail.co.uk

 

ドイツの新聞ディ ツァイト「Die Zeit」の記事では、スカンジナビア最大の国であるスウェーデン政府が現実を無視していると述べています。 またコロナ対策の最前線に立っているのはスウェーデン政府ではなく、使い古したセーターとチノパンを着ている国家疫学者のアンダース テグネルであり、スウェーデン政府はウイルスの蔓延を阻止するために全力を尽くしていない、世界で唯一の国だと記しており、スウェーデンの状況は同じヨーロッパであるドイツから見てもまったく異国的なものであると述べています。 

www.zeit.de

現在日本ではオーバーシュート(爆発的感染)が起きていません。しかしスウェーデンはすでにオーバーシュートが発生し、日本の外務省の感染症危険情報ではレベル3の渡航中止勧告が発せられている国となっています。しかしスウェーデン政府と公衆衛生庁は、スポーツは健康に良いとし、フィットネスクラブなども通常営業となっています。

スウェーデンは他のヨーロッパ諸国と比較してもほとんど具体的なコロナ対策が挙げられていません。

ただスウェーデン人も政府のコロナ政策に苛立ちをもつ人もおり、公衆衛生庁のアンダース テグネル氏は毎日のようにマスコミから非難を受けています。しかし政府は全くというほどマスコミにも現れず、特に何の発表も行っていません。


それでは政府には公衆衛生上の責任がないのでしょうか? 

今日のヨーテボリ新聞には法律的に、コロナ拡散防止に誰が責任をもつか記事が記されています。記事によるとスウェーデンは他のヨーロッパ諸国と少し違い、公衆衛生上の責任は政府と公衆衛生局の両方に責任があるとのことです。ただ最終的な責任は政府にあると述べられています。

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3月29日 ヨーテボリ新聞 感染防止の責任

The Local『What Sweden’s coronavirus crisis law means (and doesn’t mean)』8 April 2020

https://www.thelocal.se/20200408/explained-what-swedens-new-government-powers-actually-mean-in-practice

 

そのため法律上では、コロナ感染拡大防止の責任は公衆衛生庁だけにあるわけではなく、最終的な責任は政府にあたることがわかります。しかしローベン首相は3月27日の会見で政府の責任は述べないものの、「コロナ感染拡大防止は国民一人ひとりの責任である」と発言しています。  

www.svt.se

 

ドイツの新聞「ディ ツァイト」が記しているように、スウェーデン政府はコロナ感染拡大防止に尽力を尽くしていない世界で唯一の国であるように感じてしまいす。