スウェーデン 福祉大国の深層 続報!

『スウェーデン 福祉大国の深層』を水曜社より商業出版(政府刊行物)して頂けました。読者の方からの要望を頂きスウェーデンの時事ニュースを主な内容とし、日本にも役立ち社会貢献にもつながるようなブログを記させて頂きます。

スウェーデン「スーパー「コープ」、サイバー攻撃でほぼ全店800店舗一時休業へ!」

スウェーデン日本よりもデジタル化が非常に進んでいます。最近日本でもセルフレジのスーパーも増えてきましたが、スウェーデンでは日本より4、5年ほど早くすでに多くのスーパーでセルフレジとなっていました。

 

ルフレジ以外にもバスや列車の切符、定期券もスマートフォン決済、有料トイレでさえスマートフォンで使用料を払わないと使用できないところさえあります。

 

著書『スウェーデン 福祉大国の深層』でも記しましたが、中には胸に立札をかけ、「スウィッシュ」という携帯決済アプリでお金を送ってほしいと記すホームレスもいるほどデジタル化が進んでいます。

 

非常に多くの人がクレジット決済やスマートフォン決済、オンラインショッピングで購入をするため、現金を使用する人が非常に減っています。

 

スウェーデン中央銀行によれば、2010年には39%の人が現金を使用していましたが、2020年では9%の人しか現金を使用していないとのことです。

 

www.riksbank.se

 

そうしたデジタル社会の進むスウェーデンにおいて、7月2日に米クライアント管理システムサービスのカセヤ(Kaseya)がサイバー攻撃を受け、同社のソフトを利用する企業に身代金が要求される被害が起きました。そしてその影響は米国以外の世界各地に拡大したのでした。

 

カセヤの顧客企業は幅広い企業のデータ管理サービスを提供していました。そのため被害が連鎖的に広がり、カセヤと直接取引のないスウェーデンのスーパーマーケット大手「コープ」にまで影響が広がり、レジが操作できずほぼ全店800店舗が一時休業に追い込まれたのでした。

 

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2021年7月6日: サイバー攻撃を受け、コープ店舗内でセルフレジの修復作業する技術者

www.bloomberg.co.jp 

 

7月5日の公共テレビSVTによれば、世界中の何百もの企業に影響を与えた大規模サイバー攻撃をしたとされるハッカー、システムを再開するために約6億クローナ(約80億円)を要求しているとのことです。

 

www.svt.se

 

デジタル化社会はコンピューターやスマートフォンがあれば、現金を持ち歩かなくとも即時決済ができ非常に便利であります。しかし反面、サイバー攻撃やセキュリティの問題、個人情報の漏洩、監視社会へつながるとも言われてもいます。

 

今回の大手スーパーコープで起きたサイバー攻撃は、そうしたデジタル化社会の弱点をついて起きた事件でありました。

 

またデジタル化は新しい技術を使いこなせる若者にとっては大変便利ではありますが、高齢者には苦労を強いる社会でもあります。現在日本でもデジタル化が推進されていますが、メリット・デメリットを踏まえたうえデジタル化が進められてほしいものです。

 

スウェーデン「惨劇!ヨーテボリ市にて警察官射殺事件発生」

https://images.unsplash.com/photo-1548754218-e9ef33578d04?ixlib=rb-1.2.1&ixid=MnwxMjA3fDB8MHxwaG90by1wYWdlfHx8fGVufDB8fHx8&auto=format&fit=crop&w=1650&q=80

惨劇!ヨーテボリ市にて警察官射殺事件発生

7月1日にスウェーデンで非常に痛ましい事件が報道されました。7月1日の新聞エクスプレッセンによると、ヨーテボリ市のビショップスゴーデン地区にて、33歳の警察官が何者かにより射殺されました

 

記事によれば、犯人は、黒い服、マスク、黒い肌、手袋を身に着けた10代の男性と報じられています。警官はギャングメンバーがいると情報を受け、現場に電動原付でやってきましたが、そのときに犯人が数発の銃弾を発砲したとのことです。そして犯人は現在も逃走中です。この事件は非常に大きな事件として、現在多くのスウェーデンのメディアで報じられています。

www.expressen.se 

www.aftonbladet.se

 

スウェーデンというと平和で治安の良いイメージが強いかと思います。しかし現在のスウェーデンでは非常に犯罪発生率が高くなっています

 

これは著書『スウェーデン 福祉大国の深層』の中で詳しく記しましたが、スウェーデンにおける拳銃事件の数は、2017年では306件にもおよび、43人もの人が拳銃事件だけで亡くなっています

日本の拳銃事件の数は年間22件で、比較するとスウェーデンのが約13.9倍も拳銃事件が多く、人口比で考えれば約176倍も多い計算となります。

sverigesradio.se

 

『平成29年における組織犯罪の情勢【確定値版】』警察庁組織犯罪対策部 組織犯罪対策企画課、平成30年4月

https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/kikakubunseki/sotaikikaku03/h29.sotaijousei.pdf

 

The local『In figures: 2017's shootings in Sweden』22 December 2017

https://www.thelocal.se/20171222/in-figures-2017s-shootings-in-sweden/

 

ヨーロッパで最大の射殺事件数

2021年5月26日の公共テレビSVTニュースによれば、スウェーデン犯罪防止評議会(Brå)は、2000年から2019年にかけてヨーロッパ22ヵ国と射殺事件を比較しました。射殺事件に関してスウェーデンは、2018年以来最高レベルであると結論付けられています。2000年代初頭、射殺事件ではスウェーデンが最下位でしたが、2012年から2020年にかけて、急激に上昇が見られと報じています。

 

現在多くの移民・難民がスウェーデンにやってきており、移民・難民の多く住む地区で犯罪が急増しています。今回発生した警察官射殺事件も、ヨーテボリ市の移民・難民の多く住む地区で発生した、痛ましい事件の1つなのです。


スウェーデン情報: 7月1日からのコロナ注意喚起

 

https://images.unsplash.com/photo-1597563875189-52f4bc8a7c39?ixid=MnwxMjA3fDB8MHxwaG90by1wYWdlfHx8fGVufDB8fHx8&ixlib=rb-1.2.1&auto=format&fit=crop&w=1760&q=80

7月1日より、スウェーデン国内の新型コロナウイルス感染症対策が更に緩和されるとのことです。

スウェーデン日本国大使館によると次のように記されています。

1 スウェーデン国内の新型コロナウイルス感染症対策による規制は、5段階に分けて解除される計画になっていますが、7月1日から2段階目に移行します。主な内容は以下のとおりです。
(1)集会等の参加人数の上限引き上げ(屋内・非着座の場合は50人、屋内・着座の場合は300人、屋外・非着座の場合は600人、屋外・着座の場合は3,000人)
(2)私的な集会のためのスペースの貸出しは最大50人を対象として可能
(3)スポーツ競技大会の参加選手の上限を900人に引上げ、参加上限は、スタート地点とゴール地点にのみ適用される。
(4)屋外デモンストレーションは最大1,800人の参加が可能
(5)見本市に対しては、市場や遊園地に対する制限と同様の制限とする。
(6)レストランの屋外営業時間制限の廃止。屋外の座席に対する人数制限も廃止。


スウェーデン公衆衛生庁公式サイト
https://www.folkhalsomyndigheten.se/nyheter-och-press/nyhetsarkiv/2021/juni/anpassning-av-smittskyddsatgarder-1-juli/

 

 

スウェーデン「公共テレビSVTの構造から考える偏向的報道」

man in gray shirt leaning on table with headphones facing another man leaning on table with headboard

スウェーデン2019年の世界報道自由度ランキングで世界3位にランクインしています。その為スウェーデンの報道の信憑性は高く、偏向的な報道もないと考える方は多いかもしれません。

 

著書であるスウェーデン 福祉大国の深層』でも記しましたが、日刊新聞SvD によると共テレビSVTの理事会には3、4人の社民党がいて、SVTを所有するスウェーデン・ラジオ経営基金の理事も5人の社民党がいると報じられています。

 

そのためSVTは与党の社民党に政治的に偏っていることがわかります。そのためSVTの報道では政府を非難するニュースが報道されにくいと考えられます。 

 

www.svd.se 

アメリカの調査機関ピュー・リサーチセンターの調査によると、スウェーデンでは64%の人がメディアを信頼しており、その情報源に最多数である39%の人が公共テレビSVTや公共ラジオをあげています。

 

またSVTを信頼すると答えた人は75%にもおよびます。そのため多くのスウェーデン人が信頼をしている共テレビSVTの報道で政府擁護の報道がされれば、比較的簡単にメディアによりより大衆操作も可能となります。

 

2019年のニュースサイト「ニーへタ・イドッグ」の記事によれば、国境なき記者団 もSVTと公共ラジオSRは政府のプロパガンダ機関になるかもしれないと警告していると記されています。 

 

nyheteridag.se

絶妙な報道のバランスがうむ報道への信頼性

日本において公共テレビであるNHKで偏った報道がされている場合、他のメディアが非難を行うため、多くの日本人はNHKは公正に報道していないと批判が持ち上がるはずではないでしょうか。

 

実際に2013年に「NHK受信料不払い党」に発足し、2016年東京都知事選挙政見放送では立花候補「NHKをぶっ壊す!」と発言するほどです。

 

その為スウェーデン偏向報道がされていれば国民が気が付くだろうと考えがちです。

 

ただスウェーデンのメディアでは絶妙なバランスで政府擁護・政府批難の報道がされており、政府擁護だけでなく、ときおり政府批難の報道を絶妙なバランスで混ぜています

 

その為、国民もメディアが偏向的報道だと感じず、スウェーデンメディアは公正であると判断してしまいます。これがメディア・コントロールされているとよく言われる中国や北朝鮮、ロシア、イランなどとの違いです。

 

さらに世界報道自由度ランキングで上位というお墨付きにより、公共テレビSVTの政治的に偏った構造が見落とされがちになり、公共テレビSVTへの信頼度も高くなります。

 

その為、国民は無意識のうちに政府側の考え方になりやすい傾向となると考えられるのです。  

 

スウェーデン「環境国家とは別の顔、年金一部を石油企業へ投資」

https://images.unsplash.com/photo-1614568110304-b43ea3952e0d?ixid=MnwxMjA3fDB8MHxwaG90by1wYWdlfHx8fGVufDB8fHx8&ixlib=rb-1.2.1&auto=format&fit=crop&w=1567&q=80

スウェーデンには非常の多くの自然があります。街中でも自然が多く、街中でシカやムースをみかけらる事もあります。

 

スウェーデンを訪れた人はなんと自然と人が共存して生きているのだろうと感じるはずです。

 

そのため世界の中でもスウェーデン環境保護に力を入れるイメージが強くあります。また近年の環境活動家グレタ・トゥーンベリさんの活動によりさらに、スウェーデン環境保護に力をいれるイメージが強くなっています。

 

ただ2019年のヨーテボリ新聞で、環境国家スウェーデンのイメージとは違う一面を表す記事が報じられました。

 

これは著書『スウェーデン 福祉大国の深層』でも取り上げましたが、スウェーデンの年金の一部が化石燃料企業に投資されており、その投資先の石油・ガス企業は、世界で二酸化炭素排出量が最も懸念される100企業のうち32企業であったと新聞の一面に報じられたのでした。

 

また実際にはもっと多く石油・ガス企業に投資されているといわれています。

 

www.gp.se
また2015年の公共テレビSVTによれば、「国内」での環境エネルギー100%を唄っているスウェーデン政府系電力会社バッテンフォールは、、環境破壊に最も影響の大きい褐炭を使い、ヨーロッパで4番目に高い二酸化炭素排出量する「国外」にあるドイツの火力発電所を多数買収していたのです。

 

確かに電力会社バッテンフォールは国内では環境エネルギー100%使用ではありますが、地球規模で考えると多くの二酸化炭素排出量を排出している企業でもあったのです。

 

www.svt.se

世界では環境に優しい環境国家イメージであるスウェーデンですが、そのイメージとは裏腹に、実際には石油・ガス企業に多額投資をし、利益を得ていた事実もあります。

 

著書「朝日新聞に広告掲載:スウェーデン 福祉大国の深層」

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朝日新聞に広告掲載:スウェーデン 福祉大国の深層

著書「スウェーデン 福祉大国の深層」が6月26日の朝日新聞の広告枠で掲載されました。

 

suiyosha.hondana.jp

 

本書はこれまであるスウェーデン賞賛本とはやや異なり、主にスウェーデンの新聞・論文など公的文献を用いた上、筆者の実際の海外経験とも照らし合わせ現在のスウェーデンの実情を記しています。​

 

本書ではスウェーデンの実情をお伝えすることはもちろんのこと、スウェーデンの実情の例を通して、日本や社会に貢献できる本の作成を目的に執筆致しました。

 

本書の最後にはスウェーデンだけではなく、現行の金融制度を通してみた世界における株主支配構造も取り上げていますので、お手にとりお読み頂ければ有難い限りです。

 

スウェーデン「産学官の国家構造からみたコロナ政策 後半(再アップ)」

 

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kon-51.hatenablog.com

産学官一体型の国家構造

現在、高齢者施設での感染拡大の原因をもう少し深く考えてみると、スウェーデンにおける国の構造に問題があると考えられます。実はスウェーデンは他の先進国とは少し違い産・官・学が一体となっている特殊な国の構造がある国です。

 

簡単にスウェーデンの国の構造をイメージするために、日本の原子力村ムラを例えにだし説明します。日本には原子力村という原子力発電を巡る利権によって結ばれた、産・官・学の特定の関係者によって構成された特殊な社会的集団があります。

 

(知恵蔵より) 

kotobank.jp 

2011年の福島第一原子力発電所事故により、原子力を巡る産・官・学の癒着や閉鎖性がマスコミなどによってクローズアップされました。

 

マスコミ各社からも、原発批判勢力とは無関係に安全性や経済性にわずかでも疑義を示しただけでも、論難を浴びせてムラからの放逐を図るなどのムラの傾向が指摘され、原発の安全性確保を脅かす結果につながったのではないかとの批判があります。

 

そのためメディアの中では電力会社の非難がタブーとなっており、電力会社へ非難しずらい構造となっています。

 

また原子力反対派の原子力学者は、京都大学小出裕章准教授のように異端者とされてしまうのです。

 

2012年3月8日に放送されたNHKスペシャル『3.11 あの日から1年調査報告 原発マネー~"3兆円"は地域をどう変えたか~』によれば、原発誘致で資金を得る地方自治体や住人も、原発は反対であるものの一旦誘致されてしまえば、自治体の行政サービスがこの原発マネーに深く依存してしまう現実があるため、反対の声を唱えることはできずらい構造があるとのことです。これが日本における原子力ムラの構造です。 

NHKスペシャル | 3.11 あの日から1年調査報告 原発マネー~"3兆円"は地域をどう変えたか~

 

またスウェーデンも日本の原子力ムラと似た構造があります。ただスウェーデンでは一部の自治体だけではなく、国全体がこの原子力ムラと似た国家構造となっていると考えられます。 

 

1つの例としてスウェーデンは平和主義を唱えることが多く、平和のイメージが強い国ではないでしょうか。

 

しかし2014年のアメリカのビジネス誌ビジネス・インサイダーによれば、人口当たりにするとイスラエル、ロシアに次ぐ3番目の武器輸出額であり、武器輸出総額でも世界で11番目につける軍事輸出国家です。そして国内で約3万人が軍事産業企業で雇用されているとのことです。

 

www.businessinsider.com 

スウェーデンにおける軍事産業の歴史は長く、1600年代前半から本格的に確立されています。そして軍事産業が大きな産業として成長しており、その軍事産業を軸として多くの産業が成り立っています。

 

これを読まれた方の中にはスウェーデンの軍事輸出費は、総輸出額と比較し1%にも満たないという方もいるかもしれません。しかし軍事産業はデュアルユース(軍民両用技術)が進んでおり、軍事技術からその他の多くの産業や研究分野への技術的なスピンオフ効果があります。

 

そして軍事開発と生産に投じられた投資額に対して、2.6倍の波及効果があるとも言われているのです。そのため軍事産業スウェーデンの経済に与える影響は非常に大きいのです。

 

ただスウェーデン人でもスウェーデン軍事産業について詳しく知る人はあまりいません。その理由の1つとして、日本の原子力ムラがメディアで報道されないのと同じように、スウェーデンにおける巨大な原子力ムラと似た構造の中では、スウェーデンのメディアも大きく軍事産業の実態を真っ正面から報道することはしないと考えられます。

 

その理由として共テレビSVTの理事会は与党・社会民主党員が多数在籍しています。多くの国民は最も信頼するメディアに公共テレビSVTを挙げています。

 

しかしSVTは構造上政府擁護の報道になりやすい傾向があります。そのため多くの国民はスウェーデンの産官学一体型の国家構造についてあまり知る人は少ないと考えられるのです。また知っていても、この国家構造から得る利益を捨ててまでこの構造を非難する人は多くはないはずです。

 

ただこれを非難するスウェーデン人もいます。

今回の政府のコロナ対策において、ウプサラ大学の医学生化学ビョルンオルセン教授のように「今すぐ社会を閉鎖せよ」と声をあげ、政府のコロナ戦略を非難している人もいます。しかしこうした巨大な国家構造の前に反対派の意見が世の中に広まることはあまりありません。

 

産業界の強い影響力

産官学が一体化となったスウェーデンの国家構造ですが、その中でも産業界は非常に強い影響力をもっています。スウェーデンのビジネス・産業の研究を専門とする民間独立財団IFNの2011年レポートにおいて、スウェーデンでは産業界の力が非常に強いことが記されています。 

 

www.ifn.se

そのため産業界から強い影響を受けた政府や公衆衛生庁が、企業保護を優先した経済重視のコロナ対策に舵を切ったとも考えられるのです。企業利益保護重視し経済主体のコロナ戦略のもと、現場への指導方針やガイドラインがもうけられたと考えられます。

 

そして当局の指示に従う必要をせまられ組織の1つである病院や高齢者施設は、必要な人員も確保できず、コスト削減が迫られたと考えられるのです。また当局による戦略のしわ寄せが、自身が感染するかも知らない不安の中、必死で働く医師や看護士、介護士などの現場の方々に大きくのしかかってしまっていると考えられます。

 

2020年5月1日の公共テレビSVTによれば、ストックホルムの病院で高齢者を集中治療室に送らないガイドラインの存在が報道されました。ただ病院や現場の方々は当局の指示に従っただけのはずです。

 

www.svt.se 

また高齢者施設において介護者がマスク未使用で感染が広がった件も、介護者がマスクを意図的に使用しなかったわけではなく、公衆衛生庁がマスクの使用はコロナ感染防止にならないしいたため、高齢者施設で働く介護者も当局の指示に従っただけのはずです。

 

現在スウェーデンでは多くの高齢者の死亡者がでていますが、こうした事態を招いているのは現場の方々に問題があるわけではなく、政策を打ち出している政府や公衆衛生庁に大きな責任があります。

 

さらに深く追究すると、具体的なコロナ規制を特にもうけず、経済・企業保護重視政策に舵を切ることになった背景には、スウェーデン特有の産官学一体の国家構造、中でも産業界の力が非常に強い国の構造が起因しているとも考えられるのです。

 

産学官の国家構造からみたコロナ政策 前半(再アップ)

https://images.unsplash.com/photo-1610629537156-bb00f89c9493?ixlib=rb-1.2.1&ixid=MnwxMjA3fDB8MHxwaG90by1wYWdlfHx8fGVufDB8fHx8&auto=format&fit=crop&w=1650&q=80

2020年12月17日にスウェーデン国王が新型ウイルス政策は「失敗だった」との発言は、世界の多くのメディアで報じられ、これまで独自路線であったスウェーデンのコロナ対策が「失敗」であったと世界中で印象づけられました。 

 

www.bbc.com

しかしあまり知られてはいませんが、スウェーデンのコロナ委員会は12月15日に、スウェーデンの高齢者に対するコロナ対策は失敗であるとすでに発表し、その責任は政府にあると正式発表していたのでした。

『The elderly care in the pandemic Summary in English(2020-12-15)』

https://coronakommissionen.com/wp-content/uploads/2020/12/summary.pdf

 

ではスウェーデンはなぜコロナ感染発生当初、世界でもまれで独自路線とも呼ばれたコロナ政策をとったのでしょうか?

 

著書である『スウェーデン 福祉大国の深層』ではスウェーデン産学官一体の国家構造について詳細を記していますが、以前の記事でもスウェーデン産学官一体国家構造という視点からのスウェーデン独自のコロナ政策について記していましたので、再アップ致します。 

 

kon-51.hatenablog.com

2度目コロナ検査なく広がった高齢者施設での感染

2020年4月28日の新聞ダーゲンニーヘタによると、80代の高齢者がコロナ感染の疑いがあり病院でコロナ検査が実施されました。すると陽性であったため病院で48時間待機しましたが、その後症状の悪化がみられなかったため再度コロナ検査することなく、高齢者施設に戻されました。

 

しかしその後にコロナ症状が現れたため、高齢者施設でコロナ検査をしたところ陽性と判明したのです。そのため高齢者施設で他の高齢者にもコロナ感染が広がった恐れがあるとき報じられています。 このニュースは隣国フィンランドの新聞「yle」でも報じられるものでした。

 

4月25日にレナ・ハングレン社会大臣スウェーデンコロナ高齢者対策は失敗だったと発表したように、現在のスウェーデンでは高齢者へのコロナ感染は非常に拡大し多くの高齢者が亡くなる状況となっています。

 

www.dn.seyle.fi 

医療・介護の現場

2020年4月14日のNHKクローズアップ現代+によれば、日本赤十字社医療センターが東京都から現在の病床を1.5倍に増やしてほしいと要請が入り、要請に応えるため、病床をどこから捻出し、スタッフをどの科から集めるかなど検討をしているとのことです。

 

そして終わりの見えない戦いが続く中、医療スタッフの負担はピークに達しており、日本赤十字社医療センター 川上潤子看護部長は、

「『自分たちが もしかして』という不安が拭いきれないところが絶対にある。『本当にこのまま家族と一緒に生活する家に帰っていいんだろうか』とか、気持ちの面では、かなり皆さん疲れているんじゃないかな。」

と語られています。

 
日本赤十字社医療センター メンタルヘルス科 秋山恵子臨床心理士も、

「ちょっとつついたら割れちゃいそうな風船になっている。はね上がるように。」

と医療スタッフ全体の心の負担がこの1週間で急激に高まっていると語っています。

 

 秋山恵子臨床心理士自身も、

「私もこんなに自分でもストレスを感じたことない。はちきれそうだけど、ぐっと持ちこたえようとしている。世の中の方々にも受け止めて欲しいし、応援してほしい。避けないでって思います。」

 と話されています。


医療現場の人たちはかつてないほどにのストレスの中、必死で医療活動をしていると報道されていす。

 

www.nhk.or.jp 

また知人であるスウェーデン人の介護士も、「こうしたコロナ感染が広がる中でも公共サービスで働く介護士であるため休暇はとれず、自分が感染するかもしれないという不安の中働いている」と語ってくれました。日本やスウェーデンを含めどこの国でも現場の人たちは、自身が感染する不安の中、必死に治療や介護活動をされています。  

 

政府と公衆衛生庁の責任

スウェーデンにおいて高齢者施設での感染が拡大している理由の1つに、政府や公衆衛生庁をトップとする医療機関組織の戦略、さらにいうならば国の構造に起因しているとも考えられます。 

 

2020年4月28日の新聞ダーゲンニーヘタで報道された2度目のコロナ検査を実施せずに広がった高齢者施設での感染拡大も、恐らく現場の方たちは本当に48時間たてば再検査実施せずに患者を施設へ帰してもよいのか疑念を感じていたはずです。

 

しかし医師も看護士もみな組織の一員であり病院の指示に従う必要があります。 また病院も当局の定めた規定に従う必要があり、48時間したら再検査の必用ないと当局により定められていればそれに従う必要があるはずです。このように病院も大きな医療組織の1つに過ぎません。

 

多くの国々ではコロナ戦略を指揮しているのは政府です。しかし現在のコロナ危機対応を主導しているのは公衆衛生庁となります。疫学者アンダーシュ・テグネル氏は、そのリーダーとして毎日のようにテレビに出演し、スウェーデンのコロナ対策戦略に対して非難を受けています。 

 

しかし政府には責任がないのでしょうか? 

 

スウェーデンでその責任は特殊でありますが、法律によれば政府にも責任があります 3月30日のメディア媒体ザ・ローカルによれば、ウプサラ大学の政治学科のベンニッチ・ヴョ-マン教授は、実施されたコロナ措置への最終的な責任と説明責任は、政府がもっていることは明白であると語っています。

 

The Local『Who’s actually responsible for Sweden’s coronavirus strategy?』30 March 2020

https://www.thelocal.se/20200330/whos-actually-in-charge-of-swedens-coronavirus-strategy

 

病院や高齢者施設は、公衆衛生庁や政府の決定に従い定められた規定従い、現場の方々も当局からの指示に従っているだけだと考えられます。

 

そのため現在高齢者施設における感染拡大は、こうした戦略を実施している政府や公衆衛生庁など当局に責任があると考えられます。では公衆衛生庁や政府はなぜこうした政策をとるのでしょうか?  

 

(後半に続く)

 

スウェーデン「歴史初の首相への不信任決議可決、新政権か解散選挙か!?」

https://images.unsplash.com/photo-1607778413290-6bc9b4cf30f1?ixid=MnwxMjA3fDB8MHxwaG90by1wYWdlfHx8fGVufDB8fHx8&ixlib=rb-1.2.1&auto=format&fit=crop&w=1576&q=80

本日、ロベーン首相に対する不信任案が賛成181票の過半数で可決し、首相は1週間以内に辞任し新政権樹立作業を議長に委ねるか、解散総選挙を行うかを迫られる状況になりました。

 

6月21日のイギリスのロイター通信によれば、 

スウェーデン議会(定数349議席)は21日、ロベーン首相(63)に対する不信任案を賛成181票の過半数で可決した。首相は1週間以内に辞任し新政権樹立作業を議長に委ねるか、解散総選挙を行うか決めることになる。

スウェーデン首相が野党提出の不信任案により退陣を迫られるのは初めて。

左翼党が新築アパートメントに関する家賃統制緩和計画を巡りロベーン政権への支持を撤回したことを受け、極右のスウェーデン民主党が不信任案の採決を求めていた。

ロベーン氏率いる社会民主党緑の党による少数与党政権は、2つの小規模な中道右派政党と左翼党からの支持に依存していた。

ロベーン首相が辞任した場合、議長が新政権樹立を誰に任せるのかは不明。また、世論調査では中道左派ブロックと中道右派ブロックの支持率は拮抗しており、総選挙でも明確な勝者が生まれない可能性もある。

暫定政権となる新政権の任期は、来年9月に行われる予定の議会選までとなる。

 

www.reuters.com

 

また私は3月8日に東京新聞でインタビューを受け、政権交代の可能性が高いことをお話し、東京新聞の記事にもその事が記されました。

 

著書『スウェーデン 福祉大国の深層』でも、アパート賃貸が非常に難しいという、先進国でも稀な特殊なアパート賃貸事情について記しましたが、今回の首相への不信任決議可決の理由も、新築アパートに関する家賃統制緩和計画を巡る首相への不信任決議可決でありました。それに政府による高齢者コロナ政策失敗も重なったものだと考えられます。

 

本日より首相は1週間以内に辞任し新政権樹立作業を議長に委ねるか、解散総選挙を行うかを決める必要があります。現在スウェーデンでは、これまでの歴史で初めて首相が野党提出の不信任案により退陣を迫られるという事態に陥っているのです。

 

www.tokyo-np.co.jp

スウェーデン「日本の80倍!性犯罪法の改正と高い性犯罪率」

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性犯罪に関する法律を改正 

2020年1月21日の毎日新聞の報道によると、スウェーデンでは2018年に性犯罪に関する法律を改正し、同意を得ていない性行為に関し罰する規定が新設され、スウェーデンの司法当局者が来日し性犯罪に関する法律を改正に関しての記者会見を行ったとあります。

 

2018年に性犯罪に関する法律を改正し、同意を得ていない性行為を罰する規定を新設したスウェーデンの司法当局者が来日し、21日に東京都千代田区の日本記者クラブで記者会見した。日本政府は今年、性犯罪に関する刑法の再改正に向けて議論すべきかどうか検討する方針。スウェーデンと同様に同意のない性交を処罰するよう求める声もあるが、「同意の有無」については被害を訴えた側と訴えられた側で主張が食い違うケースも多い。スウェーデンの改正法は、日本の議論に影響を与えるのか。

スウェーデンの司法当局者
2018年に性犯罪に関する法律を改正し、同意を得ていない性行為を罰する規定を新設したスウェーデンの司法当局者が来日し、21日に東京都千代田区の日本記者クラブで記者会見した。日本政府は今年、性犯罪に関する刑法の再改正に向けて議論すべきかどうか検討する方針。スウェーデンと同様に同意のない性交を処罰するよう求める声もあるが、「同意の有無」については被害を訴えた側と訴えられた側で主張が食い違うケースも多い。スウェーデンの改正法は、日本の議論に影響を与えるのか。
2018年に性犯罪に関する法律を改正し、同意を得ていない性行為を罰する規定を新設したスウェーデンの司法当局者が来日し、21日に東京都千代田区の日本記者クラブで記者会見した。日本政府は今年、性犯罪に関する刑法の再改正に向けて議論すべきかどうか検討する方針。スウェーデンと同様に同意のない性交を処罰するよう求める声もあるが、「同意の有無」については被害を訴えた側と訴えられた側で主張が食い違うケースも多い。スウェーデンの改正法は、日本の議論に影響を与えるのか。

2018年に性犯罪に関する法律を改正し、同意を得ていない性行為を罰する規定を新設したスウェーデンの司法当局者が来日し、21日に東京都千代田区の日本記者クラブで記者会見した。日本政府は今年、性犯罪に関する刑法の再改正に向けて議論すべきかどうか検討する方針。スウェーデンと同様に同意のない性交を処罰するよう求める声もあるが、「同意の有無」については被害を訴えた側と訴えられた側で主張が食い違うケースも多い。スウェーデンの改正法は、日本の議論に影響を与えるのか。

 

 

「イエス以外はすべてノー」スウェーデン司法当局者が語る性的同意 | 毎日新聞

 

2020年2月18日の東京新聞によれば、

スウェーデン法に詳しい琉球大大学院教授の矢野恵美さんは「スウェーデンは被害者を守るため、国選弁護人による支援制度などがあり、性教育も進んでいる。日本でも取り入れるべき点が多くある」と話している。

スウェーデン「イエス」なき性交は犯罪 国内規定「さらなる改正必要」:東京新聞 TOKYO Web

 

日本政府も今年、性犯罪に関する刑法の再改正に向けて議論すべきかどうか検討する方針とのことです。 

 

性犯罪率が日本の80倍以上も高いスウェーデン

日本に来日し性犯罪に関する法律を改正を発表したスウェーデンの強姦発生件数はどれくらいなのでしょうか?

 

2018年のスウェーデンメディアであるザ・ローカルによると、2018年の性犯罪に関する法律を改正前における、2017年における強姦件数は合計7,230であります。 

2017年の日本の強制性交等数は警察庁によれば1,109件であります。

人口あたりで比較した場合、著書である『スウェーデン 福祉大国の深層』でも記しましたが、スウェーデンは日本より80倍以上も強姦発生率が高いことになります。

 

The Local『Reported rapes in Sweden up by 10 percent』18 January 2018

https://www.thelocal.se/20180118/reported-rapes-in-sweden-up-by-10-percent/

 

また2009年のニュースサイト「ザ・ローカル」で、 アムネスティ・インターナショナル(国際人権救援機構)が、スウェーデンはヨーロッパで最も強姦発生率が高い国であると報じ、過去20年間に警察に報告された強姦数が4倍になったにもかかわらず、有罪判決が下された割合は1965年よりも著しく低いと報じています。

The Local『Swedish rapists ‘enjoy impunity’: Amnesty International』28 April 2009 

https://www.thelocal.se/20090428/19124

 

各国により統計方法は違いますが、ヨーロッパでも性犯罪率の高いスウェーデンの司法当局者が、来日し性犯罪に関する法律の改正を発表するのは、やや不思議でもあります。 

 

スウェーデン「20世紀で最悪!タイタニック規模の未解決海難事故」

https://images.unsplash.com/photo-1500077423678-25eead48513a?ixid=MnwxMjA3fDB8MHxwaG90by1wYWdlfHx8fGVufDB8fHx8&ixlib=rb-1.2.1&auto=format&fit=crop&w=1650&q=80

27年前タイタニック規模の未解決沈没事故

レオナルド・ディカプリオ主演の映画「タイタニック」は誰もが知る有名な映画です。

 

この映画タイタニックは1912年4月14日深夜、北大西洋上で氷山に接触、翌日未明にかけて沈没した実際の沈没事故をもとに作成されました。

 

このタイタニックによる犠牲者数は乗員乗客合わせて1,513人であります。

大変に悲劇的な100年以上前に起きた痛ましい沈没事故です。

 

しかしこのタイタニック規模の沈没事故が、近代においても起きていたことはあまり、日本であまり知られていないのでないでしょうか?

 

今から約27年前の1994年9月28日、エストニアからスウェーデンに航海中の客船エストニアは突如バルト海で沈没しました。

 

その沈没事故による犠牲者は852人もおよび20世紀最悪の海難事故の一つとして知られています。

 

しかしこの20世紀最悪とも呼ばれる27年前に沈没事故ですが、スウェーデンエストニア政府とも調査に非常に消極的であり未だに原因不明の未解決事件なのです。

 

ドキュメンタリ番組「エストニア」で新事実が発見

27年間も未解決であり調査も進展してこなかったこの沈没事故ですが、スウェーデンのドキュメンタリー番組「Discovery+」で事故の公式見解を覆す可能性のある新たな証拠が示されました。

 

このドキュメンタリー番組についてではスウェーデンでは一時大きなニュースとなりました。

 

これを受けエストニアスウェーデンフィンランドの外相は「新たな情報の調査をする」予定だとする共同声明を出したのです。

 

www.afpbb.com

ドキュメンタリー「Estonia: The Find That Changes Everything(エストニア:すべてを覆す発見)」の制作チームは、船体にこれまで記録されていなかった4メートルもの穴があるのを発見したとしています。

 

ドキュメンタリ番組のディレクターは逮捕

こうしてこれまで27年間調査の進展がなかった、20世紀最悪とまで呼ばれる沈没事故ですが、このドキュメンタリー番組を機に再調査が進められることとなったのです。

 

Discovery+『Estonia』

https://www.discoveryplus.co.uk/show/estonia

 

しかしフランスのAFP通信によると、フィンランドのウト(Uto)島の周辺海域は墓所に指定されており、沈没船の残骸を探索することは禁じられています。

 

そのためドキュメンタリーを制作したヘンリク・エバートソン(Henrik Evertsson)監督と撮影スタッフ1人は、この場所を調査した後、逮捕されました。

 

スウェーデンで墓地の尊厳を侵害した罪で有罪になれば、最高で禁錮2年が科せられる可能性もあるとのことです。

 

20世紀最悪とも呼ばれる沈没事故の解明に兆しをみせたこのドキュメンタリー番組については、スウェーデンでは一時大きなニュースとなりました。

 

しかし日本ではこのニュースが報道されることもなく、知っている人もあまりいないのではないでしょうか?

スウェーデン「拳銃事件は日本の176倍!ヨーロッパ最大の射殺事件数」

https://images.unsplash.com/photo-1552257128-c1a71b6736d4?ixid=MnwxMjA3fDB8MHxwaG90by1wYWdlfHx8fGVufDB8fHx8&ixlib=rb-1.2.1&auto=format&fit=crop&w=1651&q=80

拳銃事件は人口当たり日本の176倍

スウェーデンというと平和でのどかなイメージが強いと思います。確かに街中にも自然も人口も少ないので、東京のように雑踏の中の忙しない生活環境ではありません。そのため犯罪にも縁のない国のようなイメージがもたれています。

 

しかし近年拳銃事件が日本とは比べられものにならないほど多発しています。

 

これは著書『スウェーデン 福祉大国の深層』の中でも取り上げましたが、スウェーデンにおける拳銃事件の数は、2017年では306件にもおよび、43人もの人が拳銃事件だけで死亡しています

 

日本の拳銃事件の数は年間22件で、比較するとスウェーデンのが約13.9倍も拳銃事件が多く、人口比で考えれば約176倍も多い計算となります。

 

sverigesradio.se

『平成29年における組織犯罪の情勢【確定値版】』警察庁組織犯罪対策部 組織犯罪対策企画課、平成30年4月

https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/kikakubunseki/sotaikikaku03/h29.sotaijousei.pdf

 

The local『In figures: 2017's shootings in Sweden』22 December 2017

https://www.thelocal.se/20171222/in-figures-2017s-shootings-in-sweden/

 

ヨーロッパで最大の射殺事件数

また2021年5月26日の公共テレビSVTニュースによれば、スウェーデン犯罪防止評議会(Brå)は、2000年から2019年にかけてヨーロッパ22ヵ国と射殺事件を比較しました。射殺事件に関してスウェーデンは、2018年以来最高レベルであると結論付けられています。

 

2000年代初頭、射殺事件ではスウェーデンが最下位でしたが、2012年から2020年にかけて、急激に上昇が見られたと報じています。

 

研究者クラーラ・フラディロヴァセリン氏は

スウェーデンが報告している増加は、ヨーロッパの他の場所では見られない」と語っています。

 

www.svt.se

 

 

スウェーデン「統計偽装問題!学習到達度調査(PISA2018)」

2018年度OECD生徒の学習到達度調査(PISA)における統計偽装

北欧というと自然のあふれ環境の中で、のんびりとしながらでも教育水準が高いという印象が強いのではないでしょうか?

 

2018年度のOECD生徒の学習到達度調査(PISA)において、フィンランドは読解力において第3位、スウェーデン7位と、日本(11位)よりも高い学習到達度となっています。

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OECD生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイント 文部科学省国立教育政策研究所 令和元年12月3日

 

2015年度のOECD生徒の学習到達度調査(PISA)では、スウェーデンは科学的リテラシー、読解力、数学的リテラシー全ての面で日本を下回り、科学的リテラシー、数学的リテラシーにおいてはOECDの平均を下回る結果となってしまいました。

 

その為2018年度のPISA結果が大幅に向上し、読解力においては日本の11位より上位をつけOECD内でも7位となり、2018年度のPISA結果向上はスウェーデンにとって嬉しい知らせでありました。

 

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OECD生徒の学習到達度調査2015年調査(PISA2015)のポイント 文部科学省国立教育政策研究所

 

しかし著書『スウェーデン 福祉大国の深層』でも取り上げましたが、2020年6月2日の新聞エクスプレセンによると、2018年度の学習到達度調査(PISA)において、スウェーデンでは大きな統計データの誤魔化しがされていたことが発覚したのです。

 

www.expressen.se 

その後の2018年度のPISA統計偽装問題と2021年度への展望

2020年6月に明らかになった2018年度PISAにおける統計偽装ですが、今年5月のヨーテボリ新聞で再び取り上げられました。

 

ヨーテボリ新聞によれば、2018年度のPISAの実際の結果は、2015年の結果と同じくOECD平均をはるかに下回る。また野党は政府に疑惑を抱き、PISAの結果を良くみせることで、学校における移民の子供教育問題を隠す目的の不正行為であり、首相ステファン・ローベンの膝元に転がる大きな問題だと記しています。

 

教育大臣アンナ・エクストロームの責任も重く、OECDの規則に反しながらもPISA学習到達度調査から除外され十分な学習支援を受けれない学生に対する重大な違反行為、かつ懸命に働く教師への敬意欠如、平等な学校の裏切りであると報じています。

 

3年ごとに実施される学習到達度調査(PISA)は今年行われます。この2021年度のPISA結果を通し統計偽装問題を含めた数々の教育問題が改善され、教育水準が向上しているか否かみえてくるのかもしれません。

www.gp.se

スウェーデン「医療スタッフ不足!他国へスタッフ要請依頼か?」

https://images.unsplash.com/photo-1615631508158-ce306dc0dcb4?ixid=MnwxMjA3fDB8MHxwaG90by1wYWdlfHx8fGVufDB8fHx8&ixlib=rb-1.2.1&auto=format&fit=crop&w=670&q=80

スウェーデンでは5月から9月の夏にかけて4週間程度の夏季休暇を取得する人が多くいます。そのため夏にスウェーデン企業を訪ねると閑散としていることが多いです。

 

5月21日のヨーテボリ新聞によると、スウェーデン地方自治体(SKR)は、夏の間の集中治療医療スタッフの支援を北欧の近隣諸国に要請することを政府に求めています。社会問題大臣は、この問題は緊急に検討すると述べています。

 

SKRは医療スタッフが休暇取得が可能となり安息がもてると同時に、集中治療スタッフ確保する可能性につながると語っています。

 

www.gp.se 

現在スウェーデンの集中治療への負担はやや緩和されました。しかし状況は依然として緊迫しており、多くの地域で治療の必要性が依然として広範囲に及ぶという懸念が大きくなっています。

 

レナ・ハレングレン社会問題大臣は、

「政府はSKRからの手紙を受け取り、現在緊急に検討しています。政府にとって、集中治療室を確保し、1年以上にわたり激務をこなしてきた医療スタッフが回復できることが重要である」と語っています。

 

ただヘルスケア協会の副会長であるアン・ヨハンソンは、この提案が実際に組合員の支援となるかに疑問があり、

「とてもパニックになります。私たちは5月末に休暇期間を取得し始めます。他の国から来た医療スタッフは異なる看護様式をもち別の言葉を話します。そうした人たちに指導することは私たちの医療スタッフにとっても負担になります」と語っています。

 

日本で4週間も休暇がとれる企業は稀だと思います。スウェーデンでは多くの人が夏に長期休暇が取れますが、その反面その欠員不足問題にも直面しています。その欠員不足を補うため他国に人員要請することも問題解決案の1つとしています。

 

 

 

 

 

 

スウェーデン「本日より段階的コロナ規制の解除」

https://images.unsplash.com/photo-1586162545138-ac8b83a0aa89?ixlib=rb-1.2.1&ixid=MnwxMjA3fDB8MHxzZWFyY2h8OTd8fGNvcm9uYSUyMG1hc2slMjBmZW1hbGV8ZW58MHx8MHx8&auto=format&fit=crop&w=500&q=60

 

スウェーデンでは4月中旬まで1日で9,000人近いコロナ感染者数でありました。しかし現在はワクチン接種率が高まり、現時点において1971年生まれ前の人はワクチン接種予約が可能となり、ストックホルムでは1976年以前の人もワクチン接種予約が可能となりました。そのため現在は1日の感染者数が3,000人弱と徐々に感染者数が減る傾向となっています。

 

そのため政府は6月1日より段階的にコロナ規制を解除することとにしました。

 

規制解除の概要

主な概要は下記です(出所:在スウェーデン日本大使館) 

〇 スウェーデン国内の新型コロナウイルス感染症対策が、6月1日から段階的に解除されることになりました。
〇 外国に居住する者のスウェーデンへの入国禁止措置が一部を除き延長されることになりました。

1 スウェーデン国内の新型コロナウイルス感染症対策が、5段階に分けて解除されることになりました。6月1日から行われる第一段階の規制緩和の主な内容は以下のとおりです。
(1)小規模なキャンプ活動、競技大会への参加
(2)最大150人の選手が同時に参加するスポーツ競技大会の実施
(3)感染症対策を講じた上での遊園地及び市場入場
(4)宗教行事、文化及びスポーツイベントの参加上限人数の引上げ(屋内・着座の場合は50名、屋外・非着座の場合は100名、屋外・着座の場合は500名。)
(5)飲食店の営業可能時間を22時30分まで延長

 

規制解除の詳細

下記のスウェーデン当局の公式サイトをご覧ください。


公衆衛生庁公式サイト:6月1日からの感染症対策

www.folkhalsomyndigheten.se
政府公式サイト:規制解除に関するスウェーデン政府計画

www.government.se